メジャーリーグには30球団がありますが、「人気球団」と一口に言っても、その意味は一つではありません。全国的・世界的な知名度が高い球団、歴史と伝統で支持される球団、観客動員が強い球団、SNSで若い世代に広がっている球団、スター選手の存在によって国際的な注目を集めている球団など、人気の形はさまざまです。
そのため、この記事では単純に「強いチーム順」ではなく、次のような要素を総合して、メジャーリーグの人気球団をランキング形式で紹介します。
特に近年は、ロサンゼルス・ドジャースの存在感が一段と大きくなっています。大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンといったスター選手を抱え、さらに2024年、2025年とワールドシリーズを連覇したことで、ドジャースはアメリカ国内だけでなく、日本やアジア圏を含む世界的な人気球団としての地位をさらに強めました。
一方で、ニューヨーク・ヤンキースは依然としてMLBを代表するブランドです。27回のワールドシリーズ優勝、ピンストライプのユニフォーム、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ジョー・ディマジオ、ミッキー・マントル、デレク・ジーター、アーロン・ジャッジへと続くスターの系譜は、野球界全体の象徴とも言えます。
MLBの人気チームを語るうえで、ニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャースの2球団は、やはり別格の存在です。
ヤンキースは、アメリカ最大級の都市ニューヨークを本拠地とし、MLB最多のワールドシリーズ優勝回数を誇る球団です。歴史、資金力、ブランド力、メディア露出、伝説的選手の多さという点で、長年にわたり「メジャーリーグの顔」として扱われてきました。好きな人も多く、同時にアンチも多い球団ですが、それだけ注目度が高いということでもあります。
ドジャースは、ブルックリン時代から続く長い歴史を持ち、1958年にロサンゼルスへ移転してからは西海岸を代表する球団として発展しました。ジャッキー・ロビンソンが1947年に人種の壁を破ってメジャーリーグでプレーした球団であることも、ドジャースの歴史的価値を高めています。さらに近年は、毎年のようにポストシーズン争いに加わる安定した強さ、大谷翔平の加入、日本人選手への注目、そして2024年・2025年の連覇によって、世界的な人気が急拡大しています。
つまり、歴史的ブランドではヤンキース、現在の勢いと国際的な拡張力ではドジャースという構図が、現在のMLB人気を考えるうえで非常に重要です。

ヤンキースの人気は、単に「強かったから」だけではありません。ニューヨークという巨大市場、ピンストライプのユニフォーム、名門としての重み、そして勝利を義務づけられているような独特の空気が、球団のブランドを特別なものにしています。アーロン・ジャッジのような現代のスターも存在し、伝統と現在進行形のスター性が共存している点が大きな魅力です。
また、ヤンキースは世界的にも知名度が高く、野球に詳しくない人でも名前を知っていることが多い球団です。MLBの人気球団ランキングを作る場合、ヤンキースを1位候補から外すことはほぼ不可能です。

現在のドジャースは、MLBで最も勢いのある人気球団の一つです。2020年、2024年、2025年にワールドシリーズを制し、特に2024年と2025年の連覇は球団の現代的なブランド力を大きく高めました。さらに大谷翔平の加入によって、日本での注目度は別次元に達し、韓国、台湾、アジア圏、そして世界の野球ファンからも強い関心を集めています。
ドジャースの人気は、単なるスター依存ではありません。豊富な資金力、育成力、データ分析、選手層の厚さ、毎年優勝を狙える安定感があり、「今のMLBを象徴する球団」としての存在感があります。伝統のヤンキースに対し、現代MLBの中心にいるのがドジャースと言えるでしょう。

カブスの人気を支えている大きな要素が、ホーム球場のリグリー・フィールドです。1914年開場の歴史ある球場で、外野フェンスを覆うアイビー、周辺の街並み、昼間の試合の雰囲気など、球場そのものが観光名所のような存在になっています。
カブスは、常勝軍団というよりも「物語性」で愛されてきた球団です。長い低迷、熱心なファン、歴史ある球場、そして2016年の劇的な優勝。このストーリーが、シカゴだけでなく全米に広がる人気を生み出しています。

レッドソックスの歴史で特に有名なのが、「バンビーノの呪い」と呼ばれた長い優勝空白期間です。ベーブ・ルースをヤンキースへ放出した後、長年ワールドシリーズ制覇から遠ざかりましたが、2004年に86年ぶりの優勝を果たし、その後も2007年、2013年、2018年に優勝しました。
ボストンのファンは非常に熱心で、勝っている時だけ応援するタイプではありません。球団の歴史や失敗、悔しさも含めて愛する文化があり、その濃さがレッドソックス人気の土台になっています。

ジャイアンツは、2010年、2012年、2014年にワールドシリーズを制し、2010年代前半には短期決戦に非常に強いチームとして知られました。サンフランシスコ湾を望む本拠地オラクル・パークも人気が高く、球場の美しさではMLB屈指とされています。
ドジャースとのライバル関係も、ジャイアンツの人気を支える重要な要素です。東海岸時代から続く両球団の因縁は、西海岸へ移ってからも続いており、ナショナルリーグ西地区を代表する伝統の対決になっています。

カージナルスの人気は、派手な大型補強よりも、伝統、安定感、地域との結びつきによって支えられています。セントルイスは大都市圏としてはニューヨークやロサンゼルスほど大きくありませんが、野球文化が非常に濃く、ファンの忠誠心が高いことで知られています。
また、近年はラーズ・ヌートバーの存在によって、日本でもカージナルスの名前が以前より身近になりました。WBCで日本代表として注目されたヌートバーは、カージナルスの国際的な認知度を高める存在にもなっています。

アトランタ移転後のブレーブスは、アメリカ南部を代表する球団としての性格が強くなりました。かつては全国放送の影響もあり、地元アトランタだけでなく、南部一帯に広いファン層を持つチームとして知られました。
近年もロナルド・アクーニャJr.、オースティン・ライリー、マット・オルソンなどのスターを抱え、2021年にはワールドシリーズを制覇しました。若く魅力的な選手が多く、現代的な人気も十分にある球団です。

フィラデルフィアのスポーツファンは、非常に厳しく、同時に非常に情熱的なことで知られています。フィリーズもその文化の中心にあり、勝っている時の本拠地シチズンズ・バンク・パークの盛り上がりは圧倒的です。
2008年のワールドシリーズ優勝、ブライス・ハーパーの加入、近年のポストシーズンでの躍進により、フィリーズは再び全国的な注目を集める球団になりました。スター性、熱狂的なファン、東海岸の大市場という要素がそろっており、人気ランキング上位に入る理由は十分にあります。

一方で、アストロズを語るうえで避けられないのがサイン盗みスキャンダルです。2017年の優勝に対しては現在も批判的な見方があり、アストロズは「強いが嫌われる球団」として扱われることもあります。しかし、それも裏を返せば、全国的な注目度が非常に高いということです。
ヒューストンはアメリカ有数の大都市であり、テキサス州内の野球人気も大きな背景になっています。賛否が分かれる球団ではありますが、近年の実績、選手層、話題性を考えると、人気ランキング上位に入る存在です。

かつてのレンジャーズは、強打のチームという印象がありながら、ポストシーズンではあと一歩届かない存在でした。しかし、コーリー・シーガー、マーカス・セミエンらを中心にチーム力を高め、2023年に悲願を達成しました。
テキサス州はスポーツ熱が高く、レンジャーズはダラス・フォートワース都市圏という巨大市場を背景にしています。アストロズとの州内ライバル関係もあり、今後さらに人気を伸ばす可能性のある球団です。

メッツの人気は、ヤンキースとは違う種類の魅力に支えられています。ヤンキースが「勝って当然の名門」なら、メッツは失敗や波乱も含めて愛される球団です。ファンは非常に熱心で、チームが低迷していても強い関心を持ち続ける傾向があります。
近年は資金力のあるオーナー体制のもとで大型補強も行われ、全国的な話題になることが増えました。ニューヨークという巨大市場、個性的な球団文化、そして時に予測不能な展開が、メッツの人気を支えています。

クリーブランドは大市場ではありませんが、地元密着型の野球文化が根強い地域です。ガーディアンズは限られた予算の中でも育成力と投手力を武器に競争力を保つことが多く、堅実な球団運営で知られています。
派手な全国的人気というよりも、野球好きから評価されるタイプの球団です。若手選手の育成、守備力、投手力、粘り強い戦い方に魅力があり、伝統ある中堅人気球団としての存在感があります。

デトロイトは自動車産業の街として知られ、労働者文化とスポーツ文化が深く結びついています。タイガースの人気も、派手さより地域の誇りに支えられている面が強いです。
近年は再建期を経て若手中心のチームへ移行しつつあり、再び注目度を高める可能性があります。歴史、地元愛、復活への期待という点で、根強い人気を持つ球団です。

ツインズは、ミネソタ州を中心に北部中西部のファンに支えられている地域密着型の球団です。大都市の巨大ブランドではありませんが、地元ファンとの結びつきは強く、安定した支持を持っています。
近年は地区優勝争いに絡むことも多く、若手選手の成長や打線の爆発力で注目されるシーズンもあります。全国的な知名度では上位球団に劣るものの、地域人気という点では十分に強い球団です。

ジョニー・ベンチ、ジョー・モーガン、ピート・ローズ、トニー・ペレスらを擁した1970年代のレッズは、攻守に完成度の高いチームでした。その時代の印象は今も強く、レッズのブランドを支える重要な財産になっています。
近年は全国的な人気で上位球団に及ばない部分もありますが、シンシナティという街に深く根づいた球団であり、歴史的価値は非常に高いです。古くからの野球ファンにとっては、特別な響きを持つチーム名です。

アスレチックスは、歴史的には非常に成功した球団です。ワールドシリーズ優勝9回を誇り、1970年代の黄金期、リッキー・ヘンダーソン、マーク・マグワイア、ホセ・カンセコらの時代、そして「マネーボール」で知られる低予算ながら効率的な球団運営など、MLB史に何度も大きな足跡を残してきました。
ただし、現在の人気を考えるうえでは、オークランドからの移転問題が大きな影を落としています。長年の地元ファンとの関係、観客動員の低下、ラスベガス移転への反発など、球団イメージは複雑です。歴史的ブランドは強い一方で、現在のファン基盤は揺れている球団と言えます。

ブルワーズの魅力は、派手なスター軍団ではなく、地元ファンとの近さにあります。球場での雰囲気、ビール文化との結びつき、ソーセージレースなどのユニークな演出も含め、親しみやすい球団イメージを持っています。
近年は地区優勝争いに絡むシーズンも多く、投手力や守備力を軸に堅実なチームを作ってきました。全国的なブランド力は上位球団ほどではありませんが、地元人気と安定感では評価の高い球団です。
本拠地オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズは、現代的なレトロ調球場の先駆けとして高く評価されています。球場の美しさと観戦環境の良さは、オリオールズの魅力の一部です。
近年は長い低迷期を経て、若手選手を中心に再び注目される球団になりました。アドリー・ラッチマン、ガナー・ヘンダーソンなどのスター候補が登場し、将来性のあるチームとして人気を取り戻しつつあります。
トロントはカナダ最大の都市であり、ブルージェイズは単なる都市の球団ではなく、カナダ全国を代表するMLBチームという性格を持っています。これは他の球団にはない大きな特徴です。
近年はウラディミール・ゲレーロJr.、ボー・ビシェットなどのスター選手によって、若いファンの注目も集めてきました。アメリカ国外に本拠地を置く唯一のMLB球団として、国際的な視点から見ても重要な人気球団です。
特に日本のファンにとって、マリナーズは特別な球団です。イチローが長く在籍し、MLBで歴史的な活躍を見せたことで、日本におけるマリナーズの知名度は大きく高まりました。佐々木主浩、岩隈久志、菊池雄星など、日本人選手との関係も深い球団です。
また、2001年には116勝を記録し、MLB史に残る圧倒的なレギュラーシーズンを送りました。優勝経験がないことは弱点でもありますが、逆に「いつか初優勝を見たい」という期待感がファンを引きつける要素にもなっています。
MLBの人気球団を考える時、ワールドシリーズ優勝回数だけで順位を決めることはできません。たとえば、アスレチックスは歴史的には9回のワールドシリーズ優勝を誇りますが、現在は移転問題によってファン基盤が揺れています。一方で、マリナーズはワールドシリーズ優勝がありませんが、イチローの存在やシアトルの地域性によって、日本を含む国際的な知名度があります。
また、近年はSNSや動画配信の影響が非常に大きくなっています。昔は本拠地の市場規模やテレビ放送が人気を左右していましたが、現在は一人のスター選手のハイライト動画が世界中に広がり、球団の認知度を一気に高めることがあります。大谷翔平のドジャース加入は、その典型的な例です。
ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、ボストン、フィラデルフィアのような大都市を本拠地とする球団は、メディア露出やスポンサー、観客動員の面で有利です。ヤンキース、ドジャース、カブス、レッドソックス、フィリーズが人気ランキング上位に入りやすいのは、この市場規模の影響も大きいです。
しかし、小市場球団にも独自の強みがあります。カージナルス、ブルワーズ、ガーディアンズのような球団は、都市の規模以上に地元ファンとの結びつきが強く、長く応援し続ける文化があります。全国的な派手さは少なくても、地域における存在感は非常に大きいのです。
日本のファンから見たMLB人気は、日本人選手の存在によって大きく左右されます。野茂英雄がドジャースで活躍した時代、イチローがマリナーズで活躍した時代、松井秀喜がヤンキースでプレーした時代、それぞれの球団は日本で非常に高い注目を集めました。
現在は、大谷翔平の存在によってドジャースの人気が日本で圧倒的に高まっています。大谷は単なる日本人選手ではなく、MLB全体を代表するスーパースターであり、その所属球団であるドジャースは、日本のメディアでも連日のように取り上げられています。
さらに、山本由伸、佐々木朗希などの日本人選手がドジャースに加わったことで、日本におけるドジャース人気は一時的なブームではなく、より継続的な関心へと変わっています。MLBの人気ランキングを日本語で考える場合、この国際的な視点は非常に重要です。
人気球団は、必ずしも常に勝ち続ける球団だけではありません。シカゴ・カブスの2016年優勝のように、長年勝てなかった球団がついに頂点に立つ物語は、多くの人の心を動かします。弱かった時代を知っているファンほど、優勝の瞬間に強い感動を覚えるからです。
レンジャーズの2023年初優勝も同じです。長くワールドシリーズ制覇に届かなかった球団が、ついに球団史上初の優勝を果たしたことで、人気と評価は大きく変わりました。
このように、MLBの人気は「強さ」だけでなく、「物語」によって作られます。呪いを破る、初優勝を果たす、低迷から復活する、若手が成長する、スターが街を変える。こうしたストーリーが、ファンを引きつける大きな力になります。
メジャーリーグの人気球団ランキングを考える時、最上位に来るのはやはりヤンキースとドジャースです。ヤンキースは歴史、優勝回数、ブランド力で別格の存在であり、ドジャースは近年の強さ、スター選手、国際人気によって急速に存在感を高めています。
その下には、カブス、レッドソックス、ジャイアンツ、カージナルスのような伝統球団が続きます。さらに、ブレーブス、フィリーズ、アストロズ、レンジャーズのように、近年の成績やスター選手によって人気を高めている球団もあります。
MLBの人気は固定されたものではありません。スター選手の移籍、ワールドシリーズ優勝、若手選手の台頭、SNSでの話題、国際的な注目によって、数年で大きく変わることがあります。だからこそ、メジャーリーグの人気球団ランキングは、歴史だけでなく、現在の勢いも合わせて見ることが大切です。
2026年時点で見ると、伝統のヤンキース、現在のドジャース、物語性のカブス、熱狂のレッドソックス、地域密着のカージナルスやフィリーズなど、それぞれの球団に異なる魅力があります。MLBの面白さは、まさにその多様性にあると言えるでしょう。
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