2026年に入り、「スーパーエルニーニョ現象が発生するのではないか」「日本は記録的な猛暑や暖冬になるのか」といった関心が高まっています。
実際、2026年春からエルニーニョ現象が発生しており、太平洋赤道域の海面水温は急速に上昇しています。米国海洋大気庁(NOAA)は、2026年末にかけて非常に強いエルニーニョへ発達する可能性が高いとの予測を発表しました。
ただし、「スーパーエルニーニョ」という言葉は正式な気象用語ではありません。また、強いエルニーニョが発生したからといって、日本が必ず猛暑、大雨、暖冬になるとは限りません。
この記事では、2026年のエルニーニョ現象の現在地と、日本の夏、秋、冬への影響を分かりやすく解説します。
気象庁は2026年7月10日、2026年春からエルニーニョ現象が続いているとの見解を発表しました。
2026年6月のエルニーニョ監視海域では、海面水温が基準値より1.9℃高くなりました。大気の状態についても、貿易風が弱まり、日付変更線付近の積乱雲の活動が活発になるなど、エルニーニョ現象に特徴的な変化が確認されています。
気象庁は、今後も海面水温が秋にかけて上昇し、エルニーニョ現象が続く確率を100%としています。

「スーパーエルニーニョ」とは、通常よりも海面水温の上昇幅が大きい、非常に強いエルニーニョ現象を表す通称です。
一般的には、太平洋中東部の「ニーニョ3.4海域」の海面水温が、一定期間にわたって平年より2.0℃以上高くなった場合などに使われます。しかし、基準は機関や研究者によって異なり、世界気象機関(WMO)は「スーパーエルニーニョ」を正式な分類名として使用していません。
NOAAでは、エルニーニョの強さを次のように分類しています。
| 海面水温の差 | エルニーニョの強さ |
|---|---|
| +0.5℃以上1.0℃未満 | 弱い |
| +1.0℃以上1.5℃未満 | 中程度 |
| +1.5℃以上2.0℃未満 | 強い |
| +2.0℃以上 | 非常に強い |
この「非常に強い」段階が、一般にスーパーエルニーニョと呼ばれる状態に近いと考えられます。
NOAAが2026年7月9日に発表した見通しでは、エルニーニョ現象は年末にかけてさらに強まり、2027年春の初めまで続く確率が97%とされています。
特に2026年10月から12月にかけて、海面水温の偏差が2.0℃以上となる「非常に強いエルニーニョ」になる確率は81%です。実現した場合、1950年以降でも最大級のエルニーニョ現象の一つになる可能性があります。
WMOも、2026年7月から9月にかけてエルニーニョが急速に強まり、主要な監視海域では季節平均の海面水温が平年より2℃以上高くなる可能性を示しています。
気象庁は2026年6月の海面水温を「基準値より1.9℃高い」と発表しています。一方、NOAAが7月に示した直近のニーニョ3.4指数はプラス1.2℃でした。
これは、両機関が監視している海域や計算方法、平年値の設定が異なるためです。
気象庁は主に南米寄りの「ニーニョ3海域」を監視していますが、NOAAはそれより西側を含む「ニーニョ3.4海域」を重視しています。そのため、気象庁の月平均値がプラス1.9℃になったからといって、その時点で直ちに「スーパーエルニーニョが確定した」という意味ではありません。

「スーパーエルニーニョ=日本も猛暑」と考えられがちですが、両者の関係はそれほど単純ではありません。
過去の統計では、エルニーニョ現象が発生した夏は、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱くなりやすく、西日本では気温が低く、北日本と東日本でも平年並みか低くなる傾向があります。また、西日本の日本海側では雨が多くなる傾向があります。
しかし、2026年の実際の予報は、この典型的なパターンとは異なります。
気象庁の2026年7月から9月の3か月予報では、期間の前半を中心に暖かい空気に覆われやすく、東日本、西日本、沖縄・奄美の平均気温は平年より高くなる見込みです。北日本も平年並みか高いと予測されています。
つまり、2026年夏については「エルニーニョだから冷夏になる」とは言えません。地球温暖化による長期的な気温上昇や、日本周辺の海面水温、大気の流れなど、複数の要因が重なるためです。
2026年7月から9月の降水量は全国的にほぼ平年並みと予想されています。ただし、季節全体の雨量が平年並みでも、線状降水帯や台風によって短期間に記録的な雨が降る可能性はあります。

エルニーニョ現象が強まると、熱帯太平洋で積乱雲が発生する場所が変化し、世界各地の気圧配置や雨の降り方にも影響が及びます。
日本では、エルニーニョ発生時の梅雨に、西日本日本海側で降水量が多くなる傾向があります。また、近畿、四国、東海、中国地方などでは、梅雨明けが平年並みか遅くなる傾向も確認されています。
ただし、エルニーニョだけを理由に、特定の地域で豪雨が発生すると事前に断定することはできません。
大雨は、梅雨前線の位置、台風、海面水温、偏西風、湿った空気の流入などが重なって発生します。エルニーニョは、それらの背景となる大規模な気象条件の一つです。

エルニーニョ現象が発生すると、台風が発生する海域が平年より東にずれることがあります。その結果、台風が海上を長く進み、発達する時間が長くなる場合があります。
一方で、日本への接近数や上陸数が必ず増えるわけではありません。台風の進路は太平洋高気圧や偏西風の位置に大きく左右されるため、「スーパーエルニーニョだから台風が日本を直撃する」と判断することはできません。
2026年秋にかけてはエルニーニョがさらに強まる予測となっているため、台風の発生位置や進路の変化を含め、最新の台風情報を確認することが重要です。
強いエルニーニョが2026年末まで続いた場合、2026年12月から2027年2月にかけての日本は、暖冬傾向になる可能性があります。
過去の統計では、エルニーニョ発生時の冬は、西日本で平均気温が平年並みか高くなる傾向があります。東日本の太平洋側と沖縄・奄美では降水量が多く、西日本や東日本の太平洋側では日照時間が少なくなる傾向があります。
ただし、暖冬であっても一時的な強い寒気は流れ込みます。また、太平洋側を低気圧が通過する「南岸低気圧」によって、関東甲信などで大雪になる可能性もあります。
暖冬とは、冬の3か月間を平均した気温が高いという意味です。毎日暖かく、雪がまったく降らないという意味ではありません。
なお、2026年7月時点では、気象庁による2026年から2027年冬の正式な寒候期予報はまだ発表されていません。暖冬になると決まったわけではなく、今後の季節予報を確認する必要があります。

強いエルニーニョ現象は、日本の農業や食品価格にも間接的な影響を与える可能性があります。
夏の高温や大雨が発生すると、コメ、野菜、果物などの品質や収穫量に影響が出ることがあります。高温によるコメの白未熟粒、野菜の生育不良、果実の日焼けなどにも注意が必要です。
さらに、エルニーニョは日本だけでなく、オーストラリア、東南アジア、南米などの雨量や気温にも影響します。干ばつや洪水によって、小麦、トウモロコシ、大豆、コーヒー、カカオ、砂糖などの国際価格が上昇すれば、日本の食品価格にも波及する可能性があります。

エルニーニョ現象では、太平洋全体の海流や海面水温が変化します。魚が生息しやすい水温の海域が移動し、漁場が例年と変わる可能性があります。
日本近海では、エルニーニョだけでなく、黒潮の流路、海洋熱波、日本周辺の海面水温なども漁業に影響します。そのため、特定の魚が必ず不漁または豊漁になるとは限りません。
ただし、海水温の高い状態が長期間続けば、養殖魚の病気や酸欠、サンゴの白化など、海洋生態系への影響が強まるおそれがあります。
2026年のエルニーニョ現象が、非常に強い段階まで発達する可能性が高いことは事実です。
一方で、次のような表現には注意が必要です。
エルニーニョの強さと、日本で実際に起こる天候の激しさは必ずしも一致しません。NOAAも、非常に強いエルニーニョであっても、すべての地域で典型的な影響が現れるとは限らないと説明しています。
気象庁も、2026年6月の日本では、エルニーニョ現象に特有の天候の特徴は明瞭に見られなかったとしています。
| 時期 | 予想される状況 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 2026年7月~8月 | 東・西日本などで高温傾向 | 猛暑、熱中症、局地的大雨 |
| 2026年秋 | エルニーニョがさらに強まる可能性 | 台風、大雨、天候不順 |
| 2026年末 | 非常に強いエルニーニョになる可能性 | 世界的な干ばつ、洪水、農産物価格 |
| 2026~2027年冬 | 西日本を中心に暖冬傾向の可能性 | 太平洋側の降水、南岸低気圧、大雪 |
2026年春からエルニーニョ現象が発生しており、秋から年末にかけて非常に強い状態へ発達する可能性が高まっています。NOAAの予測では、2026年10月から12月に「非常に強いエルニーニョ」になる確率は81%です。
そのため、2026年の現象が通称「スーパーエルニーニョ」と呼ばれる規模になる可能性は十分にあります。
ただし、日本への影響を単純に「スーパーエルニーニョだから猛暑」「必ず豪雨や暖冬になる」と結びつけることはできません。
2026年夏は、過去のエルニーニョ時に見られた冷夏傾向とは異なり、東日本や西日本を中心に気温が高くなる予報です。秋以降は台風や大雨、冬は暖冬傾向や太平洋側の降水にも注意が必要ですが、実際の天候は今後の大気や海洋の状態によって変わります。
エルニーニョの情報だけで判断せず、気象庁が発表する1か月予報、3か月予報、台風情報、早期天候情報などをあわせて確認することが重要です。