「戦争をしない国一覧」というテーマを考えるとき、最初に注意したいのは、世界に「絶対に戦争をしない」と断言できる国はほとんどないという点です。なぜなら、国際社会では、どの国にも自国を守る権利があり、他国から攻撃された場合には自衛のために武力を使う可能性があるからです。
そのため、「戦争をしない国」といっても、実際にはいくつかのタイプに分けて考える必要があります。
たとえば、軍隊を持たない国があります。コスタリカやパナマのように、憲法や制度によって常設軍を置かない国です。また、アイスランドのように軍隊を持たない一方で、NATOという軍事同盟に加盟している国もあります。さらに、スイスやオーストリアのように、軍隊は持っているけれども、他国間の戦争に参加しない「中立」を重視している国もあります。
つまり、「戦争をしない国」とは、単に「平和な国」という意味だけではなく、国の安全保障の仕組み、憲法、外交方針、軍隊の有無、同盟関係などを総合的に見て判断する必要があります。
この記事では、次のような分類で「戦争をしない国」を整理します。
「戦争をしない国」という言葉をそのまま受け取るのではなく、どのような制度や歴史によって平和を保っているのかを見ることで、世界の国々の違いがより分かりやすくなります。
「戦争をしない国」と呼ばれる国は、主に次の4つのタイプに分けられます。
国として正式な軍隊を持たない国です。警察や沿岸警備隊はありますが、陸軍・海軍・空軍のような本格的な軍隊を持たない場合があります。
代表例は、コスタリカ、パナマ、アイスランド、リヒテンシュタイン、アンドラ、サンマリノ、ドミニカ国、グレナダ、キリバス、ナウル、ツバルなどです。
ただし、「軍隊がない」といっても、完全に無防備という意味ではありません。多くの場合、警察組織が治安や国境管理を担当したり、他国との安全保障協定によって防衛を補ったりしています。
過去には軍隊を持っていたものの、内戦や政治改革をきっかけに軍隊を廃止した国です。
代表的なのがコスタリカとパナマです。コスタリカは1948年の内戦後、軍隊を廃止し、1949年憲法で常設軍を持たない方針を明確にしました。パナマも1989年の米軍侵攻後、軍の廃止に進み、1990年代に常設軍を持たない体制を確立しました。
このタイプの国は、「軍事力を持たないこと」を国家の特徴として打ち出している場合が多く、平和国家として紹介されることがあります。
中立国とは、他国同士の戦争に参加しない方針を掲げる国です。スイス、オーストリア、アイルランド、マルタ、トルクメニスタンなどがよく挙げられます。
ただし、中立国の多くは軍隊を持っています。特にスイスは「武装中立」という考え方をとっており、他国の戦争には加わらない一方で、自国を守るための軍事力は持っています。
つまり、中立国は「軍隊がない国」ではありません。「他国の戦争に参加しないことを重視する国」と理解する方が正確です。
日本のように、憲法で戦争放棄を掲げている国もあります。日本国憲法第9条では、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄することが定められています。
ただし、日本には自衛隊があります。そのため、日本を「軍隊を持たない国」と同じ分類に入れることはできません。日本は「戦争放棄を憲法に掲げる国」であり、同時に「自衛のための実力組織を持つ国」と見る必要があります。
ここからは、「戦争をしない国」としてよく紹介される国々を、タイプ別に一覧形式で見ていきます。

コスタリカは、「軍隊を持たない国」として世界的によく知られています。中米に位置する国で、1948年の内戦後、軍隊を廃止しました。翌1949年の憲法では、常設軍を持たないことが明記され、現在でもその方針が続いています。
コスタリカが注目される理由は、単に軍隊を廃止しただけではありません。軍事費に使うはずだった予算を、教育、医療、環境保護、社会福祉などに振り向けてきた点が特徴です。そのため、コスタリカは「軍隊を持たない平和国家」として、国際的な平和教育や政治学の分野でもよく取り上げられます。
ただし、コスタリカが完全に安全保障を放棄しているわけではありません。国内には警察組織や国境警備に関わる部隊があり、治安維持や麻薬対策などを行っています。つまり、軍隊は持たないが、警察力や国際協力によって安全を守っている国といえます。
コスタリカは「戦争をしない国」の代表例として最も紹介しやすい国ですが、「何も備えていない国」ではなく、「軍隊ではなく警察・外交・国際協力を重視する国」と理解すると正確です。

パナマも、常設軍を持たない国として知られています。パナマは中米に位置し、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河を持つ重要な国です。
かつてパナマには軍事組織がありましたが、1989年の米軍侵攻後、軍隊は解体されました。その後、1990年代に憲法改正によって常設軍の設置を禁止する方向が明確になりました。
現在のパナマには、国家警察、国境警備隊、航空海上警備組織などがあります。これらは治安維持、国境管理、麻薬取締り、海上警備などを担当しています。つまり、パナマには「軍隊」はありませんが、安全保障に関わる組織は存在します。
パナマが戦争をしない国として注目されるのは、軍事独裁や政治的混乱を経験した後、軍を持たない体制へ転換した点にあります。コスタリカと同じく、「軍隊を持たないことで民主主義を安定させようとした国」と見ることができます。

アイスランドは、北大西洋に位置する島国です。軍隊を持たない国として知られていますが、同時にNATOに加盟しているという特徴があります。
この点がアイスランドを非常に興味深い国にしています。軍隊を持たないにもかかわらず、軍事同盟には入っているからです。
アイスランドには、陸軍・海軍・空軍のような常設軍はありません。しかし、沿岸警備隊や警察特殊部隊、防空に関わる仕組みがあります。また、アメリカとの防衛協定もあり、冷戦期にはアメリカ軍がアイスランドに駐留していました。
アイスランドは「軍隊を持たない平和国家」と紹介されることがありますが、正確には「自国軍を持たず、NATOや同盟国との協力によって安全保障を確保している国」です。
そのため、コスタリカのような非武装平和国家とは少し性格が異なります。アイスランドは軍隊を持たない一方で、集団安全保障の仕組みに深く関わっている国です。

リヒテンシュタインは、スイスとオーストリアに挟まれた小さな国です。現在、常設軍を持っていません。
リヒテンシュタインは19世紀に軍隊を廃止しました。国土が小さく、人口も少ないため、大規模な軍事力を維持することは現実的ではありませんでした。現在は警察組織が国内の治安を担当しています。
外交や経済の面ではスイスとの関係が深く、通貨もスイスフランを使用しています。安全保障についても、地理的・外交的にスイスとの関係が大きな意味を持っています。
リヒテンシュタインは「戦争をしない国」というより、「軍隊を持たず、周辺国との安定した関係によって平和を保っている小国」といえます。

アンドラは、フランスとスペインの間、ピレネー山脈にある小国です。アンドラには常設軍がありません。
ただし、アンドラには警察組織があり、国内の治安や非常時の対応を担っています。また、歴史的にフランスとスペインとの関係が深く、必要な場合には両国との関係が安全保障上の支えになります。
アンドラのような小国は、地理的に大国に囲まれているため、自国だけで軍事力を持つよりも、外交関係や国際的な取り決めを通じて安全を確保する形をとっています。
このような国は、戦争をしないというより、「軍事力よりも外交と周辺国との関係を重視する国」と考えると分かりやすいです。

サンマリノは、イタリア国内に囲まれるように存在する小国です。世界最古級の共和国として知られています。
サンマリノには大規模な軍隊はなく、儀礼的・警備的な性格の組織が中心です。実際の安全保障は、地理的にも政治的にもイタリアとの関係に大きく依存しています。
サンマリノは、長い歴史を持ちながら、大国との戦争に積極的に参加するよりも、独立を守りながら周囲との関係を維持する道を選んできた国です。
「戦争をしない国」として見る場合、サンマリノは「小国が外交と歴史的な立場によって生き残ってきた例」として重要です。

バチカン市国は、ローマ教皇を中心とする世界最小の独立国家です。軍隊という意味では非常に特殊な国です。
バチカンにはスイス衛兵が存在しますが、これは一般的な意味での国家軍とは異なり、教皇の警護や儀礼的役割を担う組織です。バチカン市国は国際政治においても、軍事力ではなく宗教的・外交的影響力を中心に活動しています。
バチカンは戦争をしない国というより、「宗教的権威と外交によって国際社会に関わる特殊な国家」です。武力で国益を追求する国ではなく、平和、対話、人道支援などのメッセージを発信する立場にあります。

ドミニカ国は、カリブ海にある島国です。常設軍を持っていません。国内の治安や安全は警察組織が担っています。
カリブ海地域には、軍隊を持たない小国が複数あります。これは、人口や経済規模が小さく、大規模な軍を維持することが難しいこと、周辺国との協力体制があること、治安維持には警察力を重視していることなどが関係しています。
ドミニカ国の場合も、戦争をしないというより、「軍隊を持たず、警察と地域協力によって安全を守る国」といえます。

グレナダは、カリブ海に位置する国です。1983年の政治混乱とアメリカ主導の軍事介入の後、軍隊は解体されました。現在は常設軍を持たず、警察組織が治安維持を担っています。
グレナダは、コスタリカやパナマと同じように、過去の政治的混乱を経て軍隊を持たない体制になった国です。ただし、国の規模や地域情勢が異なるため、コスタリカほど「平和国家モデル」として大きく取り上げられることは多くありません。
それでも、軍隊を持たない国家の一例として、グレナダは重要です。

キリバスは、太平洋に広がる島国です。常設軍を持っておらず、警察組織が国内の安全を担当しています。
キリバスのような太平洋の島国では、軍隊よりも海上警備、災害対応、漁業資源の保護、気候変動への対応などが重要になります。国土が広い海域に分散しているため、軍事力よりも海上監視や国際協力が大きな意味を持ちます。
キリバスは、戦争をしない国というより、「軍事よりも環境・海洋管理・国際協力が国家課題の中心になっている国」といえます。

ナウルは、太平洋にある非常に小さな島国です。常設軍を持っていません。国内の治安は警察が担当しています。
ナウルのような小国では、人口や経済規模の面から見ても、陸軍や海軍を本格的に維持することは現実的ではありません。そのため、軍隊を持たず、警察組織や周辺国との協力を通じて安全を確保する形になります。
ナウルは、戦争をしない国というより、「軍事力を持つことが現実的でない小国が、外交と協力によって安全を確保している例」として理解できます。

ツバルも、太平洋にある小さな島国です。常設軍を持っていません。警察組織が治安や海上監視を担っています。
ツバルにとって重要なのは、軍事的な対立よりも、気候変動、海面上昇、国土保全、国際支援です。国家の存続に関わる課題は、戦争よりも環境問題の方にあります。
このような国では、軍隊を持たないことは単なる平和主義というより、国の規模や優先課題に合った現実的な選択でもあります。

ソロモン諸島は、南太平洋にある国で、常設軍を持っていません。国内の安全は警察が担当します。
ただし、ソロモン諸島は近年、太平洋地域の安全保障をめぐって国際的に注目されることがあります。中国、オーストラリア、アメリカなどの影響力が交差する地域にあるためです。
この国の例から分かるのは、「軍隊を持たない国=国際政治と無関係」というわけではないということです。軍隊がなくても、地理的な位置や外交関係によって、大国間の関心の対象になることがあります。

ミクロネシア連邦は、太平洋にある国で、常設軍を持っていません。安全保障については、アメリカとの自由連合協定が大きな役割を果たしています。
このような国では、自国で軍隊を持たない代わりに、特定の大国との協定によって防衛を補っています。ミクロネシア連邦の場合、アメリカとの関係が国家安全保障の柱になっています。
「戦争をしない国」として見る場合、ミクロネシア連邦は「自国軍を持たず、同盟的な協定によって安全を確保する国」といえます。

マーシャル諸島も、常設軍を持たない太平洋の国です。ミクロネシア連邦と同じく、アメリカとの自由連合関係が安全保障の中心です。
マーシャル諸島は、第二次世界大戦後の歴史やアメリカの核実験の記憶とも深く関わる国です。そのため、安全保障を考える際には、単に「軍隊がない平和な国」と見るだけでは不十分です。
軍隊を持たない一方で、大国との歴史的関係や軍事的な影響を強く受けてきた国でもあります。

パラオも、常設軍を持たない国です。安全保障面ではアメリカとの自由連合協定が重要な役割を果たしています。
パラオは日本とも歴史的な関係が深く、太平洋地域の中でも日本人に比較的知られている国です。軍隊を持たない一方で、太平洋の戦略的な位置にあるため、安全保障上の関心を集めることがあります。
パラオの例は、「軍隊を持たない国でも、国際政治の中で重要な位置を占めることがある」という点を示しています。
ここからは、軍隊を持たない国ではなく、「中立」を掲げる国を見ていきます。中立国は、他国間の戦争に加わらない方針を重視しますが、多くの場合、自国防衛のための軍隊は持っています。

スイスは、世界で最も有名な中立国の一つです。1815年のウィーン会議以降、永世中立国として知られてきました。
スイスの中立は「何もしない」という意味ではありません。スイスは軍隊を持ち、国民皆兵に近い制度も取り入れてきました。つまり、他国の戦争には加わらないが、自国が攻撃された場合には自分たちで守るという考え方です。
このような考え方は「武装中立」と呼ばれます。スイスは中立国でありながら、軍事的な備えを持っている点が重要です。
そのため、スイスを「戦争をしない国」と呼ぶ場合には、「軍隊を持たない国」ではなく、「他国間の戦争に参加しないことを原則とする国」と説明する必要があります。

オーストリアは、第二次世界大戦後の1955年に永世中立を宣言しました。東西冷戦の時代、オーストリアは西側にも東側にも完全には属さない立場をとることで、自国の独立と安定を守ろうとしました。
オーストリアには軍隊があります。したがって、軍隊を持たない国ではありません。しかし、軍事同盟への参加や他国の戦争への関与については慎重な姿勢をとってきました。
オーストリアの中立は、冷戦期のヨーロッパ政治と深く関係しています。戦争を避けるための外交方針として、中立が国家の柱になった国です。

アイルランドは、ヨーロッパの中で中立政策を重視してきた国です。第二次世界大戦中も中立を保ち、NATOにも加盟していません。
ただし、アイルランドには国防軍があります。軍隊を持たない国ではありません。また、国連平和維持活動には積極的に参加してきた歴史があります。
アイルランドの中立は、完全な孤立主義ではなく、「軍事同盟には参加しないが、国際平和への協力は行う」という性格を持っています。
この点は重要です。中立国だからといって、世界の問題に関わらないわけではありません。むしろ、国連活動や外交を通じて平和に貢献する国もあります。

マルタは、地中海にある小さな島国です。歴史的に地中海の戦略的要所に位置しており、イギリスの影響も受けてきました。
独立後、マルタは中立政策を掲げるようになりました。軍隊はありますが、他国の軍事対立に巻き込まれないようにする姿勢を重視しています。
マルタは地理的にヨーロッパ、北アフリカ、中東に近いため、外交的なバランスが非常に重要です。中立政策は、地中海の小国が安全を保つための現実的な選択でもあります。

トルクメニスタンは、中央アジアに位置する国です。1995年に国連総会で永世中立の地位が認められたことで知られています。
トルクメニスタンには軍隊があります。したがって、非武装国家ではありません。しかし、外交方針としては中立を強く掲げています。
中央アジアは、ロシア、中国、イラン、アフガニスタンなどの影響が交差する地域です。その中でトルクメニスタンは、中立を国家戦略として打ち出しています。
ただし、トルクメニスタンの中立は、スイス型の中立とは異なります。政治体制や外交のあり方も含めて、独自の中立政策と見る必要があります。
日本は、「戦争をしない国」として語られることが多い国です。その理由は、日本国憲法第9条にあります。
日本国憲法第9条では、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄することが定められています。また、戦力の不保持や交戦権の否認も規定されています。このため、日本は第二次世界大戦後、国家として他国との戦争を行っていません。
ただし、日本には自衛隊があります。自衛隊は、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊からなり、実際には高度な装備と組織を持っています。そのため、海外から見ると日本は「軍事力を持たない国」ではなく、「憲法上、戦争放棄を掲げながら、自衛のための実力組織を持つ国」と見られることが多いです。
日本を「戦争をしない国」と呼ぶ場合には、次のように整理すると分かりやすくなります。
つまり、日本は「軍隊を持たない国」ではなく、「戦争放棄を憲法に掲げる国」として位置づけるのが正確です。
ここまで見てきたように、「軍隊を持たない国」と「戦争をしない国」は同じではありません。
軍隊を持たない国でも、警察や沿岸警備隊が武装していることがあります。また、他国との防衛協定によって安全を確保している国もあります。逆に、軍隊を持っていても、中立政策を掲げ、他国の戦争に参加しないことを重視している国もあります。
たとえば、コスタリカは常設軍を持たない国です。一方、スイスは軍隊を持っていますが、永世中立国として知られています。アイスランドは軍隊を持っていませんが、NATOに加盟しています。日本は戦争放棄を憲法に掲げていますが、自衛隊があります。
このように、「戦争をしない国」という言葉だけでは、国の実態を正確に表すことはできません。重要なのは、次のような視点です。
これらを分けて考えることで、世界の国々の平和政策をより正確に理解できます。
軍隊を持たない国が存在する理由は、一つではありません。国によって事情が大きく異なります。
アンドラ、リヒテンシュタイン、サンマリノ、ナウル、ツバルなどの小国では、本格的な軍隊を維持することが現実的ではありません。人口や財政規模が小さいため、軍隊を持つよりも、警察や外交、周辺国との協力に力を入れる方が合理的です。
コスタリカやパナマのように、軍隊が国内政治に大きな影響を与えた歴史を持つ国では、軍を廃止することで民主主義を安定させようとしました。
軍隊は外敵から国を守るための組織ですが、国によっては軍が政治に介入し、クーデターや独裁の原因になることもあります。そのため、あえて常設軍を持たないという選択をした国があります。
ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオなどは、アメリカとの自由連合関係の中で安全保障を確保しています。アイスランドも、NATOやアメリカとの防衛協定が重要です。
このような国は、自国軍を持たない代わりに、他国や同盟の力を利用して安全を守っています。
サンマリノやバチカン市国のように、周囲をイタリアに囲まれている国では、自国だけで大規模な軍隊を持つ必要性が低くなります。リヒテンシュタインも、スイスやオーストリアとの関係の中で安全を保っています。
コスタリカのように、軍隊を持たないことを国家の理念として打ち出している国もあります。軍事費を教育や福祉に回すことで、社会全体の安定を高めるという考え方です。
軍隊を持たない国や中立国は、平和なイメージがあります。しかし、必ずしも危険がないわけではありません。
軍隊を持たない国でも、犯罪、麻薬密輸、国境問題、海上警備、サイバー攻撃、災害対応などの課題があります。また、大国の影響力争いに巻き込まれる可能性もあります。
中立国も同じです。スイスは中立国ですが、軍事的な備えは持っています。オーストリアも軍隊を持っています。中立を守るには、外交力だけでなく、一定の防衛力や国際的な信用が必要になることがあります。
つまり、「戦争をしない国」は、ただ武器を持たないから平和なのではありません。多くの場合、平和を維持するために、外交、法律、教育、経済、国際協力、治安維持、地域関係などを組み合わせています。
以下は、代表的な国々を分類した一覧です。
| 国名 | 主な特徴 | 軍隊の有無 | ポイント |
|---|---|---|---|
| コスタリカ | 常設軍を廃止 | なし | 平和国家の代表例。警察組織が治安を担当 |
| パナマ | 常設軍を廃止 | なし | 軍事政権の歴史を経て軍を廃止 |
| アイスランド | 自国軍なし、NATO加盟 | なし | 軍隊はないがNATOと防衛協定が重要 |
| リヒテンシュタイン | 小国、軍隊廃止 | なし | スイスとの関係が深い |
| アンドラ | フランス・スペイン間の小国 | なし | 周辺国との関係で安全を確保 |
| サンマリノ | イタリアに囲まれた小国 | 大規模軍なし | 儀礼的・警備的組織が中心 |
| バチカン市国 | 宗教国家 | 一般的軍隊なし | スイス衛兵は警護・儀礼的性格 |
| ドミニカ国 | カリブ海の小国 | なし | 警察と地域協力が中心 |
| グレナダ | 軍を解体 | なし | 1980年代の政治混乱後に軍を廃止 |
| キリバス | 太平洋の島国 | なし | 海洋管理や環境問題が重要 |
| ナウル | 太平洋の小国 | なし | 警察が治安を担当 |
| ツバル | 太平洋の小国 | なし | 気候変動が最大級の課題 |
| ソロモン諸島 | 太平洋の国 | なし | 大国間の影響力争いに注目される |
| ミクロネシア連邦 | アメリカとの自由連合 | なし | 防衛はアメリカとの協定が重要 |
| マーシャル諸島 | アメリカとの自由連合 | なし | 歴史的にアメリカとの関係が深い |
| パラオ | アメリカとの自由連合 | なし | 太平洋の戦略的位置にある |
| スイス | 永世中立・武装中立 | あり | 軍隊は持つが他国の戦争に参加しない方針 |
| オーストリア | 永世中立 | あり | 1955年以降、中立を国家方針に |
| アイルランド | 軍事同盟に距離 | あり | NATO非加盟、国連活動には参加 |
| マルタ | 地中海の中立国 | あり | 地理的なバランスを重視 |
| トルクメニスタン | 国連に認められた永世中立 | あり | 中央アジアの中立国家 |
| 日本 | 憲法で戦争放棄 | 自衛隊あり | 軍隊を持たない国ではなく、戦争放棄を掲げる国 |
「戦争をしない国一覧」と聞くと、軍隊を持たず、すべての争いから離れている国を想像しがちです。しかし、実際の世界はもっと複雑です。
コスタリカのように常設軍を廃止した国があります。パナマのように、軍事政権の経験を経て軍を持たない制度に変わった国もあります。アイスランドのように軍隊は持たないが、NATOに加盟している国もあります。スイスのように軍隊を持ちながら中立を守る国もあります。日本のように、憲法で戦争放棄を掲げながら、自衛隊を持つ国もあります。
つまり、「戦争をしない国」とは、単に軍隊がない国のことではありません。国の歴史、地理、外交、安全保障、憲法、同盟関係によって、さまざまな形があります。
本当に大切なのは、国がどのようにして戦争を避け、平和を守ろうとしているのかを見ることです。軍隊を持たないことも一つの方法です。中立を掲げることも一つの方法です。憲法で戦争を制限することも一つの方法です。国際協力や外交を重視することも、平和を守る重要な方法です。
「戦争をしない国」を学ぶことは、単に国名を覚えることではありません。世界の国々がどのように平和を守ろうとしているのかを知ることです。そして、それは戦争と平和について考えるための大切な入口になります。