Japan Luggage Express
Japan Luggage Express Ltd.

食品消費税ゼロの国

英国人女性ー食事

食品消費税ゼロの国

はじめに

「食品消費税がゼロの国」というテーマは、近年の物価高やエネルギー価格の上昇、世界的なインフレの影響を受け、改めて注目を集めています。とりわけ食料品は、生活する上で欠かすことのできない必需品であり、その価格にどの程度の税金が上乗せされるかは、家計の負担に直結します。

消費税や付加価値税は、税制として安定した税収を確保できる一方で、所得の低い層ほど負担が重くなる「逆進性」が指摘されてきました。そのため、多くの国では生活必需品である食品について、税率をゼロにしたり、非課税としたりする特別な配慮が行われています。

本記事では、食品に消費税(付加価値税・VAT・GSTなど)が課されていない国や、制度上は課税が存在するものの、実質的にゼロに近い扱いをしている国を中心に取り上げます。あわせて、そうした制度が採用されている背景や、メリット・デメリット、日本との違いについても、できるだけ丁寧に整理していきます。


消費税と食品税率の基本

まず前提として、多くの国では、日本の「消費税」に相当する税が導入されていますが、その名称や仕組みは国によって異なります。代表的なものとしては、以下が挙げられます。

  • 消費税(日本)
  • 付加価値税(VAT:Value Added Tax)
  • 物品サービス税(GST:Goods and Services Tax)

これらはいずれも、商品やサービスの消費に対して広く薄く課税する間接税ですが、食品に対する扱いには大きな違いがあります。

国ごとの制度は大きく分けると、次のようなタイプに分類できます。

  • 標準税率をすべての商品・サービスに一律で課す国
  • 生活必需品(食品・医薬品など)を非課税またはゼロ税率にする国
  • 食品の中でも種類によって税率を細かく分ける国

特に食品については、「生きていくために不可欠なもの」という性質から、税負担を軽減する政策が採られることが多いのが特徴です。


食品消費税が「ゼロ」の国・地域

ここでは、食品に対して消費税・VATが原則としてかからない国、あるいは法律上ゼロ税率が明確に適用されている国を紹介します。

イギリス

イギリスは、食品のゼロ税率を語る際に必ずと言っていいほど取り上げられる国です。多くの基本的な食料品がVATゼロ税率となっています。

  • パン、米、パスタ、野菜、果物
  • 肉、魚、卵、牛乳などの未加工食品

これらはVATが0%です。一方で、

  • 外食
  • 菓子類やスナック菓子
  • 清涼飲料水やアルコール類

などは標準税率が課されます。何が「必需品」で、何が「嗜好品」かを明確に分ける考え方が、制度の根底にあります。

アイルランド

アイルランドもイギリスと非常に近い制度を採用しており、

  • 基本的な食品:VAT 0%

となっています。EU加盟国でありながら、食品の税率がゼロである点は特徴的です。家計負担の軽減と社会的弱者への配慮を重視した税制といえます。

マルタ

マルタでは、

  • 基本的な食料品:VAT 0%

が適用されています。島国であり、食料の多くを輸入に頼っているため、食品価格が上昇しやすい事情があります。そのため、税制面で価格を抑える工夫がなされていると考えられます。

カナダ

カナダでは、連邦レベルの税であるGSTにおいて、

  • 基本的な食料品:ゼロ税率

が適用されます。ただし、

  • 菓子類
  • 清涼飲料水
  • レストランでの外食

などは課税対象となります。食品であっても一律に非課税ではなく、生活必需性の高いものに限定している点が特徴です。


食品消費税が「実質ゼロ」に近い国

次に、法律上は消費税やGSTが存在するものの、生活必需品については非課税または大幅に軽減されており、実質的に食品消費税がゼロに近い国を見ていきます。

オーストラリア

オーストラリアでは、

  • 生鮮食品
  • 基本的な食料品

についてはGSTが非課税とされています。加工度の低い食品ほど税負担が軽くなる仕組みで、健康志向や公衆衛生政策とも関係しています。一方、加工食品や外食には課税されるため、線引きは比較的細かくなっています。

ニュージーランド

ニュージーランドは、やや異なるアプローチを取っている国です。原則として、

  • 食品を含め、ほぼすべての商品・サービスにGSTを課税

しています。その代わりに、社会保障や給付、税額控除などによって、低所得層を支える仕組みを整えています。このため、食品税をゼロにする代わりに、再分配政策で対応する国の代表例といえます。


食品消費税ゼロ制度のメリット

食品消費税をゼロにする制度には、さまざまな利点があります。

  • 食料品価格が抑えられ、日常生活の負担が軽くなる
  • 所得の低い世帯ほど重くなりがちな税負担(逆進性)を緩和できる
  • インフレ時に、最低限の生活コストを守る効果がある

特に、所得にかかわらず同じ税率がかかる消費税においては、食品ゼロ税率は公平性を高める有効な手段とされています。


食品消費税ゼロ制度のデメリット

一方で、食品消費税をゼロにすることには課題も存在します。

  • 国や地方自治体の税収が減少する
  • どこまでを「食品」とするかの線引きが難しい
  • 事業者の会計処理や事務負担が増える

例えば、健康食品やサプリメント、調理済み食品などを食品とみなすかどうかは、国によって判断が分かれやすい点です。制度が複雑になりすぎると、分かりにくさが新たな問題になることもあります。


日本との比較

日本では現在、

  • 食品:軽減税率8%
  • 外食・酒類:10%

という仕組みが採用されています。食品が非課税やゼロ税率である国と比べると、日本の食品税率は依然として高い水準にあります。

その背景には、

  • 安定した税収を確保する必要性
  • 社会保障財源として消費税を位置づけている点

があります。現在高市首相が消費税をゼロにする事を検討している事を表明しましたましたが、日本は元もと食品税をゼロにする代わりに、給付金や社会保障制度を通じて再分配を行うという考え方を重視していたといえます。


まとめ

食品消費税がゼロ、あるいは実質的にゼロに近い国は世界に複数存在し、特に欧州諸国や英連邦諸国に多く見られます。

  • 生活必需品への配慮を税制に直接反映させる国
  • 税制全体の簡素さや再分配政策を重視する国

それぞれの社会的背景や価値観によって、選ばれる制度は異なります。食品消費税ゼロという政策は、単なる減税ではなく、その国がどのような生活水準を守ろうとしているのかを示す指標ともいえるでしょう。

今後、日本で食品消費税のあり方が議論される際には、海外の事例を表面的に見るだけでなく、その背景にある考え方まで含めて理解することが重要になります。

 

Leave a Reply