横浜市の山中竹春市長をめぐるパワーハラスメント問題で、全国的に名前が知られるようになったのが、横浜市の幹部職員である久保田淳(くぼた・あつし)氏です。
久保田氏は、横浜市総務局の人事部長を務めていた2026年1月、市長による暴言や威圧的な言動が繰り返されていたとして、実名と顔を公表したうえで記者会見を開きました。
告発した人物が一般職員ではなく、市職員の人事や職場環境を担当する現職の人事部長だったことから、横浜市政のガバナンスに関わる重大な問題として注目されました。
その後、外部の弁護士による第三者調査が行われ、2026年7月30日に公表された調査報告書では、市長の複数の言動がパワーハラスメントに当たると認定されています。
この記事では、久保田淳氏の経歴や学歴、横浜市役所で担当してきた仕事、実名告発に至った経緯、第三者調査の結果、現在の役職について整理します。
久保田淳氏は、横浜市役所に長年勤務している行政職員です。
国会議員や市議会議員などの政治家ではなく、地方公務員として市の政策立案や組織運営に携わってきた人物です。
2026年1月の報道では49歳、横浜市役所での勤続年数は約26年とされていました。このため、2000年前後に横浜市へ入庁したとみられますが、正確な入庁年月日は公表されていません。
久保田氏は、こども・家庭福祉、新型コロナウイルスワクチン接種、国際政策、アフリカ開発会議の誘致、人事行政など、幅広い分野を担当してきました。
| 氏名 | 久保田淳 |
|---|---|
| 読み方 | くぼた・あつし |
| 職業 | 横浜市職員 |
| 年齢 | 2026年1月の報道時点で49歳 |
| 主な役職 | 横浜市総務局人事部長、国際局担当部長など |
| 現在の役職 | 横浜市こども青少年局企画部長 |
| 学歴 | 出身大学・学部ともに公表されていない |
久保田淳氏の出身高校、出身大学、学部、専攻については、横浜市の公式資料や本人の公表資料で確認できません。
横浜市が公表している幹部職員の人事異動資料には、氏名、現在の役職、異動前後の所属などは掲載されますが、通常、学歴までは記載されません。
そのため、久保田氏についても、出身大学を特定できる公的資料は見つかっていないのが現状です。
一部では、横浜市の幹部職員に難関大学出身者が多いことを理由に、特定の大学名を推測する情報も見られます。しかし、本人の学歴を裏付けるものではないため、大学名や学部を断定することはできません。
また、入庁時の採用区分についても公表されていません。
ただし、課長級、部長級と昇進し、こども政策、国際政策、人事行政など複数の重要部門を担当してきた経歴から、行政実務や組織調整の面で長く評価されてきた職員であることはうかがえます。
横浜市の人事異動資料や組織資料から、久保田氏について確認できる主な経歴は次のとおりです。
| 時期 | 主な役職・所属 |
|---|---|
| 2000年前後 | 横浜市役所に入庁したとみられる |
| 2020年 | こども青少年局こども家庭課・こども家庭総合支援拠点準備担当課長 |
| 2021年 | こども家庭総合支援拠点準備担当課長を務めながら、ワクチン接種調整業務を兼務 |
| 2022年 | こども家庭総合支援拠点の整備など、こども・家庭支援分野を担当 |
| 2023年 | 国際局アフリカ開発会議誘致担当部長 |
| 2024年 | 国際局グローバルネットワーク推進部担当部長、アフリカ開発会議担当部長を兼務 |
| 2025年4月 | 総務局人事部長に就任 |
| 2026年1月 | 山中竹春市長の言動について実名で告発 |
| 2026年4月 | こども青少年局企画部長に異動 |
| 2026年7月 | 第三者調査報告書が公表され、告発した主要な言動の多くがパワハラと認定される |
久保田氏は、少なくとも2020年には、横浜市こども青少年局の「こども家庭総合支援拠点準備担当課長」を務めていました。
こども家庭総合支援拠点は、児童虐待、家庭内の問題、子育ての困難などについて、地域の家庭を継続的に支援するための行政機能です。
久保田氏は、支援拠点の設置に向けた制度設計や庁内調整などに携わっていたとみられます。
2021年には、新型コロナウイルスワクチンの接種調整に関する業務も兼務しました。
感染拡大という緊急事態の中で、通常のこども家庭行政に加え、全市的なワクチン接種事業にも関与していたことになります。
この経歴からは、久保田氏が人事分野だけを専門としてきたのではなく、福祉、保健、危機対応を含む行政実務を経験してきたことが分かります。
2023年、久保田氏は国際局のアフリカ開発会議誘致担当部長に就任しました。
アフリカ開発会議は、TICADと呼ばれる大規模な国際会議です。日本政府、国連、世界銀行、アフリカ連合委員会などが共同で開催し、アフリカ諸国の首脳や国際機関の関係者が参加します。
横浜市は過去にもTICADの開催地となっており、再び横浜へ誘致することは、市の国際政策や都市外交における重要な事業でした。
誘致担当部長には、外務省、各国大使館、国際機関、庁内各部局、会議施設など、多くの関係者との調整が求められます。
久保田氏は2024年にも国際局グローバルネットワーク推進部の担当部長を務め、アフリカ開発会議に関する業務を引き続き担当しました。
後に問題となった「切腹」発言も、この国際会議の誘致業務をめぐる場面で発せられたとされています。
久保田氏は2025年4月、横浜市総務局人事部長に就任しました。
横浜市は日本最大規模の基礎自治体であり、一般行政部門だけでなく、区役所、消防、学校、福祉、保健、土木など多数の組織を抱えています。
人事部長は、こうした巨大組織の人事行政を担う幹部職です。
具体的には、次のような分野に関係する重要な立場です。
久保田氏は、職員を守り、適正な職場環境を整える側の責任者でした。
その人事部長自身が、市長の言動を「看過できない水準」と判断して実名告発したことが、この問題が大きく注目された理由です。
2026年1月、久保田氏は、山中竹春市長による問題のある言動について実名で公表しました。
1月11日に週刊誌が久保田氏の告発を報じ、1月15日には久保田氏本人が記者会見を開きました。
久保田氏は一連の行動を、市長の言動を是正することを目的とした公益通報と位置付けました。
会見で指摘した主な内容は次のとおりです。
久保田氏は、こうした言動が本人だけでなく、ほかの幹部職員や市議会関係者などにも向けられていたと説明しました。
山中市長は2026年1月16日に記者会見を開きました。
その中で、「バカ」「ポンコツ」「クズ」「スペックが低い」など、久保田氏との会話で行き過ぎた表現を使用したことを認め、久保田氏につらい思いをさせたとして謝罪しました。
一方、市議会関係者の容姿を中傷したとされる発言や、市長室への出入り禁止などについては否定し、久保田氏の説明とは大きな隔たりが残りました。
このため、単なる言葉遣いの問題ではなく、第三者による客観的な事実確認が必要だという声が強まりました。
2026年1月28日、横浜市会は、市長の言動について真相究明を求める決議を全会一致で可決しました。
決議では、市長と久保田氏の主張が食い違っていることを指摘したうえで、市長の影響を受けない、公正・中立で専門性を持った第三者による調査を求めました。
また、久保田氏や調査に協力する職員が、人事上その他の不利益を受けないようにすることも求められました。
市は神奈川県弁護士会に推薦を依頼し、市や関係者と利害関係を持たない弁護士3人を調査委員に選任しました。
調査委員を補助する弁護士3人も加わり、計6人の弁護士によって調査が進められました。
第三者調査では、幹部職員や元幹部職員などを対象としたアンケート、全職員を対象とする情報提供窓口、関係者へのヒアリング、電子メールや通話記録などの確認が行われました。
調査期間は2026年3月から7月までの約4か月半です。
調査委員会は合計28回開かれ、久保田氏と山中市長のほか、現職・元職の職員など計57人にヒアリングが行われました。
職員が市長の人事権を恐れて証言をためらう可能性を考慮し、回答者の氏名や所属が特定されない仕組みも採用されました。
ヒアリングは庁舎外や勤務時間外でも実施できるようにし、回答内容を市側が閲覧できない体制が取られています。
2026年7月30日に公表された調査報告書では、久保田氏が告発した主要な言動の多くについて、事実が認定され、パワーハラスメントに当たると判断されました。
調査委員は、市長が久保田氏に対して怒鳴った事実を認定しました。
また、説明資料を机の上に投げつけた行為も認定し、いずれも業務上必要な指導の範囲を超え、精神的苦痛を与える行為だったと判断しました。
一方、同じ場面で市長が机をたたいたかどうかについては、直接的な証拠が不足しているとして、真偽不明とされています。
市長公舎で行われた会食の待ち時間に、市長がアフリカ開発会議の誘致をめぐり、「誘致できなければ切腹だ」という趣旨の発言をしたことも認定されました。
市長側は、自分自身の責任を表した言葉だったと説明しました。
しかし調査委員は、発言を聞いた職員が、自分が職を辞さなければならないなどと受け取ることは容易であり、精神的苦痛を与える発言だったとして、パワハラと判断しました。
市長が手で銃を撃つような形を作り、久保田氏に向けた行為も事実と認定されました。
久保田氏は、市長から「裏切ったらこれだからな」という趣旨の言葉とともに銃撃のポーズを向けられたと説明していました。
調査委員は、手で拳銃を模倣して相手へ向ける行為自体が強い精神的苦痛を与える威圧的な行為であるとして、パワハラに当たると判断しました。
市長が職員などについて、「ポンコツ」「人間のクズ」「スペックが低い」「頭が悪い」などと発言していた事実も認定されました。
一部の容姿に関する発言については、証拠が不足しているなどの理由で真偽不明とされました。
一方、人格を否定する発言や他人を侮辱する言動については、職員の職場環境を悪化させ、心理的安全性を損なうものとして、パワハラと評価されています。
市長から久保田氏やほかの幹部職員に対して、緊急性のない連絡が深夜や休日にも繰り返し行われていたことが認定されました。
一部の職員は、休日にも連絡へ対応するため、複数人で連絡体制を組んでいたとされています。
調査委員は、市長による時間外連絡が一部の職員だけでなく、その部下を含む複数の職員の就業環境を悪化させていたと指摘しました。
特定の幹部職員について、市長への対面説明の予約を取らせず、説明の機会を与えない、いわゆる「市長室出入り禁止」の運用が存在していたことも認定されました。
久保田氏自身についても、一時的に市長への対面説明が認められず、資料を封筒に入れて渡すよう指示された時期があったとされています。
調査委員は、明確な理由説明もなく、市長説明の機会を拒むことは、業務の適正な範囲を超え、職員に精神的苦痛を与える行為だと判断しました。
市長が久保田氏に対して、職員に「飛ばされるかもしれない」という恐怖を与えるため、人事部から圧力をかけられないかという趣旨の発言をした事実も認定されました。
調査では、特定部署の異動を例に「粛清」という表現が使われていたことや、人事異動に対して職員が不安や恐怖を感じていたことも確認されています。
市長には職員の人事に関する権限がありますが、その権限には合理性や公平性が求められます。
調査委員は、人事権を利用して職員を心理的に圧迫しようとする行為は裁量を逸脱しており、重大なパワハラに当たると判断しました。
調査報告書は、市長の個々の言動だけを切り離して評価するのではなく、組織全体へ与えた影響も含めて判断しています。
報告書では、市長が圧倒的に優越した立場から、多数の不適切な言動を日常的、継続的に行っていたことを重く評価しました。
そのうえで、職員の尊厳を深く傷つけ、職場環境を悪化させた、看過できない重大なパワーハラスメントがあったと結論付けています。
ただし、久保田氏が告発したすべての発言や行為が、そのまま認定されたわけではありません。
机をたたいたとされる行為や、一部の容姿に関する発言などは、証拠不足などから真偽不明とされています。
それでも、告発の中心となった「切腹」発言、銃撃ポーズ、書類を投げる行為、人格否定発言、時間外連絡、市長室への出入り禁止、人事権を背景とした圧力については、パワハラと認定されました。
第三者調査の結果を見る限り、久保田氏の告発の主要部分には、客観的な裏付けがあったといえます。
調査委員は、久保田氏の説明だけで判断したわけではありません。
複数の職員の証言、電子メール、SMS、通話履歴、資料、日程記録などを照合し、山中市長本人からも複数回にわたって事情を聴いたうえで事実認定を行っています。
久保田氏の告発内容の一部については認定されなかったものの、中心的な主張の多くが事実と認められたことで、告発の信頼性は大きく裏付けられたと考えられます。
久保田氏は2026年4月1日付で、総務局人事部長から、こども青少年局企画部長へ異動しました。
この異動によって、告発時に務めていた人事部長ではなくなっています。
こども青少年局企画部長は、こども・子育て政策に関する企画、予算、組織調整などを担う部長級の役職です。
横浜市の人事資料では、人事部長とこども青少年局企画部長はいずれも部長級として扱われています。
そのため、この異動を直ちに降格や左遷と断定することはできません。
また、告発に対する報復人事だったと認定した公式資料も確認されていません。
一方で、告発した人事部長が数か月後に人事部門を離れたことから、人事異動の理由や、告発者の保護が十分だったのかという点に関心が集まったことも事実です。
2026年7月時点で、久保田氏は横浜市こども青少年局企画部長を務めています。
大都市制度推進担当も兼務しています。
久保田氏は過去にも、こども家庭総合支援拠点の準備など、こども・家庭支援分野を担当していました。
現在の役職は、久保田氏にとって過去に経験した行政分野へ戻る形ともいえます。
こども青少年局では、子育て支援、児童虐待対策、保育、青少年育成、社会的養護など、市民生活に直接関係する重要な政策を扱います。
その企画部長は、局全体の政策や予算、組織運営を調整する立場にあります。
久保田氏の私生活、家族構成、趣味などは公表されておらず、個人的な人物像を詳しく知ることはできません。
一方、これまでの経歴からは、次のような特徴が見えてきます。
実名での告発には、職場での立場や今後の人事に影響するリスクが伴います。
久保田氏は記者会見で、自分以外の人が言えないのであれば、自ら公表するしかないと考えたことを説明していました。
その行動からは、市長個人との対立というより、同じような経験をほかの職員にさせたくないという問題意識があったことがうかがえます。
この問題が社会的に重要なのは、単に市長の言葉遣いが悪かったという話にとどまらないためです。
自治体の首長は、政策決定だけでなく、幹部職員の人事にも強い影響力を持っています。
そのため、職員が首長の言動に疑問を感じても、異動や昇進への影響を恐れ、声を上げにくくなる可能性があります。
とりわけ、ハラスメントの相談や人事制度を担当する人事部長自身が問題を解決できず、外部へ実名で公表せざるを得なかったことは、従来の内部通報制度の限界を示しています。
第三者調査報告書も、横浜市には市長などの特別職によるハラスメントを防止・調査する仕組みが十分整っていなかったと指摘しました。
調査報告書は、山中市長本人に対し、認定された事実を謙虚に受け止め、人権意識を見直すよう求めています。
また、横浜市の組織全体に対して、次のような対策を提言しました。
調査報告書は、市長個人の反省だけでなく、首長によるハラスメントが起きた場合に、組織として調査し、是正できる制度を整える必要があるとしています。
久保田氏は政治家ではありません。横浜市役所に勤務する地方公務員で、部長級の幹部職員です。
出身大学や学部は公表されていません。特定の大学名を裏付ける公式資料は確認されていません。
現在は人事部長ではありません。2026年4月1日付で、こども青少年局企画部長へ異動しています。
第三者調査では、告発されたすべての内容が認定されたわけではありません。
しかし、「切腹」発言、銃撃ポーズ、書類を投げる行為、人格を否定する発言、時間外の業務連絡、市長室への出入り禁止、人事権を背景とした圧力など、主要な内容の多くが事実と認定され、パワハラと判断されました。
人事部長と現在のこども青少年局企画部長は、どちらも横浜市の部長級職です。
公式には降格や懲戒処分とはされておらず、告発に対する報復人事だったと断定できる資料もありません。
久保田淳氏は、横浜市役所で約26年の勤務経験を持つ幹部職員です。
こども家庭支援、新型コロナウイルスワクチン接種、国際政策、アフリカ開発会議の誘致などを担当し、2025年4月に横浜市総務局人事部長へ就任しました。
2026年1月には、山中竹春市長による暴言や威圧的な行為について実名で告発しました。
2026年7月30日に公表された第三者調査報告書では、告発の主要部分が事実と認定され、市長による一連の言動は、職員の尊厳を傷つけ、職場環境を悪化させた重大なパワーハラスメントと評価されています。
久保田氏は2026年4月に人事部長を離れ、現在はこども青少年局企画部長を務めています。
出身大学などの学歴は公表されていませんが、こども政策、保健行政、国際事業、人事行政という幅広い分野を経験してきた実務型の行政職員であることが分かります。
久保田氏による告発は、一人の市職員と市長の対立にとどまらず、自治体の首長に対する監視、職員の人権、内部通報者の保護、人事権の適正な運用を考えるうえで、重要な事例となりました。