家庭科のホームプロジェクト例
家庭科の「ホームプロジェクト」は、生活の中の課題を見つけて、計画→実践→振り返りまで行う学習です。難しく考えるより、
- 生活の「困りごと」を1つ決める
- できる範囲で試す
- 結果をまとめる
この流れを押さえると、取り組みやすくなります。
1. ホームプロジェクトとは?(ざっくり理解)
ホームプロジェクトは、家庭生活や地域生活の中からテーマを選び、
- 課題を発見する
- 目標を立てる
- 計画する(いつ・何を・どうやって)
- 実践する
- 評価・改善する(結果と反省)
を行う活動です。「行って終わり」ではなく、考察して改善につなげるところがポイントです。
2. テーマ選びのコツ(失敗しにくい)
ホームプロジェクトでよくある失敗は、テーマが大きすぎて続かないことです。次の3つで絞ると成功しやすいです。
- ✅ 2週間〜1か月で完結できる
- ✅ 家にあるもので試せる(お金がかからない)
- ✅ 数字で変化が見える(回数・時間・金額・体重・温度・ゴミ量など)
例:
- 「家族の健康を考える」→大きすぎ
- 「夕食の野菜不足を改善する」→少し具体的
- 「夕食に野菜を1皿増やす・3週間続ける」→やりやすい
3. 家庭科ホームプロジェクトの具体例(ジャンル別)
A. 食生活(栄養・調理・食品ロス)
例1:朝食欠食を減らすプロジェクト
- 課題:朝食を抜く日が多く、午前中に集中できない
- 目標:2週間、朝食を週5回以上とる
- 方法:前日に「5分朝食」候補を用意(おにぎり・バナナ・ヨーグルト等)
- 記録:朝食を食べた日/食べなかった日、体調(眠気・集中度)
- 考察例:準備の手間が一番の原因→前夜に準備すると改善
例2:野菜摂取量を増やす(1日+1皿)
- 目標:夕食に野菜のおかずを1品追加(3週間)
- 実践:冷凍野菜・カット野菜も活用して継続優先
- 記録:追加した野菜メニュー、食べ残しの有無、家族の反応
例3:食品ロスを減らす(冷蔵庫整理)
- 課題:賞味期限切れが出る
- 目標:1か月で廃棄ゼロに近づける
- 方法:
- 冷蔵庫の棚を「早く使う」「常備」「未開封」にゾーン分け
- 週1回「使い切り献立」を作る
- 記録:捨てた食品の種類・量・理由(買いすぎ/使い忘れ)
例4:減塩・減糖メニューに挑戦
- テーマ:「味つけを薄くしても満足できる工夫」
- 工夫例:出汁、香味野菜、酸味、香辛料で味の満足度を上げる
- 評価:家族アンケート(おいしさ・物足りなさ)
B. 衣生活(洗濯・整理・衣類管理)
例5:洗濯の効率化(時間・水・洗剤の見直し)
- 課題:洗濯に時間がかかる/干し方が雑で乾きにくい
- 目標:乾燥時間を短縮し、家事負担を減らす
- 方法:
- タオルは「蛇腹干し」
- 風の通り道を作る
- 洗濯物の種類で分けて干す
- 記録:乾くまでの時間、部屋干し臭の有無
例6:制服・部活服の管理で忘れ物を減らす
- 目標:忘れ物ゼロを2週間
- 方法:
- 記録:忘れ物回数、原因(準備のタイミング)
例7:衣替え&クローゼット整理(収納改善)
- 目標:取り出しやすく、探す時間を減らす
- 方法:
- 1軍(よく着る)/2軍(たまに)/手放す に分類
- ハンガーの種類を統一して見やすく
- 評価:探す時間が何分減ったか
C. 住生活(掃除・安全・省エネ・防災)
例8:部屋の片づけを習慣化(リバウンド防止)
- 目標:毎日5分片づけを3週間
- 方法:タイマーで5分、終わったら必ず写真で記録
- 評価:散らかり度(写真比較)/ストレス感の変化
例9:電気代・ガス代の節約(見える化)
- 目標:今月の使用量を○%減らす
- 方法:
- 待機電力を減らす
- エアコン設定温度とサーキュレーター活用
- シャワー時間を短くする
- 記録:使用時間、家族の協力状況
例10:家庭の防災点検(非常持ち出し袋)
- 課題:非常用品がそろっていない/期限不明
- 目標:家族の人数分を整備し、期限管理を始める
- 方法:
- 水・食料・ライト・電池・常備薬・モバイルバッテリー等をチェック
- 期限表(いつ交換するか)を作る
- 成果:不足品リストができ、改善につながる
例11:家庭内事故を減らす(ヒヤリハット調査)
- テーマ:つまずきやすい場所、コード、床の段差などを点検
- 対策:滑り止め、配線整理、照明の改善
- 評価:危険箇所の数が減ったか
D. 家族・地域(コミュニケーション・福祉・消費)
例12:家族の家事分担を見直す
- 課題:家事が偏っている
- 目標:家事を「見える化」して分担を調整
- 方法:
- 家事リスト作成(料理、洗い物、ゴミ出し等)
- 週1回ミーティング
- 記録:担当表、感想、うまくいかなかった理由
例13:スマホ時間の見直し(生活リズム改善)
- 目標:就寝前1時間はスマホを触らない日を増やす
- 方法:
- 評価:睡眠時間、寝つき、翌朝の眠気
例14:買い物の工夫(ムダ買い削減)
- 課題:衝動買いが増える
- 目標:1か月の「ムダ買い」を○円減らす
- 方法:
- 記録:買ったもの、必要度(必要/まあまあ/不要)
例15:地域の課題を調べて小さく行動
- 例:近所の清掃、フードドライブ、募金活動の調査
- 注意:安全面・ルールを確認し、無理のない範囲で
- 成果:地域資源(施設・制度)の理解が深まる
4. まとめ方(レポート構成の例)
学校によって書き方は違いますが、迷ったらこの型にすると整います。
- テーマ(題名)
- 選んだ理由(課題):なぜ必要?困っていることは?
- 目標:具体的・達成条件(回数、期間、数値)
- 計画:やること、期間、準備物
- 実践内容:何をどうやったか(写真・表があると強い)
- 結果:数字・変化・家族の反応
- 考察:うまくいった点/原因/改善案
- 今後:続けるならどうする?次の課題は?
- 参考:参考にした資料(レシピ本、自治体サイト等)
5. 記録の取り方(評価が上がりやすい)
- 📸 Before→After写真(片づけ、収納、防災バッグなど)
- 🗓️ カレンダーに丸×(習慣化系)
- 📊 表で記録(回数、時間、金額、廃棄量)
- 📝 家族アンケート(味、負担感、満足度)
「頑張った」が伝わるのは、記録があるプロジェクトです。
6. すぐ使えるテーマ一覧(選びやすい)
- 🍙 朝食を抜かない工夫
- 🥦 野菜を1品増やす
- 🧊 冷蔵庫整理で食品ロス減
- 🧂 減塩・減糖の味つけ研究
- 👕 洗濯の干し方改善で乾燥時間短縮
- 🎒 忘れ物を減らす仕組み作り
- 🧺 クローゼット整理で探す時間短縮
- 🧹 5分片づけ習慣
- 💡 省エネ(電気・水)見える化
- 🧯 防災バッグ点検&期限管理
- 👨👩👧 家事分担表の作成
- 📱 スマホ時間と睡眠の関係チェック
- 🛒 ムダ買い削減
7. よくある質問(FAQ)
Q1. どれくらいの期間が必要?
A. 目安は2週間〜1か月です。短すぎると変化が見えにくいので、習慣系は最低2週間あるとまとめやすいです。
Q2. 一人暮らしじゃないと難しい?
A. 家族と住んでいても問題ありません。むしろ、家族の協力や反応が記録できて考察が深まります。
Q3. 失敗したら評価が下がる?
A. 失敗しても大丈夫です。大切なのは、なぜ失敗したか→どう改善するかを書けることです。
Q4. 写真がないとダメ?
A. 必須ではありませんが、写真があると説得力が上がります。難しい場合は、表やチェックリストでも十分にまとめられます。
8. まとめ
家庭科のホームプロジェクトは、生活の中の課題を見つけて、計画→実践→振り返りまで行う学びです。大事なのは、
この3つです。無理のないテーマを選んで、取り組みやすい形で進めてみてください。