※本記事は、2026年9月1日時点で確認できる公開情報、国際機関の発表、主要報道機関、紛争研究機関などの情報をもとに、世界で続く戦争、武力紛争、内戦、越境攻撃、軍事危機、治安崩壊を整理したものです。
「今戦争をしている国はどこか」という問いは、一見すると単純に見えます。しかし、現代の戦争は、必ずしも正式な宣戦布告によって始まるわけではありません。
国と国が正面から戦う国家間戦争だけでなく、内戦、越境攻撃、代理戦争、武装勢力との長期戦、海峡や港湾をめぐる軍事危機、さらには国家の統治能力が著しく低下した地域での武装集団による暴力など、さまざまな形があります。
そのため、「今戦争をしている国」を考えるときは、単に国名を並べるのではなく、どの国・地域で、どのような種類の武力衝突が起きているのかを分けて見る必要があります。
2026年9月1日時点で特に重要なのは、ロシア・ウクライナ戦争、米国・イスラエルとイランをめぐる軍事衝突、ガザ、レバノン、スーダン、ミャンマー、コンゴ民主共和国東部、紅海・ホルムズ海峡など、複数の危機が同時進行していることです。
特に中東では、ホルムズ海峡の商業航行が通常状態に戻らないまま、8月末に米国とイランの直接攻撃が再び発生しました。ガザやレバノンでは停戦の枠組みが存在するものの、軍事攻撃や死傷者の発生は止まっていません。
つまり、2026年の世界情勢を見る場合、「戦争中」「停戦中」「軍事危機」「海上交通危機」「治安崩壊」を区別して理解することが重要です。
2026年9月1日時点で特に注目すべき国・地域を分類すると、次のようになります。
| 分類 | 主な国・地域 | 現在の状況 |
|---|---|---|
| 大規模な戦争・内戦 | ロシア・ウクライナ、スーダン、ミャンマー | 継続的な地上戦、空爆、ドローン攻撃、人道危機が続く |
| 停戦下でも軍事攻撃が続く地域 | ガザ、イスラエル・レバノン、コンゴ民主共和国東部 | 停戦・和平枠組みは存在するが、攻撃や武力衝突は完全には止まっていない |
| 国家間・広域軍事衝突 | 米国・イスラエル―イラン | 2026年8月末にも直接攻撃が発生。全面再拡大のリスクが残る |
| 海上交通の重大危機 | ホルムズ海峡、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡 | 船舶攻撃、航行減少、保険料上昇、迂回航路などが国際物流に影響 |
| 局地的な軍事衝突・再燃リスク | タイ・カンボジア国境、インド・パキスタン、南シナ海など | 全面戦争ではないが、国境問題や軍事的緊張が残る |
| 軍事衝突の危機 | 台湾海峡、朝鮮半島 | 現在進行中の戦争ではないが、軍事演習や核・ミサイル問題を背景に危機が続く |
| 治安崩壊・武装勢力による深刻な暴力 | ハイチ、サヘル地域、ナイジェリア、メキシコの一部、エクアドルの一部など | 法律上の国家間戦争とは異なるが、地域によって戦場に近い危険がある |
| 大規模戦争後・政権転換後の不安定地域 | シリア、ベネズエラ | 従来型の長期戦とは異なるが、外国軍の軍事行動や政治・安全保障上の不安定さが残る |
このように見ると、「世界で何カ国が戦争をしているのか」を一つの数字で示すのは難しいことが分かります。
国家間戦争と内戦、停戦違反、テロ・武装勢力との戦闘、海上交通の封鎖に近い状態では、性格が大きく違うからです。

「戦争中」と言った場合、それは法律上の戦争状態だけを意味するとは限りません。
現代では宣戦布告をしないまま、空爆、地上戦、ドローン攻撃、越境砲撃、特殊部隊による作戦、海上封鎖に近い行動などが行われることがあります。
| 分類 | 主な例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国家間戦争 | ロシア―ウクライナ | 国家の軍隊同士が直接戦う戦争 |
| 大規模内戦 | スーダン、ミャンマー | 政府軍、反政府勢力、民兵、民族武装組織などが国内で戦う |
| 国際化した武力紛争 | ガザ、レバノン、シリア、イエメン、コンゴ民主共和国東部 | 国内・地域紛争に周辺国や大国が直接・間接に関与する |
| 直接的な国家間軍事衝突 | 米国・イスラエル―イラン | ミサイル、ドローン、空爆などによる国家間の直接攻撃が起きる |
| 海峡・航路をめぐる軍事危機 | ホルムズ海峡、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡 | 原油、LNG、コンテナ船、保険、物流費に世界規模の影響を与える |
| 軍事衝突の危機 | 台湾海峡、南シナ海、朝鮮半島 | 現在は全面戦争でなくても、偶発的衝突から戦争へ発展する危険がある |
| 治安崩壊・犯罪・武装勢力の暴力 | ハイチ、メキシコの一部、エクアドルの一部など | 法律上の戦争とは異なるが、住民の安全が著しく脅かされる |
したがって、「戦争をしている国」を無理に一つの定義で数えるより、どの地域で、誰と誰が、どの程度の武力を使って戦っているのかを見るほうが正確です。

2026年9月1日時点で、戦闘規模、人道危機、国際経済への影響などから特に重要なのは次の地域です。
中でも2026年9月の最大の変化の一つは、ホルムズ海峡問題が解決せず、米国とイランの直接的な軍事攻撃が再び発生したことです。
世界の原油・LNG輸送と直結するため、中東の軍事情勢は「遠い地域の戦争」ではなく、日本を含む世界経済の問題になっています。

2026年春から夏にかけて激化した米国・イスラエルとイランの軍事衝突は、夏の一時期には外交協議や緊張緩和の動きも見られました。
しかし、2026年8月30日から31日にかけて、米国とイランの間で再び直接的な攻撃が発生しました。
米軍はイラン領内の軍事目標を攻撃し、イラン側も米軍関連施設への報復を行いました。
現時点では、双方が直ちに全面戦争へ戻ったと断定できる状態ではありません。しかし、「停戦が定着し、外交段階に入った」と見ることも難しくなっています。
イラン危機は今後も、
を一体として見る必要があります。
ホルムズ海峡について、2026年夏の一部報道だけを見ると「航行が再開しつつある」と受け取れる場合があります。
しかし、9月1日時点では、通常時の商業航行に戻ったとは到底言えない状況です。
2026年2月末以降、ホルムズ海峡のタンカーなどの通航量は大幅に減少しました。平時には1日に100隻を大きく超える船舶が通航することもありましたが、危機のピーク時にはごく少数に落ち込む日もありました。
オマーンなどを仲介役として安全な通航ルートを作る協議も進められていますが、イラン側は制裁や地域での戦争、経済的補償など複数の条件を提示しており、完全な正常化には至っていません。
したがって、2026年9月時点のホルムズ海峡は、
「法的な全面封鎖というより、軍事的危険によって商業航行が著しく制約されている海域」
と表現するのが適切です。
世界の石油やLNGの重要な輸送路であるため、海峡の危険化は原油価格、LNG価格、タンカー運賃、海上保険料に直接影響します。
ガザでは、2025年10月に米国の仲介による停戦が成立し、それ以前のような大規模な軍事作戦は縮小しました。
しかし、停戦は「戦争の完全な終結」を意味していません。
2026年8月末にもイスラエルによる攻撃で死者が出ており、停戦成立後も双方の死者が発生しています。
大きな争点となっているのが、
です。
そのため、現在のガザは「停戦下にあるが、軍事攻撃と人道危機が続いている地域」と見るのが適切です。
イスラエルとヒズボラをめぐっては、2026年6月に停戦の枠組みが成立しました。
しかし、その後もイスラエル軍によるレバノン国内への攻撃が発生しています。
最大の争点は、ヒズボラの武装解除とイスラエル軍の撤退です。
イスラエル側は、ヒズボラの武装解除が確認されなければ南レバノンから完全撤退できないとの立場を示しています。
一方、ヒズボラ側は、イスラエル軍が撤退しない限り武装解除をめぐる協議には応じられないとの姿勢を取っています。
つまり、停戦は存在しているものの、双方が相手側の行動を先に求める状態が続いています。
シリア情勢も大きく変化しました。
2024年12月のアサド政権崩壊後、アハメド・シャラア政権のもとで国家再統合が進められています。
2026年8月25日には、クルド人主体のシリア民主軍(SDF)が独立した軍事組織として解散し、シリア政府軍の指揮体系へ統合されました。
これは、シリア内戦の構図を大きく変える出来事です。
ただし、シリアが完全に平和になったわけではありません。南部ではイスラエル軍の攻撃や軍事活動が続き、国内でも宗派・地域・旧武装勢力をめぐる緊張が残っています。
現在のシリアは、2010年代のような「全国規模の多勢力内戦」と説明するよりも、政権転換後の国家再統合が進む一方、局地的な武力衝突や外国軍の介入が残る国と表現するほうが実態に近くなっています。
紅海とバブ・エル・マンデブ海峡周辺では、イエメンのフーシ派の軍事活動が引き続き海運に影響しています。
2026年にはサウジアラビア関連船舶などに対する攻撃・封鎖の警告も強まり、中東の戦争と海上交通問題がさらに結びつきました。
紅海ルートが危険になると、船会社はスエズ運河を避け、アフリカ南端の喜望峰回りへ迂回することがあります。
その結果、
などが発生します。

第二次世界大戦までの時代とは異なり、現在では正式な宣戦布告なしに武力行使が始まることが珍しくありません。
などがあります。
そのため、「宣戦布告がないので戦争ではない」と単純に判断することはできません。
内戦は「国内問題」と表現されることがありますが、住民に与える影響は国家間戦争と変わりません。
などが発生します。
スーダンやミャンマー、コンゴ民主共和国東部などは典型的な例です。
研究機関によって武力紛争の定義も異なります。
戦闘による死者数を重視する研究もあれば、国家が直接関与しているか、組織的な武力行使が継続しているかなどを重視する研究もあります。
同じ事態でも、
など、さまざまな呼び方が使われます。
一つの国全体が同じ状態にあるわけではありません。
首都では比較的普通の生活が続いていても、国境地域や資源地帯では激しい戦闘が続いていることがあります。
ミャンマー、コンゴ民主共和国、シリア、ナイジェリア、メキシコなどを見る場合、「その国は戦争中か」という二択ではなく、どの地域で何が起きているかを見る必要があります。

ここでは、戦争と呼ばれやすい武力紛争、軍事衝突、軍事危機を地域別に整理します。
※情勢は非常に流動的です。渡航、出張、輸送、投資、保険などの実務判断では、各国政府、国際機関、船会社、航空会社、保険会社などの最新情報を別途確認してください。
ロシア・ウクライナ戦争は、2026年9月現在も世界で最も明確な国家間戦争の一つです。
この地域については、以前よりも評価を変える必要があります。
長年ナゴルノ・カラバフ問題をめぐって戦争を繰り返してきましたが、2025年8月に米国の仲介で和平文書が仮調印され、その後も国交正常化や交通・貿易再開に向けた動きが進んでいます。
2026年夏には両国首脳が和平プロセスを改めて確認しており、現在は「戦争再燃の危機が非常に高い地域」から「和平・正常化が進行している地域」へ移りつつあると見るほうが適切です。
ただし、正式な最終条約や国内法上の問題など、未解決事項は残っています。
ジョージアのアブハジア・南オセチア、モルドバの沿ドニエストルなどには、いわゆる「凍結紛争」が残っています。
現在、大規模戦闘が起きているわけではありませんが、ロシアと欧米の関係悪化によって安全保障上の重要性は高い状態です。
2026年の中東で最も重要な変化の一つが、米国・イスラエルとイランの直接的な軍事衝突です。
などが一体化しています。
2026年8月末にも米国とイランの直接攻撃が再発しており、危機が完全に収束したとは言えません。
ホルムズ海峡は2026年9月現在、世界経済にとって最大級の軍事・物流リスクの一つです。
海峡が法的に「完全封鎖」と宣言されているかどうか以上に重要なのは、民間船が通常どおり安全に航行できるかという点です。
2026年2月末以降、タンカーなどの通航量は平時を大幅に下回る状態が続いています。
などが重なっています。
そのため、現在は「正常化した航路」ではなく、事実上の重大な通航障害が続く危険水域と考える必要があります。
ガザでは2025年10月の停戦によって大規模地上戦は縮小しました。
しかし、
は続いています。
したがって、ガザについて「戦争が完全に終わった」と表現するのは正確ではありません。
停戦下で低強度の軍事衝突と巨大な人道危機が続いている地域と考えるのが適切です。
イスラエルとヒズボラをめぐる戦線では2026年6月に停戦が成立しました。
しかし、停戦後もイスラエル軍による空爆などが発生しています。
ヒズボラの武装解除とイスラエル軍の南レバノンからの撤退をどの順番で実施するかが最大の争点です。
そのため、現在のレバノンは「停戦は成立しているが、軍事攻撃と再燃リスクが続く地域」です。
湾岸諸国は自国が全面戦争をしているわけではありませんが、中東戦争の直接的な影響圏にあります。
米軍基地、港湾、空港、石油施設、LNG施設が集中しているためです。
特に、
が注目されます。
イエメンでは長期的な国内紛争が完全には解決していません。
さらにフーシ派による紅海やバブ・エル・マンデブ海峡周辺での船舶攻撃が国際海運を脅かしています。
2026年にはサウジアラビア関連船舶への圧力も強まっており、紅海問題はイスラエル・ガザ問題だけではなく、中東全体の軍事情勢と結びついています。
シリアは現在、大きな転換期にあります。
2024年12月のアサド政権崩壊後、アハメド・シャラア政権による国家再統合が進められています。
2026年8月にはSDFが独立軍事組織として解散し、政府軍への統合が決まりました。
そのため、シリアを以前と同じ意味で「政府軍対反政府軍の大規模内戦」と表現することは難しくなっています。
一方、
が残っています。
イラクでは全国的な大規模戦争は起きていません。
しかし、イラン系武装勢力、米軍関連施設、中東全体の軍事衝突が絡み、周辺国の戦争がイラク国内へ波及する危険があります。
リビアでも以前の大規模内戦は沈静化していますが、政治的分裂と武装勢力の存在は残っています。
したがって「現在進行中の大規模戦争」というより、武力衝突が再燃する危険を抱える分裂国家と見るほうが適切です。
スーダンでは、国軍(SAF)と準軍事組織RSFの内戦が続いています。
国軍が2025年に首都ハルツーム周辺で主導権を取り戻しても、戦争そのものが終わったわけではありません。
戦闘の中心は地方へ移り、
などが続いています。
2026年には、戦争が従来の地上戦だけではなく、電力網や都市インフラを狙うドローン戦争としての性格を強めています。
東部ではM23をはじめ複数の武装勢力が活動しています。
2026年8月には、カタールなどが仲介する和平プロセスの一環として停戦監視要員が現地へ展開し、和平に向けた具体的な動きが進みました。
これは前向きな変化です。
しかし、M23は現在も広い地域を支配しており、完全な武装解除や統治権の回復には至っていません。
したがって、コンゴ東部は「和平プロセスが進んでいるが、紛争が終結したわけではない」状態です。
ソマリアでは、アルシャバブなどの武装勢力と政府側の戦闘が長期間続いています。
国家間戦争ではありませんが、テロ、治安作戦、地域支配をめぐる戦闘が繰り返されています。
エチオピアでは過去の大規模戦争後も地域対立が残っています。
南スーダンでも政治対立と暴力再燃の危険が続いています。
中央アフリカ共和国では武装勢力、政府軍、外国勢力、鉱物資源問題などが複雑に絡んでいます。
サヘル地域ではイスラム過激派を含む武装勢力の活動が続いています。
特に2026年8月末、ニジェールの首都ニアメーでは兵士による反乱が発生し、空港や大統領府周辺などが攻撃されました。
政府側はロシアのアフリカ軍団などの支援も受けながら重要施設を奪回しました。
この出来事は、サヘル地域の問題が単なる「テロ対策」ではなく、
などを含む複合的な安全保障危機であることを示しています。
ナイジェリアでは、イスラム過激派だけでなく、武装盗賊集団による大量誘拐や村落襲撃も深刻です。
2026年8月にも大規模な住民誘拐が報じられ、多数の住民が避難しています。
国全体が戦争状態というわけではありませんが、地域によっては戦場に近い状態があります。
モザンビーク北部では武装勢力の活動と天然ガス開発が安全保障上の大きな問題になっています。
カメルーンでも英語圏を中心とする武力紛争が長期化しています。
ミャンマーでは2021年の軍事クーデター以降、国軍と民主派・民族武装組織の内戦が続いています。
2026年には軍主導の選挙・政治体制移行が行われ、ミン・アウン・フライン氏が大統領に就任しました。
しかし、この政治体制移行によって内戦が終わったわけではありません。
国連によると、クーデター以降の民間人被害はさらに拡大し、数百万人が国内避難を余儀なくされています。
2026年8月にも、南部ダウェイ周辺などで軍と反軍政勢力の戦闘が続きました。
したがってミャンマーは、2026年9月現在も大規模な内戦が続いている国に分類するのが適切です。
アフガニスタンではタリバン政権成立後も、過激派組織による攻撃や人道危機が続いています。
パキスタンでは国内の武装勢力による攻撃に加え、アフガニスタンとの国境を越えた緊張があります。
インドとパキスタンは、2025年にカシミールをきっかけとした深刻な軍事危機を経験しました。
現在、大規模な戦闘は続いていません。
しかし、2026年にはインダス川水利条約をめぐる対立も続いており、カシミール問題、安全保障問題、水資源問題が結びついています。
両国は核保有国であるため、短期間の軍事衝突でも世界的に重大なリスクとなります。
タイとカンボジアは2025年に国境地帯で大規模な軍事衝突を起こしました。
その後、2025年12月27日の停戦合意を基礎として停戦状態が続いています。
しかし国境問題は未解決で、2026年8月17日にもタイ兵が地雷で負傷する事件が発生しました。
したがって現在は「戦争中」というより、停戦下にあるものの再燃リスクを残す国境紛争と位置付けるのが適切です。
台湾海峡では現在、戦争は起きていません。
しかし、中国軍による台湾周辺での航空・海上活動や封鎖を想定した演習は続いています。
2026年8月末にも台湾当局は、中国軍が台湾周辺で海空域を掌握・封鎖する能力を高めているとの分析を示しています。
一方、中国軍が大規模な台湾上陸侵攻を容易に実行できる状況に達しているとまでは評価されていません。
したがって台湾海峡は、「今戦争をしている地域」ではなく「世界で最も重大な軍事危機の一つ」と考えるのが適切です。
南シナ海では、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾などが領有権を主張しています。
海警船、軍艦、航空機などが接近するため、偶発的な衝突が国家間危機へ拡大する可能性があります。
米国とフィリピンの同盟関係もあるため、中国・フィリピン間の衝突が拡大した場合、米国を巻き込む可能性があります。
朝鮮戦争は1953年の休戦協定によって戦闘が停止しましたが、正式な平和条約は締結されていません。
したがって法律・歴史的には特殊な休戦状態が続いています。
北朝鮮の核兵器、弾道ミサイル、韓米軍事演習などを背景に、偶発的な軍事衝突の危険は残っています。
ハイチでは、武装集団による治安崩壊が極めて深刻です。
国連集計では、2026年前半だけでも数千人が暴力によって死亡し、100万人を大きく超える国内避難民が発生しています。
2026年8月にも首都周辺で大規模な襲撃が発生しました。
国家間戦争ではありませんが、
が重なっており、住民にとっては戦争に近い危険があります。
メキシコでは、麻薬カルテルなどの組織犯罪による暴力が続いています。
これは一般的には「戦争」とは別に分類されますが、地域によっては軍・警察・カルテルなどが重武装で衝突し、武力紛争に近い状況になります。
コロンビアでは和平合意後も反政府武装勢力の残党や犯罪組織が活動しています。
エクアドルでは麻薬組織を中心とする犯罪暴力が深刻化し、政府が軍を投入する状態が続いています。
どちらも国全体を「戦争中」と呼ぶのは適切ではありませんが、一部地域では深刻な武装暴力が続いています。
2026年1月3日、米軍がベネズエラ国内で大規模な急襲作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ氏を拘束しました。
これは2026年の国際情勢を大きく変えた軍事行動の一つです。
ただし、その後ウクライナやスーダンのような長期的な前線戦へ発展したわけではありません。
マドゥロ氏拘束後はデルシー・ロドリゲス氏が暫定大統領となり、2026年8月には米国との間で石油部門をめぐる新たな協力・取引が進みました。
そのため現在のベネズエラは、
「2026年に外国軍による大規模軍事介入と政権中枢の拘束が起きたが、現在は継続的な国家間戦争にはなっていない国」
と整理するのが適切です。
ガイアナとベネズエラの間にはエセキボ地域をめぐる領有権問題があります。
現在、大規模戦争が起きているわけではありませんが、巨大な石油資源とも結びつくため、長期的には地域安全保障上の重要な問題です。

世界の武力紛争は、歴史的に見ても非常に高い水準にあります。
UCDP(ウプサラ紛争データプログラム)とPRIO(オスロ国際平和研究所)の最新の確定年次データによると、2025年には国家が関与する武力紛争が65件、35カ国で記録されました。
これは1946年以降で最も多い水準です。
さらに重要なのは、2025年には国家同士が直接戦った「国家間紛争」が8件に増えたことです。
冷戦後は国家間戦争より内戦のほうが目立っていましたが、近年は国家同士が直接武力を使うケースが増えていることが大きな特徴です。
2025年の戦闘関連死者は約24万5,000人に達したとされ、国家が関与しない武装勢力同士の衝突などまで含む組織的暴力全体では、死者数はさらに多くなります。
なお、2026年については年の途中であるため、確定した年間件数はまだ存在しません。
したがって、2026年9月時点で「世界で戦争が何件起きているか」を厳密に示す場合は、最新の確定統計である2025年の数字と、2026年の進行中の紛争情報を分けて考える必要があります。

ニュースで軍事衝突が報じられたときは、次の点を確認すると「本当に戦争なのか」が分かりやすくなります。
2026年の中東情勢では、特に「海峡」「エネルギー施設」「米軍基地」「海上保険」を見ることが重要です。

現代の武力紛争では、正式な宣戦布告が行われないことのほうが多くなっています。
ガザやレバノン、コンゴ民主共和国東部がその典型です。
停戦が成立しても、攻撃や衝突が続く場合があります。
船会社が航行を避け、船舶数が激減し、戦争保険料が上がっているのであれば、正式な閉鎖宣言の有無にかかわらず実務上は重大な通航危機です。
コンゴ民主共和国、ミャンマー、メキシコ、ナイジェリアなどでは、地域によって安全状況が大きく異なります。
日本が直接戦争に参加していなくても、
を通じて海外の戦争の影響を受けます。
特に日本は海外からエネルギー資源を大量に輸入しているため、ホルムズ海峡の安全は日本経済に直結します。
つまり、中東から何千キロも離れた日本でも、戦争はガソリン価格、電気料金、航空券、輸入品、国際物流という形で生活に影響します。

2026年9月1日時点で世界の戦争・武力紛争を整理すると、大きく次のように分けられます。
2026年9月現在、最も注意すべき変化の一つは、中東危機が単なる「イスラエル対パレスチナ」の問題ではなくなっていることです。
米国、イスラエル、イラン、レバノン、イエメン、湾岸諸国、ホルムズ海峡、紅海が互いに連動しています。
一方、ロシア・ウクライナ戦争は依然として大規模な国家間戦争として継続し、スーダンとミャンマーでは深刻な内戦が続いています。
また、コンゴ民主共和国では和平プロセスが進み、アルメニアとアゼルバイジャンでは以前より明確な和平の進展が見られるなど、すべての地域で戦争が一方向に拡大しているわけではありません。
世界の武力紛争を見るときに重要なのは、「戦争をしている国の数」だけではありません。
戦闘が拡大しているのか、停戦に向かっているのか、和平が定着しているのか、それとも停戦という名称だけで攻撃が続いているのかを見分ける必要があります。
さらに現代の戦争は、戦場だけにとどまりません。
海峡、港湾、エネルギー施設、難民、航空路、海上保険、物流費、原油価格、食料価格を通じて、戦争をしていない国にも影響が広がります。
その意味で、2026年の「今戦争をしている国」を理解するには、国名の一覧だけではなく、世界各地の紛争がどのようにつながっているのかを見ることが重要です。