Ｆ35・日本配備数・現在

F-35は日本に何機配備されているのか（2025年現在）

近年、日本の防衛力強化を語るときに必ず登場するのが最新鋭ステルス戦闘機F-35です。「日本はF-35を何機持っているのか？」「今どの基地に配備されているのか？」「アメリカ軍のF-35も含めると日本には何機飛んでいるのか？」といった疑問を持つ方も多いと思います。

この記事では、**2025年時点での日本におけるF-35配備数の“現在地”**を、できるだけ分かりやすく整理してご紹介します。同時に、なぜ資料やニュースによって数字が違って見えるのか、その理由も解説していきます。

1. そもそもF-35とはどんな戦闘機か

まずは簡単に、F-35という機体そのものについて確認しておきます。

• アメリカのロッキード・マーティン社が開発した最新鋭ステルス戦闘機
• 高いステルス性（敵レーダーに映りにくい）と、強力なセンサー・情報処理能力を持つ多用途戦闘機
• バージョンは大きく3種類
  • F-35A：通常滑走路から運用する空軍向けタイプ（日本の航空自衛隊が導入）
  • F-35B：短距離離陸・垂直着陸（STOVL）が可能なタイプ（いずも型護衛艦への搭載を想定）
  • F-35C：空母での運用に特化した艦載機タイプ（主にアメリカ海軍向け）

日本はこのうちF-35AとF-35Bを導入しており、旧式化したF-4戦闘機や、将来的にはF-2戦闘機の一部を置き換えていく計画です。

2. 日本が導入を決めているF-35の総数

まず、「最終的に日本が何機のF-35を導入する計画か」という“上限”を押さえておきましょう。

• F-35A：105機（通常離着陸型）
• F-35B：42機（短距離離陸・垂直着陸型）
• 合計：147機

これは日本政府が公式に決定している調達計画で、日本はアメリカ以外では世界最大規模のF-35運用国となる予定です。

ただし、147機すべてがすでに日本国内に配備されているわけではなく、段階的に製造・引き渡し・部隊配備が進んでいる途中というのが現状です。

3. 航空自衛隊のF-35A：現在の配備状況（おおよそのイメージ）

続いて、最も関心の高い「いま日本（航空自衛隊）にF-35Aが何機あるのか」という点です。

3-1. 「受領機数」と「配備機数」は別物

ここで注意したいのは、ニュースや資料によって

• 日本が受領したF-35Aの総数
• 国内の部隊に“配備済み”のF-35A数
• アメリカなど海外基地でパイロット訓練に使われているF-35A

を区別しているかどうかで、数字が変わってしまうという点です。

例えば、一部の機体はアメリカ・アリゾナ州などの基地に置かれ、航空自衛隊パイロットの訓練用として運用されています。また、日本国内でも「受領はしたが、まだ部隊としての編成準備中」という機体もあるため、「○○機を導入した」と「○○機が実戦部隊に配備されている」は必ずしも同じ意味ではありません。

3-2. 2025年現在のF-35A配備の大まかな姿

公開情報と各種報道を総合すると、2025年時点では、

• 日本が受領したF-35Aは50機弱規模
• そのうち40機台半ば程度が、日本国内の実戦部隊として運用中

というイメージが妥当だと考えられます。

ただし、防衛省・航空自衛隊は逐一「何月何日現在で何機」という形で詳細な数字を公式に公表しているわけではありません。そのため、ここでは**「おおよその規模感」**として理解していただくのが現実的です。

3-3. どの基地に配備されているのか

F-35Aが配備されている（または配備が進んでいる）航空自衛隊の主な基地は次の通りです。

• 三沢基地（青森県）
  • F-4後継として最初にF-35Aの部隊が編成された基地
  • 第301飛行隊・第302飛行隊のF-35A化が進行
• 新田原基地（宮崎県）
  • これまでF-15Jなどを運用してきた基地で、F-35Aへの転換が進む部隊あり
• 小松基地（石川県）
  • 2025年4月にF-35A配備式典が行われ、F-15からの機種更新が始まったと報じられている基地

このように、F-35Aは北の三沢から、日本海側の小松、南西防衛の要となる九州の基地へと順次広がっている状況です。

4. F-35B：いずも型護衛艦と南西防衛の「切り札」へ

次に、短距離離陸・垂直着陸が可能なF-35Bについて見ていきます。

4-1. F-35Bの特徴

F-35Bは、通常の滑走路だけでなく、

• 改修された「いずも」「かが」などの護衛艦
• 島嶼部の短い滑走路

からも運用できるのが最大の特徴です。これにより、日本は**「実質的な空母運用能力」**と、南西諸島などでの機動的な航空戦力展開能力を手に入れつつあります。

4-2. 2025年時点のF-35B配備状況

2025年時点で、日本はすでに最初のF-35B数機の受領と国内配備を開始しています。

• 最初のF-35Bは2025年夏に日本へ到着
• 宮崎県の新田原基地に3機が配備され、順次増勢予定
• 2026年春までに、同基地に計8機規模のF-35Bを置く計画が報じられている

今後は

• 「いずも」「かが」の改修完了
• 南西諸島や離島への展開訓練

などを通じて、F-35B部隊の運用能力が段階的に引き上げられていく見込みです。

5. 在日米軍のF-35も日本に「配備」されている

「日本に配備されたF-35の数」を考えるときに忘れてはならないのが、在日米軍のF-35です。

主なポイントは次の通りです。

• 山口県・岩国基地には、アメリカ海兵隊のF-35B部隊が常駐
• そのほか、アメリカ空軍のF-35Aがローテーション配備という形で日本に展開するケースもある

各種推計によると、

• 在日米軍のF-35は、日本国内に常時数十機規模が展開
• 状況によっては、訓練や演習でさらに多くのF-35が一時的に日本周辺に集結

というイメージです。

したがって、

• 「自衛隊が保有するF-35の数」
• 「在日米軍が日本に展開させているF-35の数」

を合算すると、日本列島とその周辺空域には、常時かなりの数のF-35が存在していると考えられます。

6. なぜ資料ごとに「配備数」が違って見えるのか

インターネット上で「F-35 日本 配備数 現在」と検索すると、

• 45機
• 40数機
• 50機近く

など、微妙に違う数字が並んでいるのに気づくと思います。これは、どの範囲までを数字に含めているかが異なるためです。

代表的な違いは次の通りです。

1. 受領済み機体の総数か、国内配備機数か
   • アメリカでの訓練用に残っている機体を含めるかどうか
2. 自衛隊機だけか、在日米軍機も含めるか
   • 「日本にあるF-35」を広く数えるのか、「日本が保有するF-35」に限定するのか
3. 時点の違い
   • F-35は毎年数機ずつ増えているため、1年前の記事と最新の資料では数字が違う

そのため、数字を見る際には、

• いつ時点の情報なのか
• どこまでをカウントに含めているのか（自衛隊のみ／米軍含む、国内配備のみ／海外訓練機を含む）

をセットで確認することが重要です。

7. 今後の増勢計画と日本の防衛戦略との関係

7-1. 147機体制に向けてじわじわ増える

すでに触れたように、日本は最終的に

• F-35A：105機
• F-35B：42機

の計147機体制を目指しています。今後も毎年度の防衛予算の中でF-35の調達が続き、2030年代にかけて少しずつ機数が増えていく見通しです。

7-2. 次期戦闘機（GCAP）との関係

日本はイギリス・イタリアと共同で、次世代戦闘機計画（いわゆるGCAP）も進めています。ただし、開発スケジュールやコストの問題から、F-35をさらに追加購入する可能性も取り沙汰されています。

その場合、

• 2030年代まではF-35が主力戦闘機として活躍
• その後、次期戦闘機と役割を分担しながら運用

という形が現実味を帯びてきます。

7-3. 南西諸島防衛と「多層的抑止力」

F-35は単なる最新鋭の戦闘機というだけでなく、

• 周辺国のミサイル・空軍戦力に対する抑止力
• 南西諸島や離島防衛における機動的航空戦力
• 日米同盟の共同運用を支えるキー・プラットフォーム

として位置づけられています。特にF-35Bは、いずも型護衛艦や島嶼部の滑走路と組み合わせることで、「いつ・どこからでも飛んでくるかもしれない」不確実性を相手に与える存在となり、抑止力の一部を担います。

8. まとめ：2025年現在の「F-35日本配備数」をどう理解するか

最後に、本記事のポイントを整理します。

• 日本は最終的にF-35を合計147機（F-35Aが105機、F-35Bが42機）導入する計画
• 2025年現在、
  • 航空自衛隊のF-35Aは50機弱を受領、そのうち40機台半ば程度が国内の実戦部隊で運用中とみられる
  • F-35Bは、まず数機が新田原基地などに配備され始めた段階で、本格的な増勢はこれから
• 在日米軍も岩国基地などにF-35B部隊を展開しており、日本周辺には常時かなりの数のF-35が存在している
• 「配備数」が資料ごとに違うのは、
  • 自衛隊機だけを数えているのか、在日米軍機も含めているのか
  • 受領済みの総数か、国内の実戦部隊配備数か
  • いつ時点の数字か といった前提条件が異なるため

F-35は、単なる機数の多寡だけでは評価できない、**ネットワーク化された「空飛ぶセンサー兼指揮所」**のような性格を持った戦闘機です。日本における配備数の推移を追うことは、そのまま日本の防衛戦略や日米同盟の在り方の変化を読み解く手がかりにもなります。

今後も、防衛白書や公式発表・信頼できる報道を丁寧に追いながら、「数字の背景」にある安全保障環境を読み解いていくことが大切だと言えるでしょう。