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ロシア「日本人 入国禁止」リスト

ロシア「日本人 入国禁止」リスト

ロシア外務省は、ウクライナ侵攻後に日本が科した対露制裁への対抗措置として、特定の日本人を名指しで入国禁止(原則・無期限)とする通告を段階的に発表してきました。本記事は、そのロシアへの入国禁止の日本人の対象者をリストとして「告示日ごと」に完全収録し、確認・引用しやすい形で提供することを目的としています。

  • 対象の性質:一律の国籍排除ではなく、個別の名指し指定です。主な対象は、政権中枢・国会議員・官僚/自衛・治安当局、学術研究者、メディア関係者、企業経営者など。肩書は原則として発表当時のものを記します。
  • 適用期間:多くが「無期限」とされますが、国際情勢や外交関係により追加・削除の更新があり得ます。
  • 一般旅行者について:日本人一般が一律に入国禁止という趣旨ではありません。ただし、ビザ発給・航空路線・保険・安全保障上の制約から、実務面の渡航難度は高い状態が続いています。
  • 出典と検証:各章の名簿はロシア外務省の公式告示(原文)を基礎に、国内外の主要メディアでクロスチェックしています。ロシア語表記からの日本語氏名復元の際は、同音異表記に配慮しています。

最終更新:2025年11月12日(日本時間)


2022年5月4日公表(63名)

(肩書は当時。順不同)

  1. 岸田文雄 – 内閣総理大臣
  2. 松野博一 – 内閣官房長官
  3. 林芳正 – 外務大臣
  4. 鈴木俊一 – 財務大臣
  5. 岸信夫 – 防衛大臣
  6. 古川禎久 – 法務大臣
  7. 二之湯智 – 国家公安委員長
  8. 西銘恒三郎 – 沖縄及び北方対策担当相
  9. 秋葉剛男 – 国家安全保障局長
  10. 山東昭子 – 参議院議長
  11. 細田博之 – 衆議院議長
  12. 高市早苗 – 自民党政調会長
  13. 佐藤正久 – 自民党外交部会長
  14. 松川るい – 自民党国防部会長代理
  15. 森英介 – 自民党衆議院議員・日本・ウクライナ友好議連会長
  16. 志位和夫 – 共産党委員長
  17. 石井苗子 – 日本維新の会参議院議員(参・政府開発援助・沖縄北方特別委)
  18. 熊野正士 – 公明党参議院議員
  19. 森裕子 – 立憲民主党参議院議員
  20. 阿部知子 – 立憲民主党衆議院議員(衆・沖縄北方特別委員長)
  21. 秋葉賢也 – 自民党衆議院議員(衆・沖縄北方特別委理事)
  22. 國場幸之助 – 自民党衆議院議員(同上)
  23. 鈴木隼人 – 自民党衆議院議員(同上)
  24. 堀井学 – 自民党衆議院議員(同上)
  25. 石川香織 – 立憲民主党衆議院議員(同上)
  26. 大島敦 – 立憲民主党衆議院議員(同上)
  27. 杉本和巳 – 日本維新の会衆議院議員(同上)
  28. 稲津久 – 公明党衆議院議員(同上)
  29. 青木一彦 – 自民党参議院議員(参・政府開発援助・沖縄北方特別委員長)
  30. 青山繁晴 – 自民党参議院議員(参・同理事)
  31. 今井絵理子 – 自民党参議院議員(参・同理事)
  32. 北村経夫 – 自民党参議院議員(参・同理事)
  33. 勝部賢志 – 立憲民主党参議院議員(参・同理事)
  34. 片山大介 – 日本維新の会参議院議員(参・同理事)
  35. 里見隆治 – 公明党参議院議員(参・同理事)
  36. 橋本聖子 – 参議院議員
  37. 藤川政人 – 自民党参議院議員
  38. 三原じゅん子 – 自民党参議院議員
  39. 和田政宗 – 自民党参議院議員
  40. 松山政司 – 自民党参議院議員
  41. 宮沢博行 – 自民党衆議院議員
  42. 山田賢司 – 自民党衆議院議員
  43. 山田美樹 – 自民党衆議院議員
  44. 与謝野信 – 自民党衆議院議員
  45. 吉川有美 – 自民党参議院議員
  46. 吉野正芳 – 自民党衆議院議員
  47. 小熊慎司 – 立憲民主党衆議院議員
  48. 榛葉賀津也 – 国民民主党参議院議員
  49. 丸川珠代 – 自民党参議院議員
  50. 岡田直樹 – 自民党参議院議員
  51. 星野剛士 – 自民党衆議院議員
  52. 宮澤洋一 – 自民党参議院議員
  53. 牧原秀樹 – 自民党衆議院議員
  54. 金子恭之 – 自民党衆議院議員
  55. 宇野治 – 海上保安庁長官
  56. 成瀬厳 – 防衛省防衛政策局長
  57. 岡真臣 – 自衛隊情報本部長
  58. 佐伯了 – 防衛装備庁装備政策部長
  59. 中村誠 – 統合幕僚監部情報部長
  60. 川本篤 – 海上自衛隊情報業務群司令
  61. 伴剛 – 防衛研究所長
  62. 小泉悠 – 東京大学先端科学技術研究センター特任助教(当時)

    (※後年の追加告示でも再掲。既に入国禁止だった人物が、後発の告示にも“あらためて”記載されることがあります(法的効果としては「禁止が重複」するだけで、実質は同じ禁止状態の継続です)。

  63. 岡部芳彦 – 神戸学院大学准教授(当時)

2022年7月14日付/7月15日公表(衆議院議員384名)

衆議院議員384名が一括指定(当時の現職)。


2024年7月23日公表(13名)

(企業経営者・機構幹部など/当時の肩書)

  • 豊田章男(トヨタ自動車 代表取締役会長)
  • 三木谷浩史(楽天グループ 創業者・会長兼社長)
  • 田中明彦(JICA 理事長)
  • 福原輝彦(武蔵富装 代表取締役社長)
  • 岩松正剛(新成物産 代表取締役社長)
  • 田中宏明(信和 代表取締役)
  • 竹内郁夫(東洋紡 代表取締役)
  • 大矢光雄(東レ 取締役・監査役)
  • 雨宮誠(日建 代表取締役社長)
  • 斎藤満(斎藤製作所 代表)
  • 諸岡昇(諸岡 代表取締役社長)
  • 吉永降法(デンヨー 代表取締役社長)
  • 小原英一(工進 代表取締役社長)

2025年3月3日公表(9名)

(政府関係者・JICA幹部・企業経営者)

  • 岩屋毅(外務大臣)
  • 中込正志(駐ウクライナ日本大使)
  • 松田邦紀(前・駐ウクライナ日本大使)
  • 原昌平(JICA 理事)
  • 松永秀樹(JICA ウクライナ事務所長)
  • 井手博(IHI 代表取締役社長)
  • 南真介(いすゞ自動車 代表取締役社長)
  • 戸谷俊介(プロドローン 代表取締役社長)
  • 山海嘉之(CYBERDYNE 代表取締役社長)

2025年11月11日公表(30名)

(外務省報道官・メディア関係者・研究者 等)

  • 北村俊博(外務省 報道官/情報発信戦略総括審議官)
  • 赤川省吾(日本経済新聞 記者)
  • 秋田浩之(日本経済新聞 コラムニスト)
  • 秋山信将(一橋大学 教授)
  • 岩崎一郎(一橋大学 教授)
  • 岩下明裕(北海道大学 スラブ・ユーラシア研究センター 教授)
  • 石井英俊(インド太平洋人権情報センター 代表・コラムニスト)
  • 石井栄子(Free Tibet Fukuoka 代表)
  • 石川英恵(日本経済新聞 論説委員)
  • 児玉勝吾(日本経済新聞 記者)
  • 小泉悠(東京大学先端研 准教授)
  • 駒木明義(朝日新聞 論説委員)
  • 増尾幸生(TBS 記者)
  • 長澤剛志(日本経済新聞 編集委員)
  • 名越健郎(拓殖大学 教授)
  • 尾関航也(読売新聞 記者)
  • 坂口幸裕(日本経済新聞 記者)
  • 酒井耕一(日本経済新聞 編集委員)
  • 杉﨑浩文(共同通信 記者)
  • 田中孝之(日本経済新聞 記者)
  • 千野友輔(フジテレビ 記者)
  • 上村康貴(株式会社デンザイ 社長)
  • 上杉裕士(読売新聞 国際部 記者)
  • 船越聖(読売新聞 記者)
  • 平野高志(慶應義塾大学 教授/ウクルインフォルム日本語版編集)
  • 廣瀬陽子(慶應義塾大学 教授)
  • 細谷雄一(慶應義塾大学 教授)
  • 辻隆(日本経済新聞 記者)
  • 遠藤乾(東京大学 教授)
    -(※)石川幸平(毎日新聞 政治部長/編集委員)

※海外報道のローマ字転写(例:Akagawa, Akita など)から日本語表記に復元しています。肩書の細部・所属は日本側報道とロシア側原文で表記揺れがあるため、実務上の最新肩書が異なる場合があります。

ロシア連邦による対日報復制裁の最新分析:

ロシア連邦による日本国民に対する無期限入国禁止措置は、ウクライナ侵攻開始後に日本政府が対ロシア制裁を強化して以来、継続的に拡大している報復政策の柱である。特に2025年11月11日(現地時間)にロシア外務省が発表した新たな措置は、従来の政治家や政府高官中心のリストから質的に変化し、日本の言論・知識形成の中核を担う専門家とメディア関係者30名を主要な標的としたことで、地政学的な報復が新たな局面に突入したことを示している 。

ロシア外務省は、今回の無期限入国禁止措置を、日本政府による対ロシア制裁への対抗措置であると明言している 。措置の理由として、日本政府が「前例のない反ロシアキャンペーンを開始し誹謗や直接的な脅威を含めてロシアに対して容認できない表現をしている」と説明しており 、この「誹謗」という言葉が示す通り、今回の制裁が日本の対ロシア言論空間そのものに向けられたものであることが強く示唆される 。この最新の措置の特異性は、報復対象の質的変化として明確に現れている。過去の措置、例えば2022年5月の第一弾は、当時の岸田文雄首相や林芳正外相ら内閣・与党幹部 、および特定の国会議員を中心とする政策担当者への直接的な報復であった。しかし、今回はウクライナやロシアを専門とする研究者8名、主要メディア関係者17〜18名、および外務省の報道官に集中している 。これは、制裁の目的が、政策決定者への直接圧力から、日本の対ロシア世論および政策形成の「源泉」である言論空間への浸透と圧力へと戦略的にシフトしたことを意味する。

また、今回の発表は、高市早苗首相が就任して以来、ロシアが行った最初の対日報復措置である 。このタイミングでの発表は、ロシアが日本の政権交代に関わらず、日本の対ロ制裁路線が継続される限り、報復措置も継続するという明確なシグナルを日本の新政権に対し発しているものと分析される。

最新の報復措置(2025年11月)の詳細分析:専門家・メディア層の狙い撃ち

2025年11月11日に発表された入国禁止リストの対象者30名は、日本の対ロシア・ウクライナ政策に対する批判的な言論と専門知識の提供に深く関与してきた人物で構成されている。対象者は、研究者、メディア関係者、政府関係者に大別される 。

 ロシア・ユーラシア研究の主要な権威に対する制裁(研究者8名)

今回、最も注目すべき標的となったのは、日本の安全保障政策や対ロシア外交に関して強い影響力を持つ研究者たちである。リストには、ウクライナやロシアを専門とする研究者が8名含まれている 。公表された主要人物には、以下の権威が含まれる。

  • 東京大学先端科学技術研究センター 准教授:小泉悠氏 。
  • 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 教授:岩下明裕氏 。   
  • 慶応大学 教授:廣瀬陽子氏 。
  • 一橋大学 教授:秋山信将氏 。

これらの研究者は、ウクライナ侵攻が始まって以来、日本の主要なテレビ番組やメディア、そして政府系の会議に頻繁に登場し、ロシアの行動に対する批判的かつ詳細な軍事・地政学的分析を提供してきた。ロシアは、彼らの「専門家としての権威」が、日本の世論形成において、ロシアの主張(「特別軍事作戦」の正当性)を打ち消す上で最も有害であると判断したと考えられる。研究者への制裁は、日本の知的な議論の場への直接的な介入であり、知識生産に対する圧力として機能する。

主要メディア関係者の包含(17〜18名)

入国禁止リストには、日本やウクライナの報道関係者18人、または日本のメディア関係者17人が含まれていると報じられている 。具体的には、日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、TBSテレビ、フジテレビといった主要な報道機関の編集委員や記者らが対象に含まれている 。

これらの主要報道機関のキーパーソンを制裁対象とすることで、ロシアが狙うのは、日本のロシア関連報道全般に対する圧力を強化することである。この措置により、対象となった記者の現地取材機会は恒久的に制限され、結果として報道内容の自己検閲を誘発する効果が期待される。これは、ロシアにとって不利な情報が日本の情報環境に流通するのを抑制し、情報環境の制御を試みる戦略の一環であると分析できる。

外務省報道官の選定:外交チャンネルへの直接的な警告

さらに、外務省の報道官である北村俊博氏もリストに含まれている 。報道官は、政府の公式見解を国内外に発信する役割を担っており、その発言は日本政府の対ロ姿勢を象徴する。

報道官を標的とすることは、単なる官僚への報復ではなく、日本政府の対ロ非難の姿勢そのものに対する制裁である。これは、対日外交ルート全体へのロシア側の強い不満を表明する手段であり、日本外交当局への直接的な挑戦として受け止められている。

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