2025年7月30日午前8時25分ごろ、カムチャツカ半島付近でマグニチュード8.7の大地震が発生し、日本各地に津波警報・注意報が発令されました。このニュースを受けて、SNS上ではおなじみの“予言”が再び注目を集めています。
それは、漫画家・**たつき諒(たつきりょう)**氏が以前に描いた「予知夢」に関する発言であり、「2025年7月に日本に大地震と津波が来る」とされる内容です。
「予言が当たった」、「警告されていた通りだ」といった声も多数見受けられます。この記事では、こうした動きについて冷静に整理し、情報との向き合い方を考えてみたいと思います。
たつき諒氏は、かつて活動していた日本の漫画家で、特に『私が見た未来』という短編集が有名です。その中に収録された「予知夢」についての漫画で、彼女が1999年に見たとされる夢が未来の災害を的中させたと話題になりました。
特に注目されたのは、2011年の東日本大震災を思い起こさせるようなことを書いていたという事です。そして、たつき氏が後年になって「2025年7月に日本に未曾有の災害が起こるという夢を見た」という発言が拡散されるようになりました。
今回、7月30日にM8.7の地震がロシアのカムチャッカ半島付近で発生し、日本の太平洋沿岸広域に津波警報・注意報が発令されました。SNSや掲示板ではすぐさま「たつき諒の予言、当たってしまった」という反応が相次いでいます。代表的な書き込み例を挙げてみましょう:
こうした声が出てくるのも、予言と現実の出来事が日付や内容で“部分的に一致”しているためでしょう。
たしかに、「2025年7月」「大津波」というキーワードが一致しているように見えます。しかし、地震の発生場所が大きく異なる点は、見逃してはいけません。
項目 | たつき諒の予言(とされる内容) | 実際の地震・津波(2025年7月30日) |
---|---|---|
日付 | 7月5日、あるいは2025年7月中 | 7月30日 |
地震発生地点 | フィリピン海プレート付近(南海トラフ周辺) | カムチャツカ半島付近(北西太平洋、ロシア) |
津波の規模 | 「未曾有」「首都壊滅レベル」など | 最大3m予想/現時点で首都圏や他の地域に大被害なし |
被害予測 | 全国 | 津波警報発令(被害規模は限定的) |
このように、地震発生のプレート・震源域・被害の想定範囲、被害の度合いなどすべてに違いがあるため、「当たった」とするには無理があります。
たつきさんの予言の中核は、フィリピン海プレートで発生する直下型大地震と、それに伴う日本列島への壊滅的被害(特に首都圏)です。
対して、今回の地震はカムチャツカ付近という遠地の海溝型地震で、日本列島に津波は及んでも、直撃的な被害は現時点では確認されていません。
🧭なぜ“当たった”と信じる人が多いのか?
人間は不確実な未来に対して強い不安を抱く存在です。不安の裏返しとして「誰かが警告していた」と思いたくなる心理は、決して不自然なものではありません。
また、たつき氏の予言が「夢」という形で語られていたことも、解釈の幅を持たせやすい要因です。現実の出来事と“後付けでつなげる”ことが可能なため、**後知恵バイアス(hindsight bias)**が働きやすくなるのです。
災害時に最も大切なのは、「実際の気象情報や避難指示に基づいた行動」です。たとえ“予言”が気になったとしても、それによって冷静な判断や避難行動が妨げられてしまっては本末転倒です。
そして、予言を信じる・信じないは個人の自由ですが、他人に無理に信じさせたり、科学的根拠のない情報を拡散することは慎むべきです。特にSNS時代の今、誤情報があっという間に拡散され、パニックや混乱を招くおそれもあります。
今回の津波と「たつき諒の予言」が一部で結びつけられて話題になっていますが、科学的・客観的に見るならば、予言の「的中」と断定するには根拠が乏しいのが現実です。
未来に対して警戒心を持つのは大切なことですが、それ以上に、正確な情報源と冷静な思考を大切にし、予言や噂話よりも「自分の命を守る行動」を優先しましょう。
「予言が当たった」と感じるのは自然な反応かもしれませんが、その情報をどう受け止め、どう行動につなげるかが最も重要です。
誰かの夢よりも、現実の警報と自分の判断が、命を守る最大の盾になるのです。