~続報に基づく再検証と専門家の分析~
2025年6月12日、インド・アーメダバード発ロンドン行きのエア・インディアのボーイング787-8型機が離陸直後に墜落し、乗客241人中240人と地上の19人、合計260人以上が犠牲となりました。この事故は、インドで過去30年で最悪の航空災害となりました。
発生から約1か月が経過した現在、調査は新たな局面を迎えており、特に**燃料制御スイッチ(Fuel Control Switch)**に関する情報が注目されています。
7月17日、**Wall Street Journal(WSJ)は、墜落したエア・インディア機のコックピット録音(CVR)**の内容について報道しました。これによれば、機長が離陸直後に燃料の供給を遮断した可能性があるという衝撃的な内容が記録されていたといいます。
WSJは、米国当局関係者の初期調査に詳しい関係者の話として、燃料が「cutoff(遮断)」に切り替えられたことが事故の直接的な原因の一つである可能性を示唆しました。
この事実が裏付けられれば、当初疑われていた「機械的故障」だけでなく、「人的ミスあるいは意図的操作」の可能性も視野に入ってきます。
燃料制御スイッチは、航空機のエンジンへの燃料供給を「Run(供給)」または「Cutoff(遮断)」に切り替える装置です。離陸や飛行中は通常「Run」に設定されており、「Cutoff」に切り替えるのはエンジンを停止させる時や緊急時に限られます。
事故機では、このスイッチが離陸直後に「Cutoff」に移動した形跡があり、それが両エンジンの停止と急降下・墜落につながったとみられています。
事故を受けて、**インド航空規制当局(DGCA)**は、国内のすべての航空会社に対し、ボーイング機の燃料制御スイッチのロック機能を緊急点検するよう指示しました。
このロック機能は、誤ってスイッチが「Cutoff」に動いてしまうのを防ぐために設けられているものですが、今回の事故でその機能が十分に働かなかったのではないかとの懸念が出たのです。
現在までのところ、ロック機構自体に欠陥は見つかっていないとされており、意図的な操作または人為的ミスの可能性がより濃厚になっています。
当初は揚力不足が事故原因の一因とされ、フラップやスラットの展開不良が疑われていました。現時点では、燃料遮断の証拠が優先的に取り上げられており、補助的な要因であった可能性が指摘されています。
機体が墜落までランディングギアを下ろしたままだったのは事実ですが、これも燃料停止後に格納操作が行えなかった可能性が高く、主因とは考えにくいという見方が強まっています。
両エンジンが停止していたのは事実ですが、外的損傷や機械故障の形跡はなく、燃料遮断による停止であった可能性が高いという調査結果が示されています。
事故調査が進む中、エア・インディアのキャンベル・ウィルソンCEOは、従業員向けの書簡で「時期尚早な結論は避けるべきだ」と述べ、冷静な調査を求めています。
現在明らかになっている情報から見て、事故は機械的な故障ではなく、パイロットによる操作ミスまたは意図的行為が重大な原因であった可能性が高まっています。
とはいえ、調査はまだ進行中であり、今後の追加証拠や解析結果により、新たな事実が浮かび上がる可能性もあります。
このような悲劇が二度と繰り返されないよう、真相究明と再発防止策の確立が強く求められています。