2025年シーズンのロサンゼルス・ドジャースは、MLBでも屈指の選手層と戦力を誇る名門球団として期待されています。しかしその一方で、投手陣の大規模な負傷離脱がシーズン序盤から深刻な問題となっています。この記事では、現在のドジャース ピッチャー故障者リスト(Injured List)に登録されている選手たちを中心に、その背景、影響、そして今後の見通しまで幅広く解説します。
また、これだけのスター投手が同時にILに名を連ねる事態が何を意味するのか。ドジャースのチーム編成や育成方針、そしてMLB全体に与える影響についても掘り下げます。
日本から鳴り物入りでポスティング移籍した佐々木朗希投手は、2025年MLB全体プロスペクトランキングで堂々の1位に選出され、球界全体から注目を集める存在でした。しかし、シーズンが始まって間もなく、5月13日に**右肩痛(インピンジメント症候群)**のため15日間IL入り。実は千葉ロッテ時代から肩の違和感を抱えていたという報道もあり、メジャー挑戦のタイミングを巡っては一部で疑問の声も出ています。
この若きエース候補の復帰は未定であり、ドジャースとしても非常に慎重な対応を迫られています。
2018年と2023年にサイ・ヤング賞を受賞した実力派左腕・スネルも、今季は苦しいスタートを切っています。オフに5年契約で加入したばかりのスネルは、開幕から精彩を欠き、最終的に左肩の炎症により5月17日に60日ILへ移行しました。FanGraphsによるとWARは0.0と不本意な数値にとどまり、復活が待ち望まれます。
スネルは故障歴がそれほど多くない投手だっただけに、今後の経過が非常に注目されています。
203cmという長身から160km超の速球を繰り出すグラスノーは、今季のドジャースの先発ローテーションの軸になると見られていました。しかし、4月28日に右肩の炎症で15日IL入り。これまでのキャリアでも度重なる怪我に苦しんできた彼にとって、またしても不安な状況となっています。
ドジャースのトレーナー陣は「深刻な損傷ではない」としていますが、復帰時期は依然として未定です。
2024年7月にメジャーデビューを果たし、力強い投球で将来を期待されたライアンは、右肘尺側側副靱帯の損傷によりトミー・ジョン手術を受け、2025年後半以降の復帰を目指しています。手術を受けた8月以降はリハビリに専念しており、回復の進捗状況は良好と報じられています。
2024年シーズン終盤に右肘を痛めたストーンは、同様にトミー・ジョン手術を受け、2025年シーズンは全休の見通しです。2024年のワールドシリーズ制覇にも貢献した投手だけに、チーム内外から惜しまれる声が多く上がっています。
このように、期待の若手たちまでもが次々に戦線離脱している状況は、ドジャースの中長期的な計画にも影響を及ぼしています。
選手名 | ポジション | 負傷部位・病名 | IL種別 | 登録日 | 復帰予定 |
---|---|---|---|---|---|
佐々木朗希 | SP | 右肩インピンジメント | 15日IL | 2025/5/13 | 未定 |
ブレイク・スネル | SP | 左肩炎症 | 60日IL | 2025/5/17 | 未定 |
タイラー・グラスノー | SP | 右肩炎症 | 15日IL | 2025/4/28 | 未定 |
リバー・ライアン | SP | トミー・ジョン手術 | 60日IL | 2024/8/12 | 2025年後半 |
ギャビン・ストーン | SP | トミー・ジョン手術 | 60日IL | 2024年後半 | 2025年全休 |
マイケル・コペック | SP | 右肩インピンジメント | 60日IL | 2025/5/1 | 未定 |
エバン・フィリップス | RP | 右前腕の不快感 | 15日IL | 2025/5/7 | 未定 |
カービー・イエーツ | RP | 右ハムストリング張り | 15日IL | 2025/5/18 | 未定 |
ブルスダー・グラテロル | RP | 右肩手術 | 60日IL | 2025/3/17 | 未定 |
エメット・シーハン | RP | 右肘手術 | 60日IL | 2025/3/27 | 未定 |
カイル・ハート | RP | 右肘手術 | 15日IL | 2025/3/17 | 未定 |
マイケル・グローブ | RP | 右肩手術 | 60日IL | 2025/3/17 | 未定 |
エドガルド・ヘンリケス | RP | 左足骨折 | 15日IL | 2025/3/17 | 未定 |
ブレイク・トライネン | RP | 右前腕の張り | 60日IL | 2025/5/1 | 未定 |
もしすべての主力投手が健康であれば、ドジャースのローテーションは以下のような夢の布陣となっていたことでしょう:
このメンバー構成は、他球団ではそれぞれがエース級とされる才能を揃えたラインナップ。実際にこの投手陣が揃って先発した試合を一度も見ることができていないことは、ファンにとっては非常に残念であり、同時に今後への期待でもあります。
さらに、2023年・2024年に故障から復帰したダスティン・メイやトニー・ゴンソリン、レジェンドのクレイトン・カーショウが加われば、それだけでMLB屈指の投手王国が完成していた可能性もありました。
ドジャースは選手のリスクを承知の上で獲得し、それを医療・トレーニング部門の力でカバーする体制を構築しています。近年は、投球フォームの解析技術やAIを活用したリハビリメニューの最適化にも力を入れており、トミー・ジョン手術後の復帰成功率はリーグ屈指と言われています。
2A・3Aに控える若手投手の質の高さもドジャースの強みです。急なIL入りにも即座に対応できるだけでなく、短期間の間に勝ち星を積み重ねられる「プロスペクト即戦力型」のシステムは、MLB内でも一目置かれています。
さらに、打撃面での得点力やブルペン陣の層の厚さも、故障者の穴を最小限に抑える重要な要素です。
2025年の「ドジャース ピッチャー故障者リスト」は、まさにオールスター級の名簿といっても過言ではありません。これだけの投手が同時に離脱する事態は異常であり、同時に現代野球における酷使のリスクや日程過密の課題を浮き彫りにしています。
それでもドジャースは、怪我人続出の中でも勝ち続けており、球団の総合的な運営能力の高さが証明されています。ファンとしては、全投手が万全の状態で揃い、本来のポテンシャルを発揮する姿を一日でも早く見たいと願わずにはいられません。
また、これほどまでに多くの主力を欠いた状態でプレーオフを迎えた場合、どのようなローテーションを組むのか。その戦略も含めて、今後の動向に注目が集まります。