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ノンバイナリーとは

ノンバイナリーとは

ノンバイナリーの意味・背景・当事者の感じ方・配慮のポイントを解説

**ノンバイナリー(non-binary)**とは、性別を「男性/女性」の2つ(バイナリー)だけで捉える枠組みに当てはまらない、または当てはめたくない人の性自認(ジェンダー・アイデンティティ)のあり方を指す言葉です。

この記事では、言葉の意味から、似た用語との違い、当事者が困りやすい場面、日常でできる配慮までを、できるだけ分かりやすくまとめます。


この記事の要点

  • ノンバイナリー=「男でも女でもない」だけではない(間・両方・どちらでもない・流動的など多様)
  • ✅ **性自認(心の性)**の話であり、見た目・服装・声・身体の特徴とは一致しないことがある
  • ✅ 配慮の基本は、呼び方(名前)・代名詞・書類の性別欄などで「決めつけない」こと

ノンバイナリーの意味と定義

一般に、性別を「男性」「女性」のどちらかに固定する考え方を**バイナリー(二元論)**と呼びます。ノンバイナリーはその二元論に当てはまらない性自認を指します。

ただし、ノンバイナリーと一口に言っても、感じ方は人それぞれです。

  • 🟦 男性でも女性でもないと感じる
  • 🟪 両方の要素があると感じる
  • 🟩 その中間にいると感じる
  • 🟨 **状況や時期で揺れ動く(流動的)**と感じる
  • 🟧 そもそも性別という感覚が薄い/ないと感じる

まず整理:よく混同される3つ(性別に関する要素)

ノンバイナリーを理解するうえで、混同されやすいポイントを分けておくとスッキリします。

  1. 性自認(ジェンダー・アイデンティティ):自分の性別をどう感じるか
  2. 性表現(ジェンダー・エクスプレッション):服装・髪型・言葉遣い・振る舞いなど外から見える表現
  3. 身体の性(セックス):身体的特徴や生物学的性の分類

👉 ノンバイナリーは主に **1(性自認)**の話で、2や3と必ずしも一致しません。


ノンバイナリーと似た言葉の違い

ノンバイナリーとトランスジェンダーの関係

  • トランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別(戸籍・医療上の扱いなど)と、性自認が一致しない(または一致しにくい)人の総称として使われることが多い
  • ノンバイナリー:性自認が男性/女性の二択に当てはまらない

✅ そのため、ノンバイナリーの人が「トランスジェンダーに含まれる」と捉える場合もあれば、そうは捉えない場合もあります(本人の受け止め方によります)。

ジェンダークィア(genderqueer)

  • 性別の規範や固定的な枠に疑問を持ち、そこから自由でいたい、というニュアンスで使われることがあります。
  • ノンバイナリーと重なる領域が大きく、本人の好む言葉で呼ぶのが基本です。

アジェンダー(agender)

  • 「性別がない/性別を持たない感覚が強い」という自己認識で使われることがあります。
  • ノンバイナリーの一種(または関連概念)として紹介されることもあります。

ジェンダーフルイド(genderfluid)

  • 性自認が固定ではなく、時期や状況で変動する感覚がある人が使うことがあります。

よくある誤解(日本で特に起きやすいポイント)

  • ❌ **「見た目が中性的=ノンバイナリー」**ではない
  • ❌ **「おしゃれの一種」「流行」**と決めつけるのはズレる
  • ❌ **「男か女かはっきりしないのは甘え」**という評価は、当事者の現実とかみ合わない
  • ❌ **「どっちでも恋愛対象になる」**など、性的指向(誰を好きになるか)と混同しない

✅ ノンバイナリーは「好み」ではなく、自分をどう認識しているかの話です。


当事者が困りやすい場面(身近な例)

ノンバイナリーの人が日常でストレスを感じやすい場面には、次のようなものがあります。

  • 🧾 書類の性別欄が二択のみ(男/女)
  • 🏢 職場や学校での呼称(「男女で分かれて」「男子は〜、女子は〜」)
  • 👕 制服・ドレスコードが性別で固定
  • 🛁 更衣室・トイレの利用が難しい
  • 📞 電話・接客での決めつけ(声で「男性ですね」「女性ですね」と断定される)
  • 👪 家族・親戚からの理解不足(説明しても「結局どっち?」と詰められる)

どう配慮すればいい?(今日からできること)

女子社員・職場

大切なのは、「正解を当てる」ことではなく、相手が嫌だと感じる決めつけを減らすことです。

1)呼び方は「名前」を基本にする

  • 😊 迷うときは、まず名前で呼ぶのが安全です。
  • 役職・苗字+さん、なども無難です。

2)代名詞(pronouns)は、必要なら自然に確認する

英語圏では、he/she/they などの代名詞が話題になります。

  • 🌿 例:”What pronouns do you use?”(使っている代名詞は何ですか?)
  • 🌿 メール署名やプロフィールに pronouns を書く人もいます

日本語では代名詞を頻繁に使わなくても会話が成立するので、

  • 代名詞よりも、呼び名(名前)と敬称を丁寧に扱う
  • ✅ どうしても必要な場面だけ、相手に合わせる という姿勢が現実的です。

3)「男/女」前提の質問を減らす

  • ❌「彼氏いるの?(男性前提)」
  • ❌「男なんだから/女なんだから」
  • ✅「パートナーはいる?」
  • ✅「どう呼ばれるのが一番楽?」

4)本人が使う言葉を尊重する

  • ノンバイナリー、Xジェンダー、ジェンダークィアなど、当事者が使う言葉は人によって違います。
  • 本人の自己紹介の言葉を採用するのが一番スムーズです。

「Xジェンダー」との関係(日本語圏の用語)

日本では、ノンバイナリーに近い概念として Xジェンダーという言葉が使われることがあります。文脈やコミュニティによって、

  • ノンバイナリー ≒ Xジェンダー と説明されることもありますが、厳密な対応関係は一律ではありません。

✅ 結局のところ、ラベルよりも「その人がどう感じ、どう扱われたいか」を軸にするのが大切です。


ノンバイナリーは増えている?「可視化」が進んだという見方

近年、SNSやメディアを通じて、これまで言葉になりにくかった感覚が共有されやすくなり、

  • 「自分はこの言葉で説明できるかもしれない」
  • 「同じ感覚の人がいた」 と気づく機会が増えました。

これは単に人数が増えたというより、言語化と可視化が進んだという面も大きいと考えられます。


Q&A(よくある質問)

Q1. ノンバイナリーはLGBTに含まれますか?

A. 多くの文脈では、LGBTQ+ の「Q(クィア/クエスチョニング)」や「+」に含めて語られることがあります。ただし、本人がどの枠組みに入ると感じるかは人それぞれです。

Q2. ノンバイナリーは病気ですか?

A. 一般に、性自認の多様性を「病気」とする捉え方は適切ではありません。困りごとがある場合は、周囲の環境(制度・扱い・偏見)によって増幅されることが多いです。

Q3. どう接すれば失礼になりませんか?

A. 迷ったら、①名前で呼ぶ ②決めつけをしない ③本人の希望が出てきたら合わせる、の3点が基本です。

Q4. 間違えたらどうすればいい?

A. 大げさにせず、短く謝って修正するのが一番負担が少ないことが多いです。

  • 例:「ごめん、言い間違えた。◯◯さん。」

まとめ

ノンバイナリーは「男/女の二択だけでは説明しきれない」性自認のあり方を示す言葉です。大切なのは、ラベルの暗記よりも、

  • 🌸 決めつけを減らす
  • 🌸 本人の言葉と希望を尊重する
  • 🌸 呼び方や制度上の困りごとに気づく

という日常の姿勢です。


 

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