山野徹氏は、2023年8月に全国農業協同組合中央会(JA全中)の会長に就任し、全国約1,000万人のJA組合員を代表するリーダーとして活躍されています。山野徹氏の経歴は、鹿児島県内のJA組織での現場経験を積み重ね、地域から全国組織へと着実にキャリアを進めた実力者であることを示しています。
山野氏の指導力と組織運営能力は、単なる職歴にとどまらず、彼の誠実な人柄と地域社会への深い愛着にも支えられています。長年にわたって農業の最前線で農家や組合員の声に耳を傾け、制度と現場のギャップを埋める努力を積み重ねてきたその姿勢は、多くの関係者から信頼を集めています。
山野徹氏は鹿児島県大崎町で生まれ、地元の文化や農業に親しみながら成長しました。幼い頃から農村地域での生活を通じて、地域共同体の絆や農業の役割の重要性を自然と学びました。地元の祭りや農作業を通じて、協働の精神や自然との共生の大切さを体得し、これが後の人生における信念の基礎となりました。
山野氏の学歴や出身大学に関する具体的な情報は公には明かされていませんが、複数の報道によると、大学を卒業後に一般企業へ就職したことが確認されています。この時期に社会人としての基礎的な知識やマネジメントスキルを身につけたと考えられます。企業での勤務経験を経て、農業分野への転身を図った背景には、地域や農業への貢献意識が強くあったと推測されます。
企業での経験を経て、山野氏はJAグループに入職します。農業と深く関わる仕事に従事することで、自身の役割の意義を見出し、農業者の生活を支える活動へ情熱を注ぐようになりました。この頃から「現場主義」を貫き、現地農家と直接対話する姿勢を大切にしてきました。組合員の声を汲み取り、実態に合ったサービスや支援策の実現を目指す姿勢が一貫しており、信頼される存在へと成長していきました。
鹿児島県内のJAそお鹿児島において、組合長という重責を担うようになります。組合員との対話を重視し、経済事業や営農指導の強化、若手農業者の育成に取り組みました。また、農業者の所得向上と地域の活性化を目指し、地元特産品のブランド化や販売ルートの開拓なども推進しました。農業体験ツアーや都市圏との連携による産直市場の開設など、外部との接点を活かした新たな展開にも力を注ぎました。
2017年には、県レベルの組織であるJA鹿児島県中央会の会長に就任し、JA鹿児島県厚生連、JA共済連鹿児島の会長も兼務。加えて、鹿児島県農民政治連盟(農政連)の委員長にも選出されました。農政との連携を強め、国や県への政策提言や制度改善の要望活動を積極的に行いました。農業経営の近代化や後継者不足への対策、農地の集約化などの課題にも積極的に取り組みました。
この時期にはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)や食料自給率の低下など、農業を取り巻く外部環境が大きく揺れていた時期でもあり、山野氏はJAグループ内外での意見集約に奔走し、持続可能な農業体制の維持と強化に注力しました。農政連との連携においては、農業従事者の声を直接政策立案者に届ける橋渡し役を果たしました。
2020年には、全国組織であるJA全厚連の会長に就任。JAグループの医療・福祉事業の頂点に立つポジションとして、地域医療の持続性確保や医師不足の解消、医療体制の強靭化に取り組みました。さらに医療分野においては、感染症対策の強化や高齢化に対応した地域包括ケアシステムの推進など、社会全体の課題とも向き合う姿勢を示しました。
また、同年に全国農民政治連盟(全国農政連)の会長にも就任。全国の農業者を代表する立場から、農業政策に対する積極的な提言と、農業従事者の声を政策に反映させるための活動を展開しました。農業予算の確保や食料安全保障の確立、環境保全型農業の推進といった、未来の農業像を見据えた提案を続けました。
2023年8月には、JA全中の会長に選出され、日本全国のJAグループを束ねる最高ポストに就任。組合員の利益を守るだけでなく、次世代農業の方向性を示すことにも力を入れています。
農業の担い手不足、気候変動による作物被害、国際競争力の強化といった諸課題に対し、地域に根ざした農協の強みを活かしつつ、デジタル技術の導入や新規就農支援策などにも取り組んでいます。特に、農業とITを融合させたスマート農業の導入、若年層向けの農業研修プログラムなど、未来志向の改革にも前向きです。
山野氏はJA鹿児島厚生連の会長時代、地域医療の担い手として医療体制の再構築を主導しました。老朽化していた医療施設の移転・新設を断行し、健康診断と診療が連動した「予防・治療一体型モデル病院」の実現を果たしました。
また、過疎地域や離島における医療の空白地帯を埋めるため、巡回検診車やリモート診療の導入を支援。これにより、アクセスの不平等を是正し、高齢者や子育て世帯が安心して暮らせる地域づくりに寄与しました。病院内のICT化も進め、電子カルテの導入や予約システムの効率化を実現し、医療の質と利便性を高めました。
さらに、看護師や医療技術者の地元採用・育成にも力を入れ、地域人材の定着にも貢献しました。専門職を地域に根付かせるため、奨学金制度や研修支援制度の整備も行い、長期的な医療インフラの維持に取り組みました。これらの取り組みは、農業だけでなく「暮らしのインフラ」としてのJAの存在意義を体現するものであり、多くの農業者から支持を集めました。
山野徹氏は、鹿児島県の一地方JAから全国組織のトップへと駆け上がった稀有なリーダーです。現場での実務経験と組合員との対話を重んじる姿勢は、農業現場の声を政策に反映させるうえで重要な役割を果たしています。
日本の農業が大きな転換点を迎えている今、山野氏のリーダーシップは、JAグループ内外で注目を集めています。今後もデジタル化やグローバル化、そして環境への配慮が求められるなか、山野氏の経歴と経験は大きな力となるでしょう。さらに、彼の行動理念は「組合員第一主義」に基づき、現場からの改革を重視するという強い意思に支えられています。