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天安門事件・なぜタブー?

天安門事件・なぜタブー?

天安門事件が中国でタブー視されるの理由

中国社会における沈黙の背景と意味を読み解く

1989年6月4日。中国・北京で起きた天安門事件は、今なお中国国内で「語ってはいけない出来事」とされています。世界中では広く知られ、記録され、議論され続けているこの歴史的事件が、なぜ中国では封印され、検索しても出てこないような扱いを受けているのでしょうか?言い換えると、天安門事件はなぜタブーとされているのでしょうか?

中国の若者の多くはこの事件の存在すら知らず、教育現場でも一切触れられないことが常態化しています。そのため、同じ事件について語ろうとしても、世代や国境を越えた大きな情報の断絶が存在します。

本記事では、天安門事件がなぜタブー視されるのかという政治的・社会的背景、そして現代中国と国際社会に与える影響について、より深く多角的に掘り下げていきます。また、事件が語られることによってもたらされる希望や課題にも触れ、「記憶すること」の意味を考えます。


🔴 天安門事件とは? 〜1989年の実際の出来事〜

1989年春、北京・天安門広場では、大学生を中心とした市民が民主化、言論の自由、政治改革を求めて座り込みを行っていました。

  • 発端は、胡耀邦(こようほう)前総書記の死去への追悼
  • 要求内容は汚職の撲滅、報道の自由、民主的改革
  • 数万人規模の非暴力デモへと拡大
  • 国内各都市(上海、西安、成都など)にも波及
  • メディア規制を一時的に緩和したため、当初は報道もなされた

ところが、6月3日から4日にかけて中国人民解放軍が武力で鎮圧。多数の死傷者が出たとされ、正確な犠牲者数はいまだに不明です。英BBCや米国務省などでは、少なくとも数百〜数千人規模と推測されています。

一部報道では、戦車が民間人を轢いたとも伝えられており、特に有名なのが「タンクマン」と呼ばれる名もなき男性が戦車の前に立ちはだかった写真です。


🚫 なぜタブーなのか? 〜中国政府の統制と正統性の問題〜

天安門事件がタブーとされる最大の理由は、中国共産党がその正統性を揺るがす出来事と捉えているからです。

1. 共産党の支配体制への脅威

  • デモの主張は、一党独裁体制への直接的な批判
  • 仮に事件を正面から語ることを許せば、「民主化要求」が再燃しかねない
  • 共産党の求心力を損なうリスクがある
  • 学生たちは「中国の未来をより良くする」ために集まったとされ、その動機を否定しきれない構造がある

2. 「安定」を最優先する国策

中国共産党は「社会の安定」を国家運営の柱としています。天安門事件は政府が国民に銃口を向けた日でもあり、これを公に認めることは支配の正当性を否定するに等しいのです。

  • 経済発展と引き換えに政治的自由を制限するという「暗黙の社会契約」
  • この契約が成立しなくなる恐れがある

3. 情報統制の完成度

  • 教科書には事件の記述はほとんどなく、若者の多くは事件を知らない
  • 中国版SNS(Weiboなど)では「64」「天安門」などのワードは検閲対象
  • VPNを通じて海外の情報を見ようとする動きも監視対象に
  • 検閲AIによるリアルタイム監視と自動削除
  • 検閲を回避するため「ろくよん(六四)」や「蜡烛(ろうそく)」などの隠語が使われる

🧠 なぜ記憶されるべきか? 世界の視点と中国国外の記念活動

天安門事件は、自由と民主主義の重要性、そして国家による暴力の危険性を象徴する出来事です。

  • 毎年6月4日には香港や台湾、世界各地で追悼集会が行われていた(※香港では近年、取締強化により事実上禁止)
  • 海外メディアでは「記憶の闘い(the battle of memory)」として語られる
  • 亡命した元学生リーダーたちは今も活動を続けている
  • 世界各国の中国大使館前でキャンドルライト追悼も

国際社会では「忘却に抗う」ことが、民主主義と人権の基本であると考えられています。中国の市民が語れない分、海外に住む中国人や世界の人々が“声”を継承しているのです。


🤔 よくある疑問 Q&A

Q. 中国の若者は天安門事件を知っているの?

A. 天安門事件は今なおタブーとされていて、多くの若者は知らない、あるいは断片的にしか知らされていません。インターネットでも検閲されているため、自発的に調べようとしない限り、触れることは困難です。中には「その話は聞いてはいけない」と大人から言われるケースもあります。

Q. なぜ香港でも追悼が禁止されたの?

A. 2020年以降の国家安全法導入により、中国本土と同様に「反政府活動」と見なされるようになったためです。それ以前はビクトリアパークで数万人規模の追悼イベントが開かれていましたが、今では逮捕のリスクを伴う行動となりました。

Q. 事件を話題にするとどうなるの?

A. 中国本土では、警察による事情聴取や拘束のリスクがあります。SNSで関連発言をするだけでもアカウントが凍結されることがあります。外国人でも国内に滞在中であれば、関連行動はトラブルの元になり得ます。


🏛️ 最後に:忘れられることが、もっとも危険

天安門事件は、「歴史の闇」として封印されています。しかし、封印されること自体が再発のリスクを生むのです。

歴史に目を背けたとき、自由は徐々に奪われていきます。記憶を持つことは、未来のための責任です。中国国内で言えないからこそ、世界が語り続ける意味があるのです。

同様の「記憶を封じる政治」は世界中で見られます。だからこそ、「語られない歴史」を探求することが、私たち全員に求められているのです。


 

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