アメリカナマズ料理
霞ヶ浦の“厄介者”を南部名物Fried Catfishでおいしく食べる
アメリカの南部ではナマズは料理は定番メニューです。
霞ヶ浦などで増えて問題になっている“アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)”を、安全に・おいしく食べるためのアメリカナマズ料理の実用ガイドとしてまとめます。
1. 霞ヶ浦でアメリカナマズが増えて困っている…だからこそ「食べる」という選択肢
霞ヶ浦では、外来魚が増えることで在来の魚やエビなどへの影響が心配され、「捕ったのに捨てられる」「不法投棄で悪臭が出る」といった二次被害も話題になります。
そこで注目されるのが、ただ駆除するだけでなく、適切に回収して資源として活用するという考え方です。アメリカナマズは大きく育ち、身も厚いので、扱い方さえ押さえれば十分に料理料の“食材”になります。
2. そもそもアメリカナマズとは?(チャネルキャットフィッシュ)
日本で「アメリカナマズ」と呼ばれることが多いのは、一般的にチャネルキャットフィッシュとして知られる種類です。
特徴
- ✅ 大型になりやすい(食材として身が取りやすい)
- ✅ 体表にウロコがなく、ぬめりがある
- ✅ 背びれ・胸びれにトゲがあり、刺さると痛い(取り扱い注意)
- ✅ 味は「淡白な白身」。泥臭さは“個体差+下処理”で大きく変わる
3. 味は?まず結論:やわらかい白身で、フライにするとめちゃくちゃ合います
アメリカナマズの味は、ざっくり言うと クセの少ない白身魚 です。小骨が少なく、火を入れるとふわっとやわらかく、揚げ衣との相性が抜群。
ただし、湖沼の野生個体は泥臭さが出やすいことがあります。ここは後半の「下処理」が勝負です。
4. 【重要】特定外来生物:やってはいけないこと(生きたまま運ばない等)
アメリカナマズは、地域や状況により法的な扱いが強く制限されています。
基本の注意点(安全&ルール面)
- ⚠️ 生きたままの運搬は避ける(規制対象になる・拡散リスクがある)
- ⚠️ 放流は絶対にしない
- ⚠️ 死骸の放置は衛生問題・トラブルの原因
記事の趣旨はあくまで「料理」ですが、外来種は拡散させないことが最優先です。必ず地域のルールに従ってください。
5. 食べる前の安全:基本は「鮮度」と「十分な加熱」
野外で捕獲した魚を食べるときは、味より先に安全です。
守りたい基本
- 🧊 できるだけ早く冷やす(保冷剤+クーラーボックス)
- 🧼 調理前後の手洗い・器具の洗浄を徹底
- 🔥 中までしっかり加熱(目安:中心温度63℃程度)
- 🦠 生食は避ける(刺身・カルパッチョなどはおすすめしません)
また、湖や川の魚について自治体が注意喚起を出している場合があります。地域の案内があるときは必ず優先してください。
6. 泥臭さを減らす!アメリカナマズの下処理(ここが勝負)
「泥臭いって聞いたから不安」という人は、以下の流れを忘れないでください。下処理で、仕上がりが別物になります。
6-1) 触る前に:トゲに注意
背びれ・胸びれのトゲは鋭いです。
6-2) ぬめり&臭み対策(おすすめ3パターン)
A:塩もみ(王道)
- 表面に粗塩を振る
- ぬめりをこすり出す
- 水でよく洗う
B:熱湯(時短)
- 皮目に熱湯をサッとかける(かけすぎ注意)
- ぬめりが白く固まったら、こそげ落として洗う
C:ミルク/豆乳/バターミルク(南部式)
- フィレにしてから、牛乳やバターミルク(なければ牛乳+酢少量)に15〜30分
- 仕上がりがまろやかになりやすい
6-3) フィレ取りと“黒い血合い”のトリミング
- 皮付きのままだと臭みが残りやすいので、皮を引くと食べやすくなります
- 身の中央にある黒っぽい部分(血合い・脂の強い部分)を薄く削ると、さらにクリアに
7. アメリカ南部の定番!Fried Catfish(フライド・キャットフィッシュ)

アメリカ南部では Fried catfish が定番料理として親しまれています。やわらかい白身を香ばしい衣でフライしたものは、本当においしいです。
そして筆者も、アメリカ南部にある大学に留学した際に、よく食べました。学食でも Fried catfish は定番メニューで学食でも普通に食べられます、
7-1) 南部風 Fried Catfish(基本レシピ)
材料(2〜3人分)
- アメリカナマズのフィレ:400〜500g
- 牛乳 or バターミルク:200ml(なければ牛乳+酢 小さじ1)
- 塩:小さじ1/2
- こしょう:少々
- (好みで)ガーリックパウダー、パプリカ、カイエンペッパー:各少々
衣
- コーンミール:1/2カップ(なければ細目パン粉+薄力粉でもOK)
- 薄力粉:1/2カップ
- 塩:少々
- こしょう:少々
揚げ油
作り方
- フィレを食べやすい大きさに切り、塩こしょう。
- 牛乳(またはバターミルク)に15〜30分つける。
- コーンミール+薄力粉+スパイスを混ぜ、魚にしっかりまぶす。
- 170〜180℃の油で揚げる(片面2〜3分→返して2分目安)。
- きつね色で引き上げ、油を切る。
ポイント
- 衣を“押し付ける”ようにつけると、ザクザク感が出ます
- 揚げすぎると身が硬くなるので、色がついたら早めに引き上げる
7-2) 付け合わせで「南部感」が一気に出る
- 🥬 コールスロー
- 🥔 フレンチフライ
- 🌽 ハッシュパピー(コーンミール団子のフライ)
- 🍋 レモン
- 🌶️ ホットソース
ソース
- タルタル(日本でも作りやすい)
- レムラード風:マヨ+ピクルス+レモン+少しのケチャップ&スパイス
7-3) Po’boy(ポーボーイ)にするのも最高
南部のサンド文化に寄せるなら、揚げたフィレをバゲットに挟んで、
- レタス
- トマト
- ピクルス
- タルタル で完成。ジャンクなのに、なぜか上品に食べられるやつです。
8. 和風アレンジ:アメリカナマズは「白身」だから、日本の味がよく合います
南部風が王道ですが、和風に寄せると家庭の食卓に入りやすくなります。
8-1) から揚げ(最強の入門)
- 下味:醤油+酒+しょうが+にんにく(各少々)
- 片栗粉で揚げる
- 仕上げにレモンや七味
8-2) かば焼き(タレで泥臭さを打ち消しやすい)
- 皮を引いた身を焼く
- 砂糖+醤油+みりんのタレを絡める
- 山椒が合います
8-3) 南蛮漬け(酸味でさっぱり)
- 揚げた身を、玉ねぎ・にんじん入りの甘酢に漬ける
- 冷蔵で一晩置くと味がなじむ
8-4) 味噌漬け焼き(香りで包み込む)
8-5) 柳川風(卵とごぼうで“川魚感”が消える)
- ごぼうを甘辛く煮る
- 切り身を入れて火を通す
- 溶き卵でとじる
9. 「食べる防除」をうまく回すコツ:拡散させず、ムダにしない
外来魚は“食材化”だけで全てが解決するわけではありませんが、
- 捕獲→適切な処理→流通/イベント活用 の動線ができると、放置や不法投棄が減りやすくなります。
大事な考え方
- ✅ 生きた個体を動かさない(拡散しない)
- ✅ 残渣(骨や皮)も衛生的に処理する
- ✅ 地域のルール・漁業権・釣りの規則を守る
10. よくある質問(Q&A)
Q1. 本当に泥臭くないですか?
A. 個体差はあります。ただし、塩もみ+ミルク漬け+血合いトリムで大きく改善しやすいです。調理法は「揚げる」「タレで焼く」「味噌漬け」が失敗しにくいです。
Q2. 小骨は多い?
A. 白身で身がまとまりやすく、フライにすると食べやすい部類です。フィレ取りを丁寧にするとさらに快適です。
Q3. どんな人は注意した方がいい?
A. 一般論として、妊娠中の方や小さなお子さま、持病がある方は、野外で捕った魚の摂取に慎重になることがあります。地域の注意喚起がある場合は優先し、不安があるときは無理をしないのが安全です。
まとめ:アメリカナマズは「南部の定番」だけでなく、日本の食卓でも化けます
- アメリカナマズは淡白な白身で、フライにすると非常に相性が良いです
- 南部の Fried catfish は、コーンミール衣+ミルク漬けで再現しやすい定番
- 日本では、から揚げ/かば焼き/南蛮漬け/味噌漬けなど和風に寄せると扱いやすいです
- 外来魚としての側面があるので、拡散させない・ルールを守ることが大前提です
「厄介者」から「おいしい資源」へ。 食べることが、地域の課題を少しだけ前に進めるきっかけになるかもしれません。