シカゴ・ホワイトソックス(Chicago White Sox)は1901年創設の伝統球団で、MLBの歴史そのものを体現する存在です。ワールドシリーズ制覇の栄光もあれば、「ブラックソックス事件」のような影の歴史もある——そんな球団だからこそ、在籍した選手の物語が濃く残ります。
その長い歴史の中で、ホワイトソックスに所属した歴代の日本人選手は多くありません。しかし、少数だからこそ一人ひとりの存在感は大きく、球団史の要所で“確かな足跡”を残してきました。
そして2025年12月21日(米国時間)、東京ヤクルトスワローズの主砲・村上宗隆のホワイトソックス加入(2年契約・総額3400万ドル)が球団から発表され、ホワイトソックスと日本人選手の歴史は新章に入りました。村上は背番号「5」を着用し、入団会見も予定されています。
シカゴ・ホワイトソックスの歴代日本人選手は村上選手を含めて以下の4選手です。
ホワイトソックスの日本人選手史を語る上で外せないのが高津臣吾です。独特の投球フォームと変化球で、短い期間ながら存在感を示しました。SABRの人物評でも、ホワイトソックス在籍時にファンから愛されたことが触れられています。
井口資仁は、ホワイトソックスにとって初の日本人選手です。福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)で実績を積み、2005年にメジャーへ挑戦。強い打球を生むパワーと、堅実な内野守備、そして勝負強さで早々にチームの主力へ食い込みました。
📝 トリビア:ポストシーズンではホームランを放ち、「大舞台に強い日本人」として印象を残しました。井口の成功は、ホワイトソックスが“日本人野手=十分に戦える”というイメージを持つきっかけにもなりました。
📌 追加エピソード:2005年のチームは投手力と守備力が軸でしたが、井口の長打力は攻撃の厚みを増す重要なピースでした。
読売ジャイアンツからメッツへと渡米し、エンゼルスを経て2011年にホワイトソックスに加入。メッツ時代は先発としても結果を残していましたが、ホワイトソックスでは主に中継ぎとして起用されました。
📝 補足情報:高橋はMLB通算で20勝以上を挙げ、デビュー年には月間最優秀新人賞も受賞しています。ホワイトソックス在籍の短さだけで評価が決まる投手ではなく、挑戦の積み重ねがキャリアの価値と言えるでしょう。
最大のニュースは、ヤクルトの主砲・村上宗隆の加入です。ホワイトソックスは村上と2年総額3400万ドルで合意したと発表しており、ポスティングに伴う移籍として大きな注目を集めています。報道によれば、ヤクルト側にはポスティングフィー(譲渡金)も発生しており、球団としても明確に「主力級の補強」と位置付けた獲得です。
米報道では、村上はコーナーインフィルダーとして評価され、特に一塁(1B)での起用が有力と伝えられています。一方で、村上は日本では三塁(3B)での出場経験も長く、ホワイトソックスのロースター状況次第では3BとDHを織り交ぜる運用も現実的です。
✅ 現実的なプラン(イメージ)
※実際の起用はスプリングトレーニングでの守備評価、他選手との兼ね合い、リーグ適応状況で変動します。
日本人野手のMLB挑戦史は、イチローのような安打製造機タイプ、松井秀喜のような中距離~長距離の主軸タイプ、青木宣親のような出塁型など、さまざまな成功モデルが積み重なってきました。その中で村上は、「日本で圧倒的な本塁打生産を証明したスラッガー」として渡米する点が際立ちます。
大谷翔平が“二刀流”という唯一無二の領域でMLB史を書き換えた一方、村上に期待されるのは「純粋な打撃主軸としての成功」です。もし中軸で長打を量産できれば、これは日本人MLB野手史における大きな到達点になります。
ホワイトソックスは、ドミニカ共和国やキューバなどラテン圏の発掘・育成で知られる一方、日本人選手の獲得は長らく限定的でした。だからこそ、村上の加入は「方針転換」あるいは「市場拡大」の象徴になり得ます。
| 選手名 | ポジション | 在籍年 | 背番号 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 高津臣吾 | 投手 | 2004–2005 | 10 | 短期在籍ながら印象の強いリリーフ |
| 井口資仁 | 内野手(二塁) | 2005–2007 | 15 | 2005年WS制覇の主力 |
| 福留孝介 | 外野手 | 2012 | 1 | 2012年に契約・在籍の記録あり |
| 村上宗隆 | 内野手/DH | 2026– | 5 | 球団公式で紹介。中軸期待 |
高津、井口の成功と高橋の試練、そして村上の挑戦。ホワイトソックスに所属した日本人選手の歴史は、数は少なくても強い物語性を持っています。村上がシカゴの中軸で結果を残すことができれば、「ホワイトソックス×日本人野手」の印象は大きく書き換わるでしょう。

※本記事は、村上宗隆のホワイトソックス加入発表(2025年12月21日・米国時間)を受けて内容を更新しています。