メジャーリーグ(MLB)観戦をしていて、「あれ?延長戦ってこういうルールだっけ?」と思ったことはありませんか?特に近年では、試合時間の短縮や選手の負担軽減のためにルールがたびたび変更されています。この記事では、2025年時点でのMLB延長戦ルールについて、過去の変更点や他リーグとの違いも含めて、詳しく解説します。
ワールドシリーズでの延長戦ルールについても記事後半で紹介します。

MLBでは、9回裏終了時点で同点の場合に延長戦に突入します。通常の9回では勝敗がつかない場合に、10回以降も追加のイニングをプレーして決着をつける方式です。
かつては、15回やそれ以上に及ぶマラソンゲームも珍しくなく、選手やファンにとっては体力・集中力の勝負ともいえる場面でした。現在のルールでは、こうした長時間試合の抑制が図られています。

現在のMLBでは、延長戦において以下のような特徴的なルールが採用されています。
延長10回以降は、各イニングの攻撃が無死ランナー2塁から始まる特別ルールが採用されています。これは「ゴーストランナー(ghost runner)」制度とも呼ばれていますが、正確には実際の選手が2塁に配置されます。
このルールにより、打者の意図やベンチワークがよりシビアに問われるようになっています。
通常の攻撃と同様に、前の回の次の打者から始まります。例えば9回が3番打者で終わっていれば、10回の先頭は4番打者となります。ここにランナー2塁の状況が加わるため、クリンアップの得点力が問われる場面にもつながります。
このタイブレーク方式はもともと2020年のパンデミック時に試験的に導入されました。当時は選手の感染防止と長時間試合の回避が目的でしたが、試合時間の短縮や選手の負担軽減に効果があるとされ、その後も恒久的に継続されることになりました。
また、視聴者の離脱を防ぐ目的や、放送枠への配慮も背景にあります。長すぎる試合は視聴者の関心が薄れる原因ともされ、興行面でもこのルールの効果が期待されています。
| リーグ | 延長戦ルール |
|---|---|
| MLB | 無死2塁からスタート(10回以降) |
| 日本プロ野球(NPB) | 2023年以降、最長12回まで。タイブレークなし(※状況により変更あり) |
| 高校野球 | 準決勝・決勝を除き、13回からタイブレーク。 |
| WBC | 10回からタイブレーク。 |
NPBとの大きな違いは、**MLBでは「無制限の延長+タイブレーク方式」**が基本である点です。NPBでは試合の長時間化を防ぐ目的で「延長12回打ち切り」があるため、勝敗がつかない試合も発生します。
このように、賛否が分かれるルールではありますが、試合展開に緊張感をもたらしている点では多くのファンが注目しています。
現在進行中のドジャース対ブルージェイズのワールドシリーズで延長戦に突入していますが、ポストシーズン(=ワールドシリーズを含む)では「無死二塁の自動ランナー」は採用されません。延長に入っても、各回は走者なし・無死から通常どおり始まり、サヨナラ(ホームチームがリードした時点)または決着がつくまで続行されます。つまり、レギュラーシーズンの“ゴーストランナー”はポストシーズンでは適用外です。
補足として、ポストシーズンではチャレンジ権が1試合につき2回に増えます(成功時は温存)。また、ピッチタイマー等の基本ルールは原則レギュラーシーズン同様に運用されますが、延長戦の進行そのものに特別なタイブレークはありません。このため、ワールドシリーズでもまれに15回以上の超ロングゲームとなる可能性があります。
MLBの延長戦ルールは、近年の変化を反映した現代的なルールです。野球の本質を保ちつつ、選手の健康やファンの利便性を考慮した運用がされています。今後もルール変更の可能性はありますので、最新情報に注意しながら楽しみましょう!
特にプレーオフやワールドシリーズでは、延長戦が名勝負を生み出す場面にもなります。ルールを理解して観戦すれば、より深く試合を楽しめること間違いなしです。