野球を見ていると、ときおり「警告試合」という言葉が聞こえてくることがあります。特にメジャーリーグ(MLB)では、報復の死球や乱闘寸前の緊張した試合展開で登場する用語です。
この記事では、「警告試合とは何か?」を初心者にもわかりやすく解説し、2025年6月の大谷翔平選手が死球を受けた試合を例に、実際にどう適用されるのかをご紹介します。
**警告試合(Warning Game)**とは、**故意と疑われる危険なプレー(特に死球)**が発生した場合、審判が両チームのベンチに対して公式に「警告」を出すことを指します。
これにより、以降の試合中に危険な投球を行った選手や監督は即退場処分となる、という重大な意味を持ちます。
この制度は、選手間の報復行為や感情的な衝突を未然に防ぐために導入されています。特にMLBでは過去の因縁や対立が繰り返されることがあり、こうしたリスクを抑制するための“ブレーキ”として重要な役割を担っています。
また、MLBのルールブックでは、審判の裁量で必要に応じて警告を出す権限があると定められており、審判の“試合管理能力”が問われる場面でもあります。
2025年6月17日に行われたドジャース対パドレス戦で、警告試合が宣告されました。
この試合では、大谷選手の打席で2球続けて内角を攻める投球が続き、ついに死球が発生。過去にも同カードで複数回の死球や口論があったため、「報復」と受け止められる可能性が高まりました。
その結果、審判団は両軍に対して警告試合を宣言し、今後のプレーで危険な行為があれば即退場とする厳格な対応をとることにしました。
野球では死球が意図的か偶然かの判断が非常に難しい場面があります。しかし、報復の連鎖や乱闘を防ぐためには、審判の裁量で早めに介入することが大切です。
警告試合は、「これ以上やったら即退場ですよ」という最後通告でもあり、チーム全体に対して冷静さを取り戻す機会を与える措置でもあります。
また、観客の安全や試合の公正性を保つためにも重要な制度です。
パドレス・シルト監督は次のようにコメントしています:
「野球ではいろいろなことが起こる。投手は内角を突こうとしているし、いい球を投げようとしている中で起きたこと。警告を出すこと自体は理解できる。」
一方、ドジャースのロバーツ監督は猛抗議し退場となりましたが、これは審判の判断に対する異議ではなく、チームを守る姿勢の表れとも言えるでしょう。
このような対応は、指導者として選手を守るメッセージを送るためにも重要とされ、ファンの間ではむしろ称賛の声も上がっています。
警告試合は、野球における安全確保のための制度です。ルール上の退場やペナルティが発生することで、プレーがエスカレートするのを未然に防ぎます。
審判の的確な判断とチームの冷静な対応が求められる場面であり、ときにはその判断が議論を呼ぶこともありますが、野球の競技性と安全性を守るためには欠かせない制度です。
ときには誤解も生じますが、観客・選手・関係者すべての安全を守るために存在する、大切な制度なのです。
実はMLB公式ルールブックの中に「警告試合」という明確な章はありません。**Rule 6.02(c)(9)**などで「故意に打者にボールを当てる行為は禁止」とされており、審判の裁量で警告が発せられるという形式です。
一度警告が出ると、投手は内角の厳しい攻めができなくなるというジレンマに陥ります。誤って当ててしまえば即退場。これがバッター有利になることも。
警告後に故意の死球があると、投手と同時に監督も退場となるのがMLBルール。これは「チームの責任」を問う意味でもあります。
MLB史上でも特に有名な「報復死球の応酬」として知られるのが、ボストン・レッドソックス vs ニューヨーク・ヤンキースの因縁カード。2000年代は特にヒートアップし、警告試合→乱闘→大量退場というパターンが繰り返されました。
実はNPBでも審判が同様に警告試合を宣告することが可能です。ただしMLBに比べて適用件数は少なく、選手も比較的紳士的にプレーする傾向にあるため、あまり報復合戦にはなりません。