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外国人・生活保護・条件

外国人・生活保護・条件

外国人が生活保護を受けるための条件とは?制度の概要と課題を解説

近年、日本で暮らす外国人の数は増加を続けています。2023年時点で在留外国人は約300万人を超え、多くの人が労働や留学、結婚などさまざまな目的で日本に滞在しています。そんな中、「外国人でも生活保護が受けられるのか?」という疑問や、「外国人に対する生活保護は不公平ではないか」といった声も上がるようになってきました。

本記事では、日本で外国人が生活保護を受けるための条件を中心に、制度の背景や法律上の位置づけ、よくある誤解、そして今後の課題について、丁寧にわかりやすく解説します。


生活保護制度とは?

まずは基本的なところから確認しましょう。

生活保護の目的

生活保護は、日本国憲法第25条に基づき、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定められた理念を実現するための制度です。生活が困窮し、自力で生活を維持できない場合、国が必要な援助を行い、自立を助けることを目的としています。

管轄と申請方法

生活保護は厚生労働省の所管で、実際の運用は市区町村の福祉事務所が担当します。申請は本人または代理人が行い、収入・資産・家族構成などをもとに審査されます。


外国人は生活保護を受けられるのか?

原則として「法律上の対象ではない」

日本の生活保護法(1950年制定)では、「すべての国民を対象とする」と明記されています。つまり、法律上はあくまで「日本国民」が対象です。そのため、外国人は本来の制度上の対象外とされています。

例外的な「準用措置」

しかし、実際には一部の外国人も生活保護を受けています。これは法的な根拠ではなく、「厚生省(現在の厚生労働省)通知」に基づく行政上の運用です。1960年代以降、永住者や定住者など日本に長期滞在し、税金を納め、地域社会で生活している外国人については、「生活保護法の準用対象」として、実質的に同様の支援が行われてきました。


外国人が生活保護を受けるための条件とは?

では、外国人が実際に生活保護を受けるためには、どのような条件があるのでしょうか。以下にポイントを整理してご紹介します。

① 在留資格(ビザ)の種類

生活保護を受けられる外国人には、原則として以下のような在留資格が必要です。

  • 永住者
  • 特別永住者(主に在日コリアン)
  • 定住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等

これらの資格を持つ人は、日本に長期滞在することを前提としており、税金や社会保障などを通じて地域社会と密接に関わっているため、生活保護の準用対象となっています。

逆に、以下のような短期滞在者や就労ビザの一部は、対象外です。

  • 短期滞在ビザ(90日以内)
  • 技能実習生
  • 留学生(原則として不可)
  • 観光目的での滞在

② 生活困窮の実態

生活保護は「最後のセーフティネット」です。したがって、以下のような条件がすべて当てはまる必要があります。

  • 自分の収入や資産で生活できない
  • 親族などからの援助も受けられない
  • 雇用の可能性が極めて低い、もしくは就労できない事情がある(高齢、病気など)

審査では、預金や車の所有、不動産の有無、同居家族の収入なども厳しくチェックされます。

③ 健康状態や家庭環境の確認

高齢者、障害者、シングルマザーなど、特別な配慮が必要な家庭状況がある場合、優先的に生活保護が認められることがあります。


外国人の生活保護受給者数と割合

厚生労働省の統計によると、2023年時点で生活保護を受けている世帯のうち、外国人世帯は約2%程度とされています。主な国籍は以下のとおりです。

  • 韓国・朝鮮籍(特別永住者が多い)
  • 中国
  • フィリピン
  • ベトナム
  • ネパール

これらの国籍の人々は、日本に長期定住しており、日本語が堪能で家族もいるケースが多いため、支援の対象となる場合があります。


よくある誤解と事実

誤解①「外国人が優遇されている」

事実:外国人が優遇されることはなく、むしろ審査は厳格です。日本人と同様に資産調査や生活状況の聞き取りが行われ、特別に優遇されることはありません。

誤解②「不法滞在者も生活保護が受けられる」

事実:不法滞在者(オーバーステイ)や仮放免中の人は生活保護の対象外です。そもそも在留資格がない人は、生活保護の準用対象にもなりません。

誤解③「外国人が生活保護費を食い尽くしている」

事実:生活保護費のうち、外国人世帯の割合はごく一部です。予算全体に占める影響は限定的で、「日本人の生活が圧迫されている」という主張は誇張されています。


法的な議論と裁判例

外国人と生活保護に関しては、重要な裁判例があります。

【2014年】最高裁判決

2014年7月、最高裁は「外国人には生活保護法に基づく権利はない」とする判断を下しました。これは、中国籍の女性が生活保護の不支給処分を不服として提訴した裁判において、「生活保護法の適用対象は日本国民に限られる」という法解釈を明確に示したものです。

しかし、これはあくまで「法的権利としての保護はない」という意味であり、「行政が裁量で準用することを否定した」わけではありません。そのため現在でも、地方自治体が必要に応じて外国人に生活保護を支給する運用は続いています。


国民の間で起きる議論

外国人に対する生活保護には、さまざまな意見があります。

肯定的な意見

  • 人道的な観点から、困っている人には国籍に関わらず支援すべき
  • 地域社会の一員として長年暮らしてきた人には当然の権利
  • 子どもや病気の人を放置することはできない

否定的な意見

  • 国民の税金で外国人を養うのは不公平
  • 就労ビザなどで来日している人が受給するのは制度の悪用ではないか
  • 生活保護を目的に来日するケースがあるのでは

これらの意見の多くは感情論に基づくものであり、正確な情報のもとで冷静に議論される必要があります。


今後の課題と制度の見直し

日本社会が高齢化し、財政が逼迫する中で、生活保護制度全体の見直しが課題となっています。外国人に対する支援のあり方も例外ではありません。

考慮すべきポイント

  • 日本語能力や就労支援など、外国人の自立支援を強化
  • 地域との連携を深め、孤立を防ぐ
  • 入国時点で社会保障制度の説明を明確に行う
  • 生活保護以外のセーフティネット(NPOや自助団体)の活用

まとめ

外国人が生活保護を受けるには、永住者や定住者など特定の在留資格を有し、日本での生活基盤があることが大前提です。また、生活に困窮している実態が厳格に審査され、日本人と同様の条件が求められます。

制度の運用には多くの議論がありますが、重要なのは「事実に基づいた理解」と「人道的な視点」です。日本で共に暮らす一員として、外国人に対する支援のあり方を考えることは、私たち自身の社会のあり方を問い直すことでもあります。

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