EMSでiPhoneを送る
iPhoneをEMSで送るときに知っておきたいこと
海外に住む家族や友人に、iPhoneを送りたい――。
そんなときにまず思い浮かぶのが、日本郵便の国際スピード郵便「EMS」ではないでしょうか。ただし、iPhoneにはリチウムイオン電池が入っているため、普通の荷物とは少しルールが違います。
この記事では、一般の読者向けに、**「EMSでiPhoneを送るときに気をつけるポイント」**を分かりやすく整理してご説明します。
1. EMSでiPhoneは送れる?基本的な考え方
結論から言うと、多くの場合「条件付きで送ることは可能」だが、国や状況によって制限がある、というのが実情です。
1-1. iPhoneは「リチウムイオン電池内蔵機器」
iPhoneは本体内部にリチウムイオン電池が内蔵された精密機器です。そのため、国際郵便では次のように扱われます。
- 「リチウムイオン電池そのもの」 → 航空輸送では厳しい制限・多くは不可
- 「機器に内蔵されたリチウムイオン電池」 → 条件付きで可
つまり、「バッテリー単体」や「予備バッテリー」をEMSで送るのは基本的にNGですが、スマートフォン本体に“内蔵されている”電池は、条件を満たせば送ることができる場合が多いというイメージです。
1-2. 新品か中古かで扱いが変わることも
国やその時点のルールによっては、
- 新品のスマホ・タブレットは商業貨物扱いになり、輸入規制や税金が厳しくなる
- 中古の個人使用品なら比較的通関がスムーズ
といった差が出ることもあります。
- 新品を大量に送る・販売目的の発送は、税関や輸入規制の確認が必須
1-3. 国によっては「そもそも送れない」場合もある
iPhoneのようにリチウムイオン電池を内蔵した電子機器は、国や運送ルートによって受け入れ可否が変わることがあります。
- 日本郵便の国別条件表を見ると、国によっては「リチウム電池を含む機器はすべて不可」としている地域もあります。
- 政情不安や制裁措置などの理由で、特定の国・地域あての航空郵便そのものが停止されることもあります。
- 一時的に「電子機器を含む荷物は受付停止」「船便のみ可」といった制限がかかるケースもあります。
「iPhoneなどの電子機器は、国や時期によってはEMSで送れない場合があります。必ず最新の『国別条件』を日本郵便の公式サイトで確認してください。」
特に、
- 紛争地域や制裁対象国
- 危険物に厳しい規制を設けている国
あてに送る場合は、郵便局窓口で『この国にiPhoneをEMSで送れるか』を必ず確認するよう促すと良いでしょう。
2. EMSでiPhoneを送る前に確認しておきたいこと
2-1. 宛先の国が「スマホの郵送」を許可しているか
まず最初に確認したいのが、宛先の国の郵便・税関ルールです。
- 国によっては、スマートフォンや通信機器を「無線機器」「暗号機器」として扱い、
- 事前の許可が必要
- 個人の持ち込みはOKだが郵送は不可 といったルールが設けられているケースもあります。
- また、スマホを含む高額電子機器は、関税や付加価値税の対象になることが多く、
- 受取人側に税金がかかる
- 配達前に税関から問い合わせが来る といった可能性があります。
2-2. iPhoneの状態:電源・SIMカード・ロックなど
iPhoneを発送する前に、次の点を確認しましょう。
- 電源を完全にオフにする
→ 輸送中の安全のため、充電中や電源オンの状態では絶対に送らないようにします。
- SIMカードを抜くかどうか
→ 自分のSIMが入ったままだと、紛失・悪用・高額請求のリスクがあります。基本的にはSIMカードは抜いて別管理する方が安心です。
- 初期化するかどうか
→ 家族や親しい友人に渡す場合でも、個人情報保護の観点から、 「iPhoneを探す」をオフ → iCloudからサインアウト → 工場出荷時に初期化 をして送るのが理想です。
- アクティベーションロック
→ 初期化後に「このiPhoneは○○さんのApple IDにリンクしています」と表示されると、 受け取った側が使えません。「iPhoneを探す」をオフにしてから初期化しておくことが重要です。
3. 実際の書き方:EMSラベルの記入例
ここからは、実際に郵便局で書くときのイメージを具体的に示します。
3-1. 品名(内容品)の書き方
よく迷うのが「品名」です。単に「iPhone」とだけ書く人も多いですが、税関にとっては、
- 何の種類の品物か(一般名称)
- 危険物になりうる要素がないか
が分かることが大切です。
そのため、次のような書き方がおすすめです。
英語例:Tablet phone (iPhone), with lithium-ion battery, 1 pc
日本語例:スマートフォン(iPhone)リチウムイオン電池内蔵 1台
ポイントは、
- 「iPhone」という商品名だけでなく、「smartphone」や「mobile phone」などの一般名称を入れる
- リチウムイオン電池内蔵(with lithium-ion battery)」の一文を添える
という2点です。
3-2. 価額の書き方
申告価格(Declared value)は、
- 新品に近い状態のもの → 中古相当の実勢価格を目安にする
- 古い・傷が多い → それを反映した妥当な金額にする
のが基本です。
高すぎても税金が増えますし、安すぎても税関から「本当にそんなに安いのか?」と疑われる場合があります。おおよその中古相場(フリマアプリや中古ショップの価格)を参考にしながら記入すると良いでしょう。
3-3. 用途(Gift / Documents / Other など)
EMSラベルには、
- Gift(贈り物)
- Commercial sample(見本品)
- Documents(書類)
- Other(その他)
といった区分があります。
iPhoneは一般的に「品物」ですので、
- 贈り物として送る場合 → Gift にチェック
- 壊れた端末の返送や、遺失物の返却など → Other にチェック
といった使い分けになります。
「Giftだから税金がかからない」というわけではなく、ギフトであっても一定額を超えると課税される国が多い点にも触れておくと、読者にとって親切です。
4. 梱包のポイント:安全に届かせるために
4-1. 外箱と緩衝材をしっかり
スマートフォンは精密機器ですので、梱包は丁寧に行う必要があります。
- できれば**元箱(iPhoneの箱)**に入れ、その箱ごとさらに段ボールに入れる
- 本体を気泡緩衝材(プチプチ)で二重以上に包む
- 段ボールの中で動かないように、新聞紙や緩衝材でしっかり固定する
破損した状態で届くと、保険請求や補償の問題にも発展する可能性があるため、「ちょっと過剰かな」くらいの梱包が安心です。
4-2. 本体の保護と情報保護
- 画面保護フィルムが貼ってある場合は、そのまま送って構いません。
- ケースに入れた状態でもOKですが、サイズが大きくなりすぎないよう注意します。
- 個人情報保護のため、初期化やApple IDの解除も忘れずに行いましょう。
5. よくある疑問と注意点
Q1. 「中古のiPhoneを海外の友人にEMSで送っても大丈夫?」
多くの国では、個人使用の中古スマホを1台送る程度であれば、条件付きで受け入れられることがほとんどです。ただし、
- 申告価格が高額な場合
- 同じ宛先に短期間で何台も送る場合
などには、商業輸入とみなされて税関で止まるリスクもあります。
Q2. 「lost and found(遺失物返却)と書いた方がいい?」
iPhoneが空港やホテルで見つかった遺失物で、それを持ち主に返送するというケースも少なくありません。
この場合でも、EMSラベルの品名欄に「lost and found property」といった説明を書き込む必要はありません。
- 品名欄にはあくまで「品物の内容」を書く
→ 例:Smartphone (iPhone), with lithium-ion battery
- 必要であれば、備考欄やインボイスに → 例:Returned personal property (lost and found item)
という程度に添えるだけで十分です。
Q3. 「バッテリーについて特別な書き方は必要?」
多くの場合、
“with lithium-ion battery (contained in equipment)”
といった一文を添えるだけで足ります。
「リチウム電池を含む機器を送る際の条件は定期的に変更されるため、最新の日本郵便の案内を必ずご確認ください。」
6. まとめ:EMSでiPhoneを送るときのチェックリスト
最後に、EMSでiPhoneを送るときのポイントをチェックリスト形式で整理します。
- □ 宛先の国でスマートフォンの郵送が禁止されていないか確認した
- □ 受取人が支払う可能性のある関税・税金について説明してある
- □ iPhoneの電源を完全にオフにした
- □ SIMカードを抜き、必要なら別途保管・返却方法を決めた
- □ 「iPhoneを探す」をオフにし、Apple IDからサインアウトした
- □ 必要に応じて初期化(工場出荷時リセット)を行った
- □ 本体をプチプチなどでしっかり保護し、箱の中で動かないように梱包した
- □ EMSラベルの品名欄に「Smartphone (iPhone), with lithium-ion battery」といった形で具体的に記入した
- □ 申告価格を、中古として妥当な範囲の金額に設定した
- □ 用途(Gift / Other など)を適切に選択した
おわりに
iPhoneのような電子機器をEMSで送る場合、
- リチウムイオン電池の扱い
- 宛先国ごとのルール
- 税関での申告内容
など、気をつけるべきポイントがいくつもあります。
しかし、基本的なルールさえ押さえておけば、家族や友人に「使わなくなったiPhone」を送る程度であれば、現実的には問題なく届くケースがほとんどです。