グロタンディーク素数とは、57 を指す通称です。57 は 素数ではなく 3×19 の合成数ですが、20世紀の大数学者アレクサンドル・グロタンディークが講演で誤って 57 を素数の例として挙げたという逸話から、半ばジョークとして広まりました。
ある講演で、聴衆から「具体例を挙げてほしい」と求められたグロタンディークが、うっかり 57 を素数の例として口にした——。この“事件”をきっかけに、57 は「グロタンディーク素数 (Grothendieck prime)」と呼ばれるようになりました。抽象度の高い理論構築で名高い彼のスタイルを象徴するエピソードとしてもしばしば語られます。
メモ:同様の“57 を素数とする言い間違い”は、ヘルマン・ヴァイルの逸話としても伝わっています。大数学者でも人間的なミスはある、という親しみを込めたジョークです。
合成数で、素因数分解は 57 = 3 × 19。素数ではありません。加えて、以下の特徴があります。
こうした“ちゃんと合成数”である事実が、ジョークとしての可笑しみを高めています。
57 のような見た目の印象に惑わされないために、初学者にも役立つミニチェックをまとめます。
Q1. グロタンディーク本人はこの呼び名を認めていたの?
A. 公式な命名ではなく、コミュニティのジョークとして広まった通称です。逸話は多くの回想や二次資料で語られています。
Q2. 57 以外にも“××素数”みたいなジョーク名はある?
A. 57 が最も有名です。数学史には、人間味ある勘違いにちなむ言い回しや綽名が他にも点在します(ヴァイルの 57 逸話など)。
Q3. 57 自体に深い数学的意義はある?
A. 57 そのものが特定の理論の中心にあるわけではありません。ただし、半素数・Blum 整数などのラベルが付く“それなりに面白い合成数”です。
アレクサンドル・グロタンディーク(1928–2014)は、代数幾何を根底から作り替えた 20 世紀の巨人。スキーム・トポス・エタールコホモロジー・モチーフなど、現代数学の言語を整備し、アーベル賞(2002年)に相当する評価を受けながらも、後年は学界から距離を置いたことで知られます。57 の逸話は、彼の“超抽象志向”を象徴する小話として語り継がれています。