無期懲役で出所した人はいる？

無期懲役でも出られるのか

「無期懲役」と聞くと、多くの人が一生刑務所から出られない刑罰だと考えがちです。しかし、日本の刑法制度における無期懲役は、一定の条件を満たせば出所（仮釈放）する可能性がある刑です。

この記事では、

• 無期懲役とはどのような刑なのか
• 無期懲役でも出所できる仕組み
• 実際に無期懲役から出所した人の例
• 仮釈放が厳しくなっている背景

といった点を、できるだけわかりやすく解説します。

無期懲役とはどんな刑？

日本の刑法では、刑罰は大きく

• 死刑
• 懲役刑（有期懲役・無期懲役）
• 禁錮刑 などに分かれています。

このうち無期懲役は、「刑期に終わりが定められていない懲役刑」です。名前の通り「無期」ですが、法律上は仮釈放制度が存在します。

つまり、

• 原則：刑期の定めはない
• 例外：仮釈放が認められれば社会復帰の可能性がある

という位置づけの刑罰です。

無期懲役でも出所できるの？

結論：可能性はあるが、極めて厳しい

日本では、無期懲役の受刑者も仮釈放によって出所することができます。ただし、そのハードルは非常に高く、誰でも出られるわけではありません。

刑法28条では、仮釈放について次のように定められています。

• 無期懲役の場合、10年以上服役した後に仮釈放の審査対象になる

しかしこれは「10年で出られる」という意味ではありません。実際には、

• 20年
• 30年
• 40年以上

服役した後にようやく仮釈放が認められるケースが多くなっています。

仮釈放が認められる条件

無期懲役の仮釈放が認められるためには、次のような点が総合的に判断されます。

• 犯罪の内容が極めて重大であるか
• 被害者の人数・結果（死亡者数など）
• 被害者遺族の感情
• 受刑中の反省の態度
• 規則違反の有無
• 再犯のおそれ
• 社会復帰後の生活環境（受け入れ先があるか）

特に近年は、被害者感情や社会的影響が非常に重視される傾向があります。

無期懲役で出所した人の実例

日本では、実際に無期懲役から仮釈放され、社会に戻った人は存在します。

代表的な傾向

• 服役期間は30年以上が多い
• 高齢になってからの出所が大半
• 出所後も厳しい保護観察下に置かれる

中には、

• 40年以上服役した後に仮釈放
• 社会復帰後、二度と事件を起こさず静かに暮らした

という例もあります。

ただし、具体的な個人名はプライバシーや更生上の配慮から、あまり公表されません。

仮釈放後も「自由」ではない

無期懲役から仮釈放された場合でも、完全に刑が終わったわけではありません。

• 生涯にわたって仮釈放の状態が続く
• 保護観察官の指導・監督を受ける
• 問題行動があれば再収監される可能性がある

つまり、

無期懲役の仮釈放 ＝ 条件付きの社会復帰

という位置づけです。

なぜ「無期懲役は実質終身刑」と言われるのか

近年、日本では

• 仮釈放の基準が厳格化
• 無期懲役の平均服役年数が長期化

しています。

そのため、

• 生涯仮釈放されないまま獄中で亡くなる
• 高齢・病気になってからようやく審査対象になる

というケースも少なくありません。

この現状から、無期懲役は

• 「実質的な終身刑」

と表現されることもあります。

死刑との違いという視点

無期懲役は、死刑と比べて

• 命は奪わない
• 更生の可能性を理論上は残す

という点が大きな違いです。

一方で、

• 被害者感情
• 社会の安全

とのバランスをどう取るかは、今も議論が続いています。

まとめ

• 無期懲役でも法律上は出所（仮釈放）の可能性がある
• ただし実際には30年以上服役するケースが多い
• 仮釈放後も一生監督下に置かれる
• 現在の日本では極めて厳しい運用がされている

「無期懲役＝必ず一生出られない」というわけではありませんが、

出られる可能性はあっても、非常に限られている

これが、日本の無期懲役制度の実情です。