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ユニバーサルデザイン・学校

ユニバーサルデザイン・学校

学校にあるユニバーサルデザインって?

みなさんが毎日通っている学校には、実はたくさんの“ユニバーサルデザイン(UD)”がかくれています。これは「だれでも使いやすく、わかりやすい」ように工夫されたデザインのこと。小さな子どもも、お年寄りも、障がいのある人も、そしてもちろん元気なみんなにもやさしい工夫がされているのです。

今回は、「学校の中で見つけられるユニバーサルデザイン」をテーマに、教室やトイレ、教材など、身の回りのさまざまな工夫を紹介します。


🏫 教室の中にある工夫

🎾 いすの足にテニスボール?

教室で、いすの足に丸いテニスボールのようなものがついているのを見たことがあるかもしれません。これは、いすを動かすときの「ガタガタ音」を小さくするための工夫です。音に敏感な人や集中したい人にとって有効で、教室全体が静かになったり、下の階の教室にいすを動かした時の音が伝わりにくくなり学習に集中しやすくなります。

🧲 黒板の工夫いろいろ

黒板にもユニバーサルデザインが取り入れられています。たとえば、マス目が入った黒板や、「ここを見てください」とマグネットなどで示されている箇所などです。文字の色や大きさの工夫、掲示物をシンプルに整理するなどの取り組みにより、板書が苦手な人や集中が難しい人でも、学びやすくなっています。

📖 拡大教科書の利用

文字が小さくて読みづらい人のために、文字や図を大きくした「拡大教科書」が活用されています。色分けやスペースを広く取るなど、視覚的に情報が整理され、学習の理解を助ける構成になっています。


🚽 トイレや水飲み場の工夫

🚾 いろんな人が使いやすいトイレ

近年、学校に「みんなのトイレ(多機能トイレ)」が導入されるケースが増えています。手すりの設置、広いスペース、オストメイト対応など、さまざまな身体的ニーズに対応した設計がなされています。

💧 水飲み場の高さにも配慮

学校の水飲み場に、高さの異なる2段式の蛇口がついているのを見たことがあるでしょうか?これは車いす利用者や小学生など、さまざまな身長・身体状況の人が利用しやすくするための工夫です。


🛠 身の回りのものにもUDがいっぱい!

⌚ 時間がわかりやすい時計

学校内に設置されている時計には、大きくて見やすい文字盤を採用したものが多くあります。これにより遠くからでも時間が確認しやすくなり、授業のリズムを共有しやすくなります。また、視覚に障害のある人向けには、音声で時刻を伝える時計も存在します。

🌈 色の使い方にも工夫が!

教室内の掲示物や教材、プリントなどでは、色分けが効果的に使われています。ただし、色覚異常のある人に配慮し、色だけでなく形や模様も併用するなど、誰にでも情報が伝わる工夫がなされています。

🪑 高さ調整ができる机と椅子

最近の学校では、成長や体格の違いに合わせて机や椅子の高さを調節できるタイプが導入されることが増えています。姿勢を正しく保つことで疲れにくくなり、集中力の向上にもつながります。


🦯 安全・安心を守るユニバーサルデザイン

🟨 点字ブロックの役割

学校の敷地内や周辺の歩道などに設置されている黄色い突起のあるブロックは「点字ブロック」と呼ばれます。これは視覚障害のある人が足の裏や白杖で触れて、進行方向や危険な場所を確認できるようにするための大切なサインです。

🧯 避難誘導サインと非常ベル

災害時に安全に避難するためには、視覚・聴覚の両方に対応した情報が必要です。学校には、非常口を示す光るサインや、音と光の両方で知らせる非常ベルが設置されており、誰にとっても分かりやすい避難環境が整備されています。

🎧 吸音素材による静音環境の工夫

教室や図書室などに吸音パネルや防音素材が使われることで、音の反響が抑えられ、集中しやすい静かな学習環境がつくられています。聴覚に敏感な生徒にとっても学びやすい空間づくりが可能になります。


📚 学びそのものを支えるユニバーサルデザイン

🎲 共遊玩具の工夫

共遊玩具は、視覚や聴覚に障害のある子どもたちも含め、すべての児童が一緒に遊べるよう工夫されたおもちゃです。位置が分かるような凹凸や、音・触感で楽しめる仕組みが取り入れられています。

📦 UDを学ぶ教材の取り組み

福島県郡山市では、「思いやりのとびら」という教材を活用して、身の回りの不便さやその解決方法について考える授業が行われています。このような教材により、ユニバーサルデザインに対する理解や関心を深めることができます。

📲 ICT教材のアクセシビリティ機能

タブレットやパソコンを使った授業では、音声読み上げ、画面拡大、音声入力といったアクセシビリティ機能を活用できます。読むのが苦手な人や、視覚・聴覚に困難がある人も自分に合った方法で学習できるようになっています。


教室・学習環境のさらなる工夫

廊下や階段の手すり

多くの学校で設置されていますが、単に手すりがあるだけでなく、階段の踊り場まで途切れない手すりや、握りやすい太さ・形状の手すりはユニバーサルデザインの視点から重要です。小さな子どもから大人まで、また高齢者や体の不自由な人でも安全に移動できます。

階段の滑り止めと段差の色分け

階段の段差の端に滑り止めを設置したり、段差の始まりと終わりに異なる色のラインを入れたりすることで、視覚的に段差が認識しやすくなり、転倒のリスクを減らせます。特に視覚に不安のある生徒や、急いでいる時に役立ちます。

ドアの取っ手の形状

ドアの取っ手が、握力が弱い人や、手がふさがっている人でも開けやすいレバーハンドル式になっていると便利です。丸いノブより少ない力で操作できるため、多くの人にとって使いやすいデザインです。

教室表示や案内板の工夫

教室の入り口に、大きくて読みやすい文字で教室名を表示したり、点字表記を併記したりすることは、視覚障害のある生徒や、初めて学校を訪れる人にとって非常に役立ちます。また、ピクトグラム(絵文字)を併用することで、多言語対応にもつながります。


情報伝達とコミュニケーションの工夫

放送設備の改善

緊急時や日常の連絡で使われる校内放送は、内容が明確に聞き取れることが重要です。音質が良く、反響が少ないスピーカーの設置や、聞き取りやすいスピードと声量での放送を心がけることは、聴覚に課題がある生徒だけでなく、すべての生徒にとって有益です。

デジタルサイネージの活用

校内にデジタルサイネージ(電子看板)を設置し、文字情報だけでなく、写真や動画、イラストを交えて情報を表示することで、視覚的に訴えかける情報伝達が可能です。緊急時の避難経路表示や、休校情報、イベントのお知らせなど、さまざまな情報を多くの人にわかりやすく伝えることができます。


屋外空間のユニバーサルデザイン

スロープの設置

ユニバーサルデザイン・学校

校舎の出入り口や段差がある場所に、車いす利用者やベビーカー利用者、足腰の弱い人が移動しやすいように緩やかなスロープを設置することは、アクセス性を高める上で非常に重要です。手すりも併設されているとなお良いでしょう。

校庭・体育館へのアクセス

校庭や体育館への経路が、段差が少なく、幅が広いなど、車いすでも移動しやすいバリアフリーな設計になっていることは、体育の授業や運動会、部活動など、学校生活のあらゆる場面で誰もが参加できる環境を保障します。


これらの例は、学校における「だれもが使いやすく、わかりやすい」環境づくりに貢献するものです。学校のユニバーサルデザインは、単に設備を導入するだけでなく、それらを活用し、生徒や教職員、地域の人々が互いを思いやる意識を高めていくことで、より豊かな学びの場が生まれます。

海外の学校で見られるユニバーサルデザイン

海外の学校でもユニバーサルデザイン(Universal Design)は幅広く取り入れられています。日本と共通する点もありますが、国や地域の事情に合わせた特徴的な事例も多くあります。以下に、代表的な例を紹介します。


1. アメリカの学校での事例

  • スロープ・エレベーターの常設
    法律(ADA法=Americans with Disabilities Act)の影響で、ほぼすべての学校に車椅子や歩行器を使用する生徒が移動できるスロープやエレベーターが設置されています。古い校舎も改修対象です。
  • 拡大文字・スクリーンリーダー対応パソコン
    弱視の生徒向けに、画面の拡大ソフトや音声読み上げ機能を搭載したPCが常設されています。
  • 色覚多様性に配慮した掲示物
    色分けだけに頼らず、パターンやアイコンを併用して教室表示や掲示を行っています。

2. 北欧(フィンランド・スウェーデンなど)の事例

  • 可動式家具と広い通路
    車椅子でも自由に移動できるよう、机や椅子はキャスター付きで、教室レイアウトを柔軟に変更可能。
  • 多様な高さの机・椅子
    成長段階や身体特性に合わせて、机や椅子の高さを変えられる設計が一般的です。
  • 静音ゾーン
    感覚過敏や集中が苦手な児童のために、防音材を使った「静かな学習スペース」が設けられています。

3. オーストラリアの事例

  • ピクトグラムの多用
    英語が母語でない生徒や知的障害のある生徒向けに、トイレ・食堂・教室などの案内を多言語+絵文字で表示。
  • 屋外への直接アクセス
    教室から直接外に出られるドアを設置し、避難や屋外活動が容易になる設計。

4. イギリスの事例

  • ヒアリングループ(補聴システム)
    聴覚障害のある生徒が補聴器で直接音声を受信できる磁気誘導ループが教室に組み込まれています。
  • 多目的トイレ
    車椅子対応に加え、成人介助者と一緒に利用できるスペースや昇降式ベッドを備える場合もあります。

5. 共通して見られる傾向

  • 色や形の工夫による視覚的わかりやすさ
  • ICT(タブレット・電子黒板)による学習アクセシビリティ
  • 多様な文化・言語に対応した多言語サイン

🌱 ユニバーサルデザインは「思いやり」のかたち

ユニバーサルデザインは、特別な人のためだけのものではありません。荷物を持って手がふさがっている時、体調がすぐれない時など、誰にでも不便を感じる場面があります。そんな時に役立つ工夫こそが、ユニバーサルデザインです。

そして何より大切なのは、「もっと使いやすくなるにはどうすればいいか」「困っている人がいたらどう助けられるか」といった思いやりの気持ちです。学校生活の中で気づいたことを話し合い、改善するアイデアを共有することで、よりよい学習環境をつくることができます。


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