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太陽系外縁天体の例

太陽系外縁天体の例

海王星の向こうに広がる世界

太陽系の端は、海王星の軌道(太陽から約30天文単位=AU)で終わるわけではありません。海王星より外側には、氷と岩でできた無数の小天体が広がっており、それらはまとめて**「太陽系外縁天体(trans‑Neptunian objects, TNO)」**と呼ばれます。冥王星のような“準惑星”もその一部です。

外縁天体は、太陽系がどのように生まれ、惑星がどう移動して今の配置になったのかを知るうえで欠かせない「化石のような記録」を残しています。ここでは、外縁天体の基本的な分類と、代表的な「例(具体名)」をたっぷり紹介します。


1. 太陽系外縁天体(TNO)とは?

海王星より外側を回る天体の総称です。小惑星や彗星の“親戚”のような存在で、直径が数十kmのものから、冥王星級(直径2000km前後)の巨大天体まで幅があります。

外縁天体の特徴

  • 🧊 氷が豊富:水氷やメタン、窒素、一酸化炭素の氷などが多い。
  • 🌑 暗くて遠い:太陽光が弱いため非常に暗く、地上望遠鏡でも発見が難しい。
  • 🛰️ 衛星を持つものが多い:連星(バイナリー)や小さな月を伴う例が多い。
  • 🎢 軌道が多様:円に近い安定軌道から、極端に細長い楕円軌道までさまざま。

2. 外縁天体が分布する主な領域と分類

外縁天体は、太陽系外側のいくつかの“ゾーン”に分けて考えられます。

2‑1. カイパーベルト天体(Kuiper Belt Objects, KBO)

海王星軌道の外側、約30〜50AUの広いリング状の領域。

  • 古典的カイパーベルト天体(キュビワノ):比較的安定した円に近い軌道。
  • 共鳴カイパーベルト天体:海王星と“公転周期の整数比”で共鳴している。

2‑2. 散乱円盤天体(Scattered Disc Objects, SDO)

海王星の重力で“散乱”され、軌道の離心率が高い天体が多い領域。遠日点が100AUを超えるものも。

2‑3. 離脱(デタッチド)天体・極端外縁天体(Detached / Extreme TNO)

近日点が海王星より十分外側にあり、海王星の影響をほぼ受けない遠方天体

  • **セドナ族(セドノイド)**など、近日点が非常に遠い“孤立系”が含まれます。

2‑4. オールト雲(Oort Cloud)

理論上はさらに外側(数千〜10万AU級)に巨大な雲状領域があると考えられ、長周期彗星の供給源とされます。外縁天体の“最果ての候補地”です。


3. 太陽系外縁天体の代表例(具体名)

ここからが本題です。分類ごとに「どんな天体があるのか」を具体例で見ていきます。


3‑1. 共鳴カイパーベルト天体の例

✅ 冥王星(Pluto)

  • 🪐 最も有名な外縁天体
  • 海王星と2:3共鳴(プルート族=プルーティノ)
  • 直径約2376km、窒素氷の平原や氷火山など、地形が非常に多彩。
  • 2006年の国際天文学連合(IAU)の定義で準惑星に分類。

✅ オルクス(Orcus)

  • 🧊 冥王星と同じく2:3共鳴のプルーティノの一つ。
  • 大きな衛星“ヴァンス(Vanth)”を持つ。
  • “反冥王星”と呼ばれることもあるほど似た軌道特性。

✅ イクシオン(Ixion)

  • ✨ こちらも2:3共鳴。
  • 直径は700〜800km級と推定され、準惑星候補の一つ。

3‑2. 古典的カイパーベルト天体(キュビワノ)の例

✅ 15760 アルビオン((15760) Albion)

  • 🔭 1992年に発見され、冥王星以来初のKBO発見例として歴史的。
  • カイパーベルトの存在を“実証”した天体。

✅ クアオアー(Quaoar)

  • 🧊 直径1100km級。
  • 近年の観測で環(リング)を持つ可能性が示唆された。
  • IAU命名上は準惑星扱いのことが多い大型KBO

✅ ヴァルナ(Varuna)

  • 🥚 ラグビーボール状に近い楕円体で高速自転。
  • 直径700km級の準惑星候補。

3‑3. 散乱円盤天体(SDO)の例

✅ エリス(Eris)

  • 🧊 冥王星よりわずかに小さいが、質量は冥王星より大きい
  • 直径約2326km、強い反射率を示すメタン氷に覆われる。
  • 2005年の発見が冥王星「惑星の再定義」議論の引き金に。
  • 準惑星として公式に認められている

✅ ゴングゴン(Gonggong)

  • 🌙 衛星“シャンシャン(Xiangliu)”を持つ。
  • 非常に遠い楕円軌道を持ち、準惑星候補として広く扱われる大型SDO。

✅ サラキア(Salacia)

  • 🛰️ 衛星アクチア(Actaea)を伴う。
  • 直径約850kmで、これも準惑星候補の一つ。

3‑4. 離脱天体・極端外縁天体の例

✅ セドナ(Sedna)

  • 🥶 近日点が約76AU、遠日点は900AU級という極端に細長い軌道
  • “セドナ族(セドノイド)”の代表
  • 海王星の影響が届きにくく、“別の大きな天体の重力”が関係した可能性も議論されている。

✅ 2012 VP113(通称:バイデン)

  • 🛰️ セドナに似た遠方軌道をもつ離脱天体。
  • セドナ以外にも同系統が存在することを示した重要例。

✅ レレアクーホヌア(Leleākūhonua / 2015 TG387)

  • 🌌 近日点が非常に遠い“極端外縁天体”。
  • 惑星9(仮説)の存在議論で注目される対象の一つ。

3‑5. 準惑星(外縁天体に多い)の例

準惑星は「丸い形になるほど大きいが、軌道の周囲を掃き清めていない天体」です。外縁領域には準惑星が集中しています。

✅ ハウメア(Haumea)

  • 🏉 ラグビーボールのように細長い形で高速自転(約4時間で1回転)。
  • 明るい水氷表面が特徴。
  • 複数の衛星を持ち、衝突で割れた“ハウメア族”の母天体とされる。

✅ マケマケ(Makemake)

  • ❄️ メタン氷などに覆われた準惑星。
  • 表面は冥王星に似るが、大気はほぼ無いと考えられる。

✅ (補足)準惑星候補たち

  • 🌙 オルクス、クアオアー、ゴングゴン、セドナ、サラキアなどは、観測の進展で正式準惑星として確定する可能性がある“有力候補”です。

4. 外縁天体はなぜ重要なのか

外縁天体の研究には、次のような意味があります。

  • 🧬 太陽系誕生の痕跡:惑星形成初期の物質が“凍ったまま”残っている。
  • 🧲 惑星移動の証拠:海王星が過去に外へ移動した“証拠”が軌道に刻まれている。
  • 🪐 未知の惑星の手がかり:セドナ族の軌道の偏りは、遠方に大きな天体がある可能性(惑星9仮説)を示唆すると議論されている。

5. まとめ

太陽系外縁天体は、海王星の外側に広がる“もう一つの太陽系”とも言える巨大な領域に存在します。冥王星だけでなく、エリス、ハウメア、マケマケ、セドナ、クアオアー、オルクス、ゴングゴンなど、個性の強い天体が多数見つかっています。

観測技術の進歩によって、外縁領域では今も新発見が続いており、準惑星候補や“さらに遠い未知の天体”が見つかる可能性も十分あります。外縁天体の世界は、太陽系の理解を深める最前線の一つです。


よくある質問(Q&A)

Q1. 太陽系外縁天体と彗星は同じものですか?
A. 直接同じではありませんが、彗星の多くはカイパーベルトや散乱円盤、オールト雲を起源とするため、外縁天体は彗星の“ふるさと”とも言えます。

Q2. 冥王星が惑星ではなく準惑星になった理由は?
A. IAUの定義で「軌道近くの天体を掃き清めていない(同じ領域に似た天体が多数ある)」ため、準惑星に分類されました。

Q3. 外縁天体は肉眼で見えますか?
A. ほとんどは非常に暗く、肉眼では見えません。大型のものでも大口径望遠鏡が必要です。

Q4. “惑星9”は本当にあるのですか?
A. まだ未発見です。セドナ族や極端外縁天体の軌道の偏りを説明する“仮説”として有力視されており、今後の観測で検証されます。

 

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