SDGs14(海の豊かさを守ろう)は、海洋汚染を減らし、魚や生態系を守り、海の資源を持続可能に使うことを目指す目標です。
ただ、SDGs14は「海を守りましょう」という理想論で終わってしまうことがあります。実際には、漁業・物流・観光・製造業・生活排水など、海は社会のあらゆる活動とつながっているため、対策の合意形成が難しく、コストもかかり、成果が見えにくいという“進みにくさ”があります。
この記事では、SDGs14に関する代表的な**問題点(課題、批判、つまずきポイント)**を、できるだけ現実に即して整理し、最後に「ではどう改善できるのか」までまとめます。
SDGs14の問題点は、大きく次の3種類に分かれます。
「海の問題」だけでなく、「なぜ対策が進まないのか」という構造の問題まで含めて見ていきます。

海洋ごみは海で発生しているように見えますが、実際には陸から流れ込む割合が大きいとされます。つまり、海岸清掃だけでは根本解決になりにくいのが問題点です。
ごみの種類が多様で、発生源も家庭・企業・観光・漁業など幅広いため、対策が分散して効きにくいという難しさがあります。
マイクロプラスチックは粒が小さく、回収が難しく、どこでどれだけ発生しているかも把握が簡単ではありません。
「見えない」「測りにくい」「回収できない」の三重苦で、対策は発生抑制が中心になります。しかし発生抑制は生活・産業に広く関わり、合意形成が難しい問題点があります。

乱獲や違法漁業(IUU:違法・無報告・無規制漁業)はSDGs14の核心課題ですが、次の理由で止めにくい面があります。
海は国境が曖昧になりやすく、各国の利害も絡むため、ルールはあっても守らせることが難しいのが問題点です。
海を守るために禁漁区や漁獲制限を強めると、短期的には漁業者の収入が減る可能性があります。観光業でも、開発規制が入ると雇用や利益が減ることがあります。
環境保護は大切でも、生活が守られないと反発が起きる。これが合意形成を難しくする大きな問題点です。
海の生態系は、気候・海流・水温・酸性化・赤潮・栄養塩・沿岸開発など、多くの要因が絡み合って変化します。
そのため、対策を打っても
など、成果が見えるまでに時間がかかる問題点があります。成果が見えないと、政治・予算・企業投資の継続が揺らぎやすくなります。

海はつながっています。ある国が頑張っても、別の国から汚染や乱獲が続けば、成果が薄まります。
つまりSDGs14は、国内努力だけで完結しにくいのが問題点です。
海洋保全は、海岸清掃のような活動だけでなく、調査・監視・設備更新・下水処理改善・回収インフラなどが必要です。
しかし現実には
という“お金と人”の問題が立ちはだかります。
SDGs14はイメージが良いため、企業のPRに使われやすい一方で、
といったSDGsウォッシュが起きやすい問題点があります。
もちろん、企業の取り組みがすべて悪いわけではありません。ただ、評価指標が曖昧だと、実質より印象が勝つことが起きます。
水産物の持続可能性は、漁法・漁場・資源量・管理状況などで大きく変わります。
しかし買う側から見ると、
という問題点があり、結果として「分からないからいつも通り買う」になりやすいです。
リサイクルは重要ですが、万能ではありません。
そのため「リサイクルさえすればOK」という理解は、SDGs14における問題点になり得ます。
問題点を挙げるだけでは前に進みません。ここでは改善の方向性を整理します。
「海で拾う」より「海に行かせない」が基本です。
違法漁業を減らすには、監視だけでなく、 **売れない仕組み(流通で排除)**が重要になります。
規制だけ導入すると反発が起きます。
環境保護と生活を両立させるには、移行の痛みを減らす設計が不可欠です。
「何をやれば達成したと言えるのか」が曖昧だと、PRが先行します。
“言ったもの勝ち”にならない仕組みが必要です。
個人の行動は小さく見えますが、選択が積み重なると市場が変わります。
完璧主義より、続く行動が勝ちです。
SDGs14の問題点は、海洋ごみや乱獲のような環境課題だけではありません。
だからこそ、 発生源対策・透明な流通・移行支援・指標の見える化が重要になります。
海を守るために必要なのは、気合ではなく仕組みです。