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SDGs10 私たちにできること

SDGs10

SDGs10 私たちにできること

人や国の不平等をなくそう

SDGs(持続可能な開発目標)の目標10は、**「人や国の不平等をなくそう」**です。

「不平等」と聞くと、国と国の大きな話のように感じますが、身近な場所でも起こります。たとえば、言葉の違い、障害の有無、家庭の事情、性別、年齢、出身、見た目、考え方などの違いによって、同じように参加しにくくなる場面が生まれます。

この目標は、だれかを特別扱いすることが目的ではありません。**「同じスタートに近づける工夫」や、「参加できる形を増やす工夫」**を広げ、だれも取り残さない社会をつくる考え方です。

SDGs10で私たちができることについて見ていきましょう。


SDGs10の「不平等」って、どんなこと?

不平等は「差があること」そのものではなく、その差のせいで不利になったり、排除されたりすることを指します。

ここで大切なのは、差が生まれる理由が「努力不足」ではない場合が多いことです。たとえば、交通の便、家族の都合、体の状態、言葉の壁、周りの見えないルールなど、本人の力だけでは変えにくい条件が重なると、参加しづらさが大きくなります。

「平等」と「公平」は少し違う

  • 🟰 平等:みんなに同じもの・同じルールを配る
  • ⚖️ 公平:それぞれの状況に合わせて、参加しやすい形に整える

同じルールでも、スタート地点が違うと結果が大きく変わることがあります。だからこそ「公平にする工夫(配慮や選択肢)」が必要になります。

不平等が起きやすい例

  • 💰 お金の差:学用品・交通費・習い事・体験の機会が偏る
  • 🏥 健康の差:病気、けが、心の不調、医療への行きやすさ
  • 障害や体の条件:段差、文字の小ささ、音だけの案内などが壁になる
  • 🗣️ 言葉の差:日本語が得意でない人が説明を理解しにくい
  • 🚻 性別・ジェンダー:役割が決めつけられる、からかわれる
  • 🌍 出身・国籍・文化:偏見や決めつけで仲間に入りにくい
  • 📶 情報の差:ネット環境、端末、使い方の経験の差
  • 🧠 学び方の違い:読むのが得意、聞くのが得意、書くのが得意などの違いに合わない進め方
  • 🕰️ 時間の差:家の手伝い、きょうだいの世話、通学距離などで時間が確保しづらい

身近で起こりやすい「小さな不平等」

次のような場面は、意識しないと見落とされがちです。

  • 🧩 グループ分けがいつも同じ人に偏ってしまう
  • 🗣️ 発表や話し合いで、声が大きい人の意見だけが通りやすい
  • 🧑‍🦽 段差や狭い通路で、移動が大変な人がいる
  • 🧾 連絡や説明が難しく、内容が伝わらない人が出る
  • 🧍‍♀️🧍‍♂️ 役割が「男だから・女だから」で決めつけられる
  • 🤐 失敗や間違いをからかわれ、質問しにくくなる
  • 🎒 持ち物や道具の用意が難しく、参加しづらくなる
  • 🧏 音や声だけの説明で、聞き取りにくい人が置いていかれる

こうしたことは「意地悪をしたいから起こる」とは限りません。多くは、気づかないうちに起きるのが特徴です。

「見えにくい不平等」もある

見える壁(段差やお金)だけでなく、見えにくい壁もあります。

  • 🧊 空気の壁:質問すると迷惑そうにされる、発言すると笑われる
  • 🧷 ルールの壁:暗黙のルールが分からず困る
  • 🪞 イメージの壁:「こうあるべき」と決めつけられ、自由に選べない

私たちにできること(今日からできる具体例)

ここからは、身近な場所で実行しやすい行動をまとめます。大事なのは、完璧を目指すよりも、気づいて少しずつ変えることです。

1)言葉と態度でできること

  • 🧠 決めつけの言葉を減らす(「どうせ」「普通は」「〇〇だから無理」など)
  • 🤝 からかい・いじりが苦しさになる場面を理解する(本人が笑っていても我慢している場合がある)
  • 👂 発言が少ない人に、急かさず待つ空気をつくる
  • 🧩 「得意・不得意」ではなく、やり方の選択肢を増やす
  • 🧼 嫌な言葉を見聞きしたとき、同調しない(笑って流さない/話題を変える)
  • 🧯 うわさ話が広がりそうなとき、事実かどうかを確認する姿勢を持つ

2)話し合い・グループ活動でできること

  • 🗳️ 役割を固定せず、交代制にする(司会・記録・発表・時間管理など)
  • 📝 意見を出す方法を複数にする(口頭だけでなく、紙・付せん・チャット)
  • ⏱️ 早く終わる人だけで進めず、全員が理解したか確認する
  • 🧩 まとめ係だけに負担が集中しないよう、小さな役割を分ける
  • 🧭 意見が割れたときは、勝ち負けにせず理由を大切にする(「なぜそう思うか」)

3)「バリア」を減らす工夫(見える壁・見えにくい壁)

  • ♿ 段差や通路、座席配置など、移動しやすい形を考える
  • 🔡 資料の文字を大きくする、色の組み合わせに配慮する(見え方の違い)
  • 🔊 音だけの説明にしない(文章でも示す/図や絵を使う)
  • 🗣️ 難しい言葉は、短く言い換える(やさしい日本語)
  • 🧩 進め方を1つに決めず、選べる形にする(読む・聞く・実演を見る)

4)「お金の差」が参加の差にならない工夫

  • 🎒 使う道具を増やす前に、代わりの方法を探す
  • 🔁 お下がり・リユース・共有などで、負担を減らす仕組みをつくる
  • 🧾 集金や参加費が必要な活動は、説明を丁寧にし、選択肢も用意する
  • 🧰 道具は「持っていない=やる気がない」と決めつけず、相談できる雰囲気をつくる

5)ネット・SNSでできること

  • 🔎 うわさや差別的な投稿を、そのまま信じて拡散しない
  • 🧯 だれかを傷つける投稿に、乗らない・広げない
  • 🧭 情報は「いつ・だれが・何を根拠に」言っているか確認する
  • 🧑‍⚖️ いじめにつながるグループチャットの空気を、止める工夫を考える
  • 🔐 個人情報(顔写真・住所・学校が分かる情報)をむやみに出さず、安全を守る
  • 🧊 “ノリ”で書いた言葉が残り続けることを意識し、一度立ち止まる

6)買い物・選び方で支えられること

  • ☕🍫 フェアトレード商品を選ぶ(作る人が不当に安く働かされない)
  • 👕 作る過程が分かる商品を選ぶ(労働や環境への配慮)
  • ♻️ 必要以上に捨てない(資源や働く人の負担を減らす)
  • 🧾 “安さだけ”で決めず、「だれが、どんな条件で作ったか」にも目を向ける

7)地域でできること

  • 🧹 地域の清掃やボランティアに参加する(安全・安心を支える)
  • 🧑‍🦯 困っている人がいたら声をかける(ただし無理に助けない)
  • 🧭 多様な背景の人が集まる場(図書館・地域行事)で、敬意をもって関わる
  • 🏫 地域の「バリア」を探して、改善案を考える(段差、案内表示、暗い道など)

8)家庭でできること(話し合いの種にも)

  • 🍽️ 食べ物・服・電気など、無駄を減らす(資源の偏りを小さくする)
  • 📰 ニュースを見たときに、**「だれが困りやすいか」**を一緒に考える
  • 📚 図書館や資料で、他の国や文化を知り、知らないことを増やさない

具体的な場面別:どうすると「不平等を減らせる」?

場面A:説明が伝わらない

  • 例:早口で説明すると、理解が追いつかない人が出る
  • 工夫:要点を短く、板書やプリントでも示す/言い換えを入れる/図で補う

場面B:意見が偏る

  • 例:話すのが得意な人の意見だけが残る
  • 工夫:全員が書いてから話す/順番に1つずつ言う/匿名の意見箱を使う/少人数で一度まとめる

場面C:移動や参加が難しい

  • 例:段差、狭さ、長時間の立ちっぱなしが壁になる
  • 工夫:動線を広くする/座って参加できる形も用意する/休憩を入れる/場所の変更を検討する

場面D:見た目や属性で決めつけられる

  • 例:「〇〇っぽい」「男(女)ならこう」など
  • 工夫:その人の希望を聞く/役割を固定しない/言葉の癖に気づく/冗談の形でも言わない

場面E:失敗が怖くて動けない

  • 例:間違いをからかわれると、挑戦しづらくなる
  • 工夫:失敗を責めず、学びにつなげる/質問の時間をつくる/「分からない」と言える雰囲気を守る

すぐにできるミニ活動(授業・学級活動・総合学習にも)

活動1:身近な「壁」を見つける

  • 1週間、学校・家・地域で「参加しにくい場面」をメモする
  • 例:段差、説明の難しさ、みんなの前で話すだけの場面、道具の負担など
  • 最後に「壁の原因」と「減らす工夫」をセットで整理する

活動2:やさしい日本語に言い換える

  • 校内の掲示や案内文を、短い文に直す
  • 例:難しい漢字→ふりがな/長文→箇条書き/専門語→言い換え
  • さらに:図やピクトグラム(絵の案内)も一緒に考える

活動3:フェアなルールを作り直す

  • 話し合いのルール、係活動のルール、委員会の進め方を見直す
  • 「同じ人に負担が集中していないか」「発言の形は1種類だけか」を点検する
  • さらに:役割を増やして選べるようにする(記録・整理・発表など)

活動4:校内・地域の「ユニバーサルデザイン探し」

  • 「だれでも使いやすい工夫」を探して写真やメモで集める
  • 例:スロープ、手すり、点字ブロック、多言語表示、分かりやすい案内図
  • 見つけた後に「もっと良くする案」も考える

活動5:モヤッとカード(気づきの練習)

  • 日常で「ちょっとモヤッとした言葉・場面」をカードに書く
  • 「だれが困る?」「別の言い方は?」「次はどうする?」を話し合う

よくある誤解(ここが大事)

  • ❌ 「みんな同じにすれば不平等はなくなる」
    • ✅ 同じにするだけだと、参加しにくい人が残ることがある
  • ❌ 「助ける側/助けられる側に分ける」
    • ✅ 必要な工夫を共有し、一緒に参加できる形を増やす考え方
  • ❌ 「不平等は大きな問題で、自分には関係がない」
    • ✅ 小さな場面の積み重ねが、社会の空気を変える
  • ❌ 「配慮は甘えになる」
    • ✅ 配慮は特別なえこひいきではなく、参加の入口を広げる工夫

今日から使えるチェックリスト(短く確認)

  • ✅ だれかが困っていそうなとき、笑って流していないか
  • ✅ 「普通はこう」という言い方で、選べる道を狭めていないか
  • ✅ 説明の方法が1つだけになっていないか(口だけ、文字だけ)
  • ✅ 役割や発言が同じ人に偏っていないか
  • ✅ ネットで見た情報を、根拠確認なしに広げていないか

まとめ:SDGs10は「気づく力」と「参加の形を増やす力」

SDGs10は、だれかを特別に扱う目標ではなく、だれもが参加しやすい形を増やす目標です。

  • 🔎 不平等は、気づかないうちに生まれやすい
  • 🧩 参加できる方法を増やすと、みんなの力が生きやすい
  • 🌱 小さな工夫の積み重ねが、社会の大きな変化につながる

できることは、身近な言葉づかい、話し合いの進め方、情報の受け取り方、買い物の選び方、地域での関わり方など、日々の生活の中にたくさんあります。少しずつでも「気づく→整える→続ける」を積み重ねることが、目標10につながります。

 

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