再生可能エネルギーのメリット・デメリット

November 19, 2025 教育

再生可能エネルギーのメリット・デメリット

再生可能エネルギーとは何か

「再生可能エネルギー」とは、太陽の光や風、水の流れ、地球の熱、生物資源など、自然の力を利用して得られるエネルギーのことです。使っても短い時間で自然にまた補給されるため、石油や石炭のようにいつかなくなる心配が少ないと考えられています。

代表的な再生可能エネルギーには、次のようなものがあります。

☀️ 太陽光発電 … 太陽の光をパネルで電気に変える。
🌬 風力発電 … 風車を回して電気を作る。
💧 水力発電 … ダムや川の水の流れを利用して発電する。
🌋 地熱発電 … 地下深くの熱い水や蒸気を利用して発電する。
🌱 バイオマスエネルギー … 木材、家畜のふん、食品廃棄物など、生物から出る有機物を燃やしたり、ガスにして利用する。

これらのエネルギーには多くのメリットがある一方で、課題やデメリットも存在します。ここでは、良い面と問題点をバランスよく整理します。

メリット① 二酸化炭素（CO₂）が少ない

再生可能エネルギーの一番大きなメリットは、発電するときに出る二酸化炭素（CO₂）が少ない、またはほとんど出ないことです。

石炭や石油、天然ガスを燃やすと、大量のCO₂が発生する。
CO₂が増えると、地球温暖化が進むと考えられている。
太陽光や風力、水力などは、発電中にはほとんどCO₂を出さない。

地球温暖化を少しでも抑えるために、世界中で再生可能エネルギーを増やそうとする動きが強くなっています。

メリット② 資源が枯渇しにくい

石油や石炭などの「化石燃料」は、何億年もかけて作られた資源で、使い続けるといずれなくなると考えられています。

それに対して再生可能エネルギーは、次のような特徴があります。

太陽の光は毎日ふりそそぐ。
風も季節や場所によって強さは変わるものの、ずっと吹き続けている。
川の水や雨も、地球の水の循環によって補われる。

完全になくなる心配が比較的少ないため、「将来世代のエネルギー確保」という点でも重要視されています。

メリット③ エネルギー自給率を高められる

多くの国は、エネルギーの多くを海外から輸入しています。石油や天然ガスのほとんどを外国から買っている国もあります。

輸入に頼りすぎると、戦争やトラブル、価格の急上昇などの影響を受けやすい。
再生可能エネルギーは、その国の太陽光や風、川の水など「国内にある自然」を利用できる。

そのため、再生可能エネルギーを増やすことで、エネルギーを自分の国でまかなう割合（エネルギー自給率）を高めることができ、エネルギー安全保障の面で役に立ちます。

メリット④ 地域の活性化や新しい仕事につながる

再生可能エネルギーは、地方の山や海岸、農地など、都市部とは違う場所で活用されることが多いです。

山間部での風力発電や小水力発電。
日当たりの良い農地の一部に太陽光パネルを設置する試み。
林業と結びついた木質バイオマス発電。

これらは、次のような良い影響をもたらすことがあります。

発電所の建設や運営に、地元の人が関わることで新しい仕事が生まれる。
発電した電気の売電収入が、地域の収入源になることもある。
過疎化が進んでいる地域の活性化に役立つ可能性がある。

メリット⑤ 災害時のバックアップとして期待される

大きな発電所や送電線が被害を受けると、広い範囲で停電が起こることがあります。

太陽光パネルを屋根に設置しておけば、昼間の一部の電力を自力でまかなえる場合がある。
蓄電池と組み合わせれば、停電時に最低限の電気を確保できることもある。
小さな水力発電や風力発電が、山間部の集落で電気の支えになる例もある。

分散して設置できる再生可能エネルギーは、災害が多い国にとって、電気のバックアップとしても注目されています。

デメリット① 発電量が天候や季節に左右される

再生可能エネルギーの大きな課題の一つは、「安定して発電するのが難しい」という点です。

太陽光発電は、夜は発電できない。曇りや雨の日は発電量が減る。
風力発電は、風が弱い日や風向きが合わないと、あまり発電できない。
水力発電は、雨が少ない年には水の量が減り、発電量が下がることがある。

電気は、使う量と作る量のバランスが大切です。発電量が大きく変動する再生可能エネルギーが増えると、その調整が難しくなります。

デメリット② 設備の導入コストが高い場合がある

再生可能エネルギーの設備には、次のような特徴があります。

太陽光パネルや風力発電の風車などを設置するときに、まとまったお金が必要になる。
地熱発電は、地下深くまで掘るため、開発費が非常に高くなることがある。
バイオマス発電は、燃料となる木材や廃棄物を集める仕組み作りに費用がかかる。

技術の進歩や量産によって設備価格は少しずつ下がってきていますが、それでも導入時の負担が大きいと感じる人や自治体も多く、普及のスピードを遅らせる要因になっています。

デメリット③ 設置場所の問題（景観・騒音・自然環境）

再生可能エネルギーの設備をどこに、どのように設置するかは、地域でよく話し合う必要があります。

風力発電の風車は背が高く、景色が大きく変わる。回転する羽の音が気になる人もいる。
大規模な太陽光発電所（メガソーラー）を作るために、山を削り、森林を伐採する計画が問題になることがある。
水力発電のダム建設は、川の流れを変え、生き物の環境に影響を与えることがある。

再生可能エネルギーは環境にやさしいイメージが強いですが、設置の仕方によっては自然や周辺の生活環境に負担をかけてしまう場合もあるため、注意が必要です。

デメリット④ 電力システムとの調整が難しい

電力会社は、常に「どれくらい電気が使われるか」を予測し、それに合わせて発電量を調整しています。

太陽光や風力の発電量は、急に増えたり減ったりしやすい。
電気は大量にためておくことが苦手なエネルギーであるため、その変動をどう吸収するかが課題になる。

この問題を解決するために、次のような取り組みが行われています。

大型の蓄電池を使って、余った電気を一時的にためる。
需要の少ない時間に発電量を抑えたり、必要なときに増やしたりする「出力制御」。
複数の発電方法（火力、水力、原子力、再生可能エネルギーなど）を組み合わせて、全体として安定させる工夫。

しかし、これらの仕組みを整えるには、時間と費用がかかります。

デメリット⑤ バイオマス利用の難しさ

バイオマスエネルギーには、独特の課題もあります。

木材や農作物を燃料として使う場合、運ぶ手間やコストがかかる。
食用になる作物を燃料用に大量に栽培すると、食料価格の高騰を招く心配がある。
燃やすときにはCO₂が出るため、「どこまで環境にやさしいのか」を注意深く考える必要がある。

森林を適切に管理しながら利用することや、廃棄物をうまく活用することが、バイオマスを環境に配慮して使うためのポイントになります。

メリットとデメリットをどう考えるか

再生可能エネルギーには、多くのメリットと同時に、無視できないデメリットも存在します。

主なメリット

🌍 地球温暖化対策に貢献する。
🔁 枯渇しにくい資源を利用できる。
🏡 エネルギー自給率を高められる可能性がある。
🧑‍💼 地域の仕事や産業を生み出すことがある。
🧯 災害時のバックアップ電源としても期待される。

主なデメリット

☁️ 天候や季節によって発電量が変動しやすい。
💸 設備の導入や整備に多くのお金が必要な場合がある。
🏞 景観や自然環境、騒音などの問題が起こることがある。
🔌 電力システム全体との調整が難しい。
🌾 バイオマスでは、食料との競合やCO₂排出の問題がある。

どのエネルギー源にも、長所と短所があるため、「これだけ使えばよい」という単純な答えは出しにくい状況です。

これからのエネルギーとの付き合い方

今後の社会では、次のような考え方が重要になると考えられています。

エネルギー源を分散させること
再生可能エネルギーだけでなく、火力発電や水力発電など、複数の方法を組み合わせて、安定した電力供給をめざす。
技術の進歩を活用すること
蓄電池の性能向上や、発電量を正確に予測する技術、送電網の高度化などによって、再生可能エネルギーの弱点が少しずつ小さくなっていく可能性がある。
電気の使い方そのものを見直すこと
省エネ家電の利用、無駄な電気の消費を減らす工夫、電気料金が安い時間帯に電気を多く使う仕組みなど、使い方を工夫することで必要な電力量を減らすこともできる。

再生可能エネルギーは、地球環境を守りながら、これからの社会を支える重要な選択肢の一つです。メリットだけでなくデメリットも理解した上で、どのように増やし、どのように使っていくかを考えることが、大きな課題になっています。