「再結晶(さいけっしょう)」という言葉を聞いたことはありますか?
少しむずかしく聞こえるかもしれませんが、実は私たちのまわりにも再結晶の現象はかくれているのです。
再結晶とは、一度とかした物質が、冷えてもう一度結晶になることをいいます。
そして、再結晶はただ結晶をつくるだけではなく、不純物(ふじゅんぶつ)を取りのぞいて、よりきれいな結晶をつくるときにも使われます。
この記事では、再結晶がどんな現象なのか、そしてどこで見られるのかを、再結晶の身近な例とともにくわしく紹介します🧂💎
まずは、ある物質を水やアルコールなどの液体に入れてあたため、とかします。
不ようなもの(ゴミやとけないもの)を、ろ紙などでこして取りのぞきます。
そして、とかした液体を冷やしていくと……
→ 温度が下がることで、きれいな結晶がゆっくりあらわれてきます❄️
このような手順で、もとの物質の不純物をへらし、より純粋(じゅんすい)な結晶をとり出すことができるのです。
また、冷やすスピードによっても結晶の大きさが変わることがあります。ゆっくり冷やすと大きくてきれいな結晶ができやすく、急に冷やすと小さな結晶になります。これは、観察するととても興味深いポイントです。
それでは、身のまわりで見ることができる「再結晶」の例をいくつか見ていきましょう。
食塩(しょくえん)をお湯にとかして、コップに入れてしばらくおいておくと、小さなつぶつぶの結晶が見えてきます。
これは、再結晶です!
✅ お湯の中にとかした食塩が
✅ 時間がたって温度が下がることで
✅ ふたたび結晶になって出てくる
という現象が起きているのです。
コップの底に白いかたまりができる様子は、観察するととても楽しく、自由研究にもおすすめです。
みかんの皮の中に白いツブツブができているのを見たことはありませんか?
あれは、みかんの果汁にふくまれる**ショ糖(砂糖のなかま)**が、時間とともに水分がぬけて、再結晶したものと考えられています。
完全な再結晶の実験ではありませんが、自然に近いかたちで見られる例としておもしろいですね。
ほかにも、ジャムや甘納豆の表面に白い結晶ができていることがありますが、これもショ糖の再結晶です。
買ってきたはちみつが、時間がたつと白っぽくなって固まっていたことはありませんか?
これは、はちみつの中のブドウ糖が再結晶して、結晶化しているのです🍯
✅ 温かい場所では液体のまま
✅ 冷えると結晶が出てくる
というわかりやすい再結晶の例です。
※食べても問題ありませんが、なめらかにもどしたい場合は少しあたためると元に戻ります。
実は、はちみつの種類や気温によって、結晶の出方が変わるので、それを比べてみるのもおもしろい観察になります。
学校の実験などでよく使われるのが「硫酸銅(りゅうさんどう)」の再結晶です。
硫酸銅は青色の結晶で、水にとかしてあたため、冷やしておくときれいな青い結晶があらわれます。
これも再結晶の代表的な例で、実験用の薬品をきれいにして純度を高めるときに使われます。
できた結晶は、宝石のような青さでとても美しく、観察するのが楽しくなります。
少し意外に思うかもしれませんが、雪の結晶も再結晶に関係しています。
雪がつもったあと、気温が上がったり下がったりすると、中の結晶の形がかわったり、きれいにならんだりすることがあります。
これは自然の中での再結晶の一例といえるでしょう⛄
山などで見られる「雪崩(なだれ)」の原因のひとつにも、雪の再結晶が関係していることがあるのです。
チョコレートの表面が白っぽくなってしまったことはありませんか?これは**「ファットブルーム」や「シュガーブルーム」と呼ばれる現象で、温度変化によりチョコレート中の脂肪分や砂糖が再結晶して表面に現れる**ことが原因です。
この現象は食品保存の面でも重要で、再結晶の仕組みを知っておくと納得できます。
寒い日の朝、窓ガラスに白い模様のような霜(しも)がついていることがあります。これは空気中の水分が冷えて氷の結晶としてあらわれたものです。正確には「昇華(しょうか)」に近いですが、一度ガラスに水滴としてついたあと、再結晶のように結晶化することもあります。
自然の中で起きるきれいな結晶化の例として、とても美しい現象です。
固形の洗剤やせっけんを水にとかしたあと、時間が経つと白く固まることがあります。これは、せっけんの成分の一部が再結晶して表面にあらわれたものです。とけやすい成分が残り、冷えて結晶化することで見られます。
金属を加工したあとに熱を加えると、内部の結晶構造が変わることがあります。これも「再結晶」と呼ばれ、金属をやわらかくして加工しやすくするために行われます。
たとえば:
この例は少し高度な内容ですが、科学技術や工業製品づくりに深く関係しています。
再結晶は、日常生活の中だけでなく、薬の原料をつくるときや化学工場での製品づくりにもよく使われています。
たとえば、
など、品質(ひんしつ)をたもつためにとても大切な技術です。
また、研究の現場では、物質の性質を調べるときにも再結晶が使われています。結晶の形や大きさ、色の変化などを観察することで、新しい発見が生まれることもあります。
再結晶は、科学の世界だけでなく、実は私たちのくらしの中にもたくさん見られる現象です。
💡 覚えておきたいポイント
ふだんの生活でも、「あれ?これって再結晶かも?」と気づけると、理科の知識がもっと身近に感じられますね✨
Q1. 再結晶とふつうの結晶のちがいは?
➡ 再結晶は「一度とけたあと、ふたたびできる結晶」のことです。はじめからできる結晶とは、でき方にちがいがあります。
Q2. どんな液体にとかせばいいの?
➡ 水やアルコールなど、物質によってちがいます。安全のため、実験のときは先生や大人の人の指示にしたがいましょう。
Q3. 家でできる簡単な再結晶は?
➡ 食塩水や砂糖水をとかして、冷やす実験がかんたんです。透明なコップやお皿を使って観察してみましょう。
Q4. 再結晶でできた結晶は何に使えるの?
➡ 観察や研究の材料、自由研究の作品などに使えます。ただし、薬品を使ったものはさわるときに注意が必要です。