生分解性プラスチックは、環境にやさしい材料として注目されています。ところが、**「自然に消える=海や街に捨ててもよい」**という誤解が広がると、逆に環境負荷を増やす可能性があります。
ここでは、ニュースや広告でよく聞く「生分解性プラスチック」について、どこが難しいのか、何が生分解性プラスチックの問題点なのかを整理します。結論から言えば、生分解性プラスチックは万能の解決策ではなく、条件・使い方・回収の仕組みがそろって初めて効果が出る素材です。
生分解性プラスチックは、微生物などの働きで、最終的に水や二酸化炭素(条件によってはメタンなど)に分解される性質をもつプラスチックのことです。
ただし重要なのは、
が素材や基準によって大きく異なる点です。

生分解性プラスチックの問題点を見ていきましょう。
生分解性プラスチックは、どこでも勝手に分解するわけではありません。多くは、
といった条件がそろって初めて分解が進みます。
つまり、土の中や堆肥化施設では分解しても、海や川、低温環境ではほとんど分解しない場合があります。これが「生分解性=ポイ捨てしても大丈夫」という誤解を生みやすい最大の落とし穴です。
「生分解性プラスチック」と表示されていても、
などが混在します。
この違いを理解せずに導入すると、海洋ごみ対策として期待したのに、海では分解しない素材だったというズレが起きます。
生分解性でも、分解の途中で細かく砕けて、いったん微細片になることがあります。
こうした状況では、結果としてマイクロプラスチックに似た挙動を示す可能性があり、環境中での影響が懸念されます。
生分解性プラスチックは、既存のプラスチック(PE、PP、PETなど)と見た目が似ています。
そのため分別が難しく、混入すると
などの問題が起きやすいとされています。
つまり、「環境に良い素材」を混ぜた結果、リサイクルの環境効果を下げてしまうという逆転が起き得ます。
生分解性プラスチックも、最終的に
となれば、「生分解性」の強みは十分に発揮できません。
特に埋立は酸素が少ないため、分解が進みにくかったり、条件次第では温室効果ガス(メタンなど)排出が問題になる可能性も指摘されます。
結局のところ、素材だけ変えても、回収・処理の仕組みが変わらないと成果が出にくいのです。
生分解性プラスチックは、原料や製造プロセス、品質保証のための試験などが必要で、既存の石油由来プラスチックより高価になりやすい傾向があります。
さらに、堆肥化施設や回収の仕組みを整える場合は、社会インフラ側の費用もかかります。
生分解性プラスチックの中には、トウモロコシやサトウキビなどのバイオマス原料を使うものがあります。
この場合、
といった論点が出てきます。
「石油を減らす」ことと、「環境負荷が本当に減る」ことは別で、ライフサイクル全体で見ないと判断を誤りやすい点が問題です。
生分解性プラスチックは、言葉の響きが良いため、
といったまま「エコ」を強調する宣伝に使われることがあります。
これにより、消費者が安心して使い捨てを増やしてしまう(リバウンド効果)と、本末転倒です。

生分解性プラスチックは、万能ではありませんが、用途を絞ると有効になり得ます。
たとえば、
などです。
ポイントは、「素材だけ」ではなく「回収・処理の設計」とセットで導入することです。
いいえ。 分解には条件が必要で、環境中では分解が進まないこともあります。ポイ捨てを正当化する素材ではありません。
同じではありません。バイオマス(植物由来)でも生分解しない素材がありますし、逆に石油由来でも生分解性をもつ素材もあります。
状況次第ですが、一般論としては、
という優先順位で考えると、失敗が減ります。
生分解性プラスチックの問題点は、ひとことで言うと**「分解するという性質が、現実の廃棄・回収の仕組みと噛み合わないと効果が出ない」**ことです。
こうした点を踏まえ、用途選定と回収設計をセットで導入することが、環境対策としての現実的な近道になります。