植物は大きく分けると「種子植物」と「コケ植物・シダ植物」に分けられます。種子植物はさらに「被子植物」と「裸子植物」の2つに分けられます。
**裸子植物(らししょくぶつ)**とは、種子が子房(しぼう)に包まれず、外にむき出しの状態でつくられる植物のことです。「裸子」という言葉は「裸の子(種子)」という意味で、この特徴を端的に表しています。
被子植物の例は桜、ひまわり、チューリップなどで、花の中の子房に種子が守られます。裸子植物ではそのような構造がなく、松ぼっくりやイチョウのように、外から種が見える形になります。
裸子植物には、被子植物と異なる多くの特徴があります。
裸子植物は大きく4つのグループに分けられます。
最も種類が多く、日本でも身近なグループです。葉が針のように細く、常緑で一年中緑色を保ちます。木材としての利用価値も高いです。
**イチョウ(Ginkgo biloba)**は、かつて世界中に分布していたイチョウ科植物の中で現存している唯一の種です。恐竜がいた時代からほとんど姿を変えず、「生きている化石」と呼ばれます。
葉は扇形で秋には鮮やかな黄色に紅葉します。雌株の銀杏(ぎんなん)は食用になりますが、外皮は強い匂いがします。街路樹としても有名で、東京都の神宮外苑などは紅葉の名所です。
南国に多く見られ、太い幹と硬く厚い葉を持ちます。日本では九州南部や沖縄で自生し、庭園や神社の境内に植えられます。生命力が強く、刈られても根が生きていれば再び芽を出します。
裸子植物の中では珍しく広い葉を持ち、熱帯地域に生育します。日本には自然に分布していませんが、植物学の教材として紹介されます。
繁殖の流れは次の通りです。
花粉は軽く大量に作られるため、遠くまで飛びやすいです。スギやヒノキの花粉症はこの性質によるものです。
裸子植物は人間の生活に様々な形で関わっています。
裸子植物は約3億年前に出現しました。恐竜時代には地球の森林を支える主役で、気候変動や氷河期を乗り越えてきました。現在では被子植物が主流ですが、極地、高山、乾燥地帯など厳しい環境で生き残る能力があります。
裸子植物は、種子が子房に包まれないという特徴を持つ植物で、古代から現代まで生き延びてきました。日本の街や山でもよく見られ、生活や文化に深く関わっています。被子植物との違いを知ることで、植物の進化の歴史や多様性の大切さがよりよく理解できるでしょう。
世界で最も背が高い木や、最も長寿な木は、実は裸子植物です。カリフォルニア州に生えるセンペルセコイアは樹高115メートルを超え、地球上で最も高い木として知られています。また、同じくカリフォルニア州のブリッスルコーンパインの中には、樹齢が5,000年を超える個体も存在し、地球上で最も長生きする生物の一つです。
数億年前の森林の多くは、裸子植物やシダ植物で構成されていました。これらの植物の遺骸が地中に埋もれ、長い年月をかけて炭化したものが石炭です。私たちが燃料として利用する石炭の一部は、古代の裸子植物の生きざまを物語っているのです。
イチョウは、恐竜が栄えた中生代から姿をほとんど変えていません。化石は世界中で発見されていますが、現存しているのはイチョウ科のただ一種のみです。このため、イチョウは**「生きている化石」**と呼ばれています。
一年を通して葉が青々としているマツは、古くから「不変」を象徴する植物とされてきました。この特徴から、不変を意味する**「待つ」**という言葉と結びつき、「マツ」という名前になったという説があります。
スギの学名**「Cryptomeria japonica」**は、「隠された日本の部分」という意味を持ちます。これは、スギが日本に特有の樹木であり、その生態が神秘的であると見なされていたことに由来します。
被子植物の大きな特徴の一つに「二重受精」がありますが、裸子植物にはこの仕組みがありません。裸子植物は花粉管から放出された精細胞のうち、1つだけが卵細胞と受精します。
多くの裸子植物は風を使って花粉を運びますが、ソテツは**昆虫(ゾウムシ)**を花粉の媒介に利用します。ソテツの雄株は熱を発生させてゾウムシを誘引し、花粉を運ばせるという独特な戦略を持っています。
マツやスギのような裸子植物は、葉の表面が厚いクチクラ層で覆われており、水分の蒸発を防ぎます。また、葉が小さく表面積が狭いため、乾燥や寒さに耐えることができます。
メタセコイアは、化石から発見された樹木で、20世紀半ばまで絶滅したと考えられていました。しかし、1940年代に中国で自生している個体が発見され、**「生きた化石」**として大きな話題になりました。
松ぼっくりは、マツの雌花が受精後に大きく成長し、種子を保護する役割を果たします。寒い場所では鱗片をしっかりと閉じ、暖かくなると開いて種子を飛ばすという、温度を利用した仕組みを持っています。
A. **「裸の子(種子)」**という意味です。被子植物の種子が子房という袋に包まれているのに対し、裸子植物の種子は松ぼっくりやイチョウのように、外にむき出しの状態でつくられることから、この名前が付きました。
A. 多くの裸子植物は常緑樹で、葉が針のように細かったり、厚いクチクラ層で覆われたりしているため、冬の寒さや乾燥に強いからです。これにより、一年を通して葉を落とさずに光合成を続けることができます。
A. はい、あります。記事内にもあるメタセコイアは、かつて化石でしか知られていませんでしたが、中国で発見され「生きている化石」として有名になりました。ソテツ類も古くから姿を変えていないため、同様に呼ばれることがあります。
A. スギやヒノキは、虫ではなく風を利用して花粉を運ぶからです。風によって効率よく遠くまで花粉を運ぶため、大量の花粉が作られ、空気中に放出されます。これが花粉症の原因となります。
A. 松ぼっくりは、厳密には雌花が成熟してできたもので、種子を保護する役割があります。被子植物でいう「果実」とは違い、種子を包んで守る子房がないため「実」とは呼びません。
A. 裸子植物は、被子植物が主流となるはるか以前から地球上で生き抜いてきました。樹齢数千年の個体が存在したり、乾燥や寒さといった厳しい環境に耐えられたりする高い耐久性が強みです。また、木材や紙など、人間の生活に欠かせない資源を提供しています。