今日のテーマは「遺伝子組み換え不分別」についてです。
スーパーやコンビニの商品を見ていると、パッケージの原材料表示のところに
「遺伝子組み換え不分別」
と書かれているのを目にしたことはありませんか?
そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
今日は「遺伝子組み換え不分別」の意味や、なぜそうした表示がされるのか、その背景や日本の制度、さらに安全性や私たちの暮らしへの影響まで、詳しく解説していきます。

まずは基礎知識からおさらいです。
遺伝子組み換え作物(GMO作物)とは:
他の生物の遺伝子や人工的に合成した遺伝子を取り入れ、作物に新しい性質を持たせたもの
のことです。
例えば:
などが挙げられます。
遺伝子組み換え技術によって、
といったメリットがあります。
では、本題に入ります。
「不分別」とは、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物が分けられていない状態のこと
を指します。
例えば、アメリカやブラジルの農場で大豆を収穫したとします。
この二つを別々のサイロ(倉庫)や運搬船に入れて保管・輸送すれば「分別管理」になります。
しかし、
などの理由で、一緒に混ぜて取り扱うことも多いのです。
この混ざった状態が「不分別」です。
「不分別」と表示されているからといって、
必ずGMOが入っているわけではない
という点がポイントです。
不分別とは、
「遺伝子組み換えが混ざっているかもしれない」という意味
であり、GMOであることが確定しているわけではありません。
不分別が存在する理由は大きく以下の3つです。
遺伝子組み換えと非組み換えを完全に分けるには、
など、膨大なコストがかかります。
例:
分別には数%~10%程度コストが上乗せされることもあります。
アメリカやブラジルではGMO作物の作付面積が非常に大きいため、
といった問題があります。
不分別の仕組みは、安価に作物を供給するための現実的な対応策でもあるのです。
日本には食品表示法があり、遺伝子組み換えに関する表示義務があります。
など、最終製品にDNAやたんぱく質が残る食品です。
以下のような製品は表示が免除されています。
理由:
ここでよく混同されるのが、
「遺伝子組み換えでない」
という表示です。
これは以下の条件を満たす必要があります。
つまり「遺伝子組み換えでない」と書かれている商品は、
混ざる可能性が限りなく低い
という意味を持ちます。
「遺伝子組み換え不分別」と表示される商品には以下のようなものがあります。
これらは原料段階で不分別として輸入されることが多いです。
畜産の現場では、
が多用されます。
DNAが残る場合は表示義務がありますが、精製度が高いと表示不要の場合もあります。
ここが一番気になるところではないでしょうか?
結論から言うと:
不分別であっても、健康被害の科学的根拠は現時点で見つかっていません
日本を含む多くの国で、
という仕組みになっています。
ただし、
という点は事実です。

不分別は日本だけの問題ではありません。
そのため、不分別が標準という感覚です。
EUは表示義務が非常に厳しいです。
ただし、EUでも飼料分野では不分別が多いのが現状です。
日本は大豆の約9割を輸入に頼っています。その多くがアメリカ産であり、不分別の比率が高いです。
不分別だから危険というわけではない
というのが現時点での科学的見解です。
ただ、
など、価値観の違いがあります。
自分の価値観に合わせて選ぶことが大切です。
「遺伝子組み換え不分別」という表示は、
というものです。
不分別は、コストや流通の都合によって生まれた仕組みでもあります。
今後、遺伝子組み換え技術や表示制度はますます進化していきます。正しい知識を持って、自分に合った選択をしていきたいですね。
遺伝子組み換え作物とそうでない作物を厳密に分ける「分別管理」は、農場、輸送、倉庫、加工の各段階で追加の費用が発生します。このコストは最終的に、分別管理された製品の価格に上乗せされるため、消費者が負担することになります。
非遺伝子組み換え作物だけを使いたい食品メーカーや、それを求める消費者のために、「分別管理」は非常に重要な役割を果たします。もし分別がなければ、非GMO作物の市場自体が成り立たなくなり、消費者の選択肢が失われてしまうからです。
価格が安いことを重視する消費者にとって、「遺伝子組み換え不分別」と表示された製品は、コストを抑えて購入できるというメリットがあります。これは、消費者が自身の価値観に合わせて賢く商品を選ぶための、重要な情報提供の一つとも言えます。
遺伝子組み換え食品に関する日本の表示制度は、EUほどではないものの、世界的に見るとかなり厳しい部類に入ります。特に、不分別であっても表示を義務付ける点は、消費者の知る権利と選択権を尊重する制度として評価されています。
近年注目されている「ゲノム編集」は、外来遺伝子を組み込まないケースが多く、遺伝子組み換えと区別されることがあります。もしゲノム編集作物が広く普及すれば、現在の「不分別」の定義や表示のあり方が見直される可能性があります。