こんにちは!今日は、「遺伝子組み換え」の具体例について詳しく解説します。
遺伝子組み換えと聞くと、どうしても「GMO食品」ばかりが注目されますが、実は私たちの暮らしや未来を支えるさまざまな分野で遺伝子組み換え技術が使われています。この記事では食品分野はもちろん、医療、産業、環境保全、基礎研究など、幅広い「遺伝子組み換えの例」を紹介します。
まずは簡単におさらいです。
遺伝子組み換えとは、ある生物の遺伝子を取り出し、別の生物のDNAに組み込むことで、その生物に新しい性質を持たせる技術のことを指します。
など、応用範囲は非常に広いのが特徴です。
遺伝子組み換えと聞いて、真っ先にイメージするのが食品ではないでしょうか。代表例を挙げてみます。
世界で最も広く栽培されている遺伝子組み換え作物です。改変内容は主に以下の通り。
日本でも加工食品に多用されています。例えば:
1990年代初頭、アメリカで販売された遺伝子組み換えトマトは「腐りにくくなる」遺伝子操作が施されました。
ただし消費者の受け入れが進まず、商業的には失敗しました。
商業化は一部地域で進行中です。
ハワイで壊滅的被害をもたらしたリングスポット病に耐性を持つ遺伝子組み換えパパイヤが導入されました。
医療の世界でも遺伝子組み換えは革命を起こしています。私たちの健康に密接に関わる例を見てみましょう。
安全性も高く、世界中の糖尿病患者を支えています。
細胞に遺伝子を導入して、大量に抗体を生産します。
遺伝子治療の進歩は目覚ましく、以前は治療できなかった病気への希望になっています。
特にCOVID-19パンデミックで、遺伝子工学の力が世界を救ったといわれています。
食品や医療だけでなく、工業製品やバイオ素材の分野にも遺伝子組み換えが浸透しています。
石油資源の代替エネルギーとして注目されています。
クモの糸は「鋼鉄の数倍の強度」と言われますが、クモ自体は大量飼育できません。そこで:
環境分野でも遺伝子組み換えの利用は進んでいます。
環境浄化の「切り札」として期待されています。
遺伝子組み換えは基礎研究でも欠かせない技術です。
薬の開発や病気の原因究明に必須です。
家畜や養殖分野でも応用されています。
近年話題の「ゲノム編集」とは少し違います。
遺伝子組み換え | ゲノム編集 |
---|---|
他の生物の遺伝子を導入する場合が多い | 自身の遺伝子を「切る・修正」だけの場合も多い |
外来遺伝子が残ることがある | 外来遺伝子が残らない場合も多い |
規制が厳しい国が多い | 一部緩和される方向にある |
日本では、外来遺伝子が残らない場合、ゲノム編集作物は「遺伝子組み換え」と表示しなくて良いケースもあります。
遺伝子組み換えは多くのメリットをもたらしていますが、一方で課題もあります。
適切な管理と技術進歩で、今後ますます可能性が広がるでしょう。
いかがでしたか?
遺伝子組み換え技術は「GMO食品」だけでなく、医療、産業、環境保護、基礎研究などあらゆる分野で活躍しています。遺伝子工学の進歩は、私たちの未来をより豊かにする大きな鍵と言えるでしょう。
一方で課題もあります。だからこそ正しく理解し、科学的根拠をもとに判断することが大切です。
世界的に主要穀物である小麦は、消費者の抵抗感や国際貿易への影響を考慮し、商業化は遅れています。ただし、干ばつ耐性や病害抵抗性を強化した試験栽培は複数国で行われています。
腐敗や変色を遅らせるため、細胞内の分解酵素の働きを抑えたイチゴが研究段階で存在します。輸送中のロス削減が目的です。
人間への移植拒絶反応を減らすため、ブタの細胞表面に存在する特定の糖鎖を作らないように遺伝子を改変した「異種移植」用ブタが開発されています。
マラリアやデング熱の媒介蚊に「子孫が成長できない遺伝子」を組み込み、野生個体数を減らす試みが一部地域で実施されています。
自然界で見つかったプラスチック分解酵素の遺伝子を大腸菌に組み込み、大量生産することで、廃プラスチックの分解速度を向上させる研究があります。
ゼブラフィッシュなどにクラゲやサンゴの蛍光タンパク遺伝子を組み込み、暗い場所でも光る観賞魚として市販されています。
アメリカでは、絶滅危機にあるアメリカンチェスナットの病害耐性を高めた品種が復活計画の一環として開発されています。
ワイン酵母に香り成分や発酵特性を改良する遺伝子を組み込み、品質や発酵効率を向上させる研究が進んでいます。
乳糖不耐症の人向けに、乳糖分解酵素を分泌する牛を作る研究があります。
蜂群崩壊症候群やダニ被害に強い性質を持たせた遺伝子組み換えミツバチの研究が進行中です。
光合成に関わる酵素を改良し、成長速度や収量を向上させた遺伝子組み換え植物が試験段階にあります。
タバコやシロイヌナズナにヒト用ワクチンや抗体を作らせる技術が開発されています。工場よりも低コストで大量生産が可能です。
地球温暖化で水温が上昇する海域向けに、高温でも成長や生存率が落ちにくい遺伝子組み換え養殖魚が研究されています。
特定の害虫に「メスだけが成虫になれない」遺伝子を導入し、繁殖サイクルを断つ方法が試みられています。
筋萎縮症の治療研究の一環として、筋肉量を増やす遺伝子を導入した犬が実験段階で作られています。