〜みんなが使いやすい社会を目指して〜
「バリアフリー」とは、体が不自由な人や高齢者、小さな子ども、妊婦さんなど、さまざまな人が安心して生活できるように、身の回りの「バリア(障害)」を取りのぞく工夫のことです。
たとえば、階段だけの建物では車いすの人が入れませんが、スロープがあるとその問題が解決します。こうした工夫が、私たちの暮らしの中にどんどん広がっているんです。
以下にバリアフリーの一覧としてバリアフリーの例をたくさん挙げますので、どんなものがあるのかを一緒に見ていきましょう。
建物の入り口や歩道にあるスロープは、階段が使えない人にとってとても重要です。車いすの人だけでなく、ベビーカーを押す人や、足をけがした人にとっても便利ですね。
歩道や駅のホームなどにある黄色くてデコボコしたブロックは、目の見えにくい人が道を安全に歩くためのものです。進む方向や注意が必要な場所を足の感覚で伝えてくれます。
手がふさがっているときや、力が弱くてドアを押すのが難しいときに便利なのが自動ドアです。人が近づくとセンサーで開く仕組みになっていて、病院や駅、スーパーなどでよく見かけます。
エレベーターのボタンのそばには、小さなポツポツした「点字」が付いています。これは、視覚に障がいがある人でも階数を読み取れるようにするための工夫です。
車いすでも入れる広いトイレには、手すりや緊急ボタンが付いています。障がいのある人だけでなく、高齢者や小さな子ども連れの人にも使いやすい設計になっています。バリアフリーのトイレはいろいろなところで見かけて、すぐにバリアフリーと分かる良い例です。
階段やお風呂など、すべりやすい場所には手すりが設けられていることが多いです。体のバランスをとったり、転ばないようにするための大切なサポートです。
家の中や公共施設の床に段差がないと、つまずいたり転んだりする危険が減ります。特に高齢者や足元が不安定な人にとっては、安心して歩けるようになります。
横にスライドさせて開ける引き戸は、力を入れずに開け閉めできるため、車いすの人や力の弱い人でも使いやすいです。スペースもとらず、家庭でも人気のスタイルです。
文字やマークが大きくてはっきりしていると、視力の弱い人や高齢者にもわかりやすくなります。駅の案内や公共施設の標識などにも、この工夫が活かされています。
乗り降りしやすいように、床の高さが低く設計されたバスがあります。ステップが少ないため、車いすの人やお年寄り、小さな子どもでも安心して乗車できます。
駅や電車、バスなどでは、次の停車駅や注意点を音声で知らせてくれます。視覚に障がいがある人や、周囲をよく見られない人にも役立つ仕組みです。
バリアフリーは機械だけではありません。駅や空港では、必要に応じて駅員さんやスタッフが手助けしてくれる体制も整っています。人のサポートも、立派なバリアフリーなんです。
目が見えにくい人でもスマートフォンを使えるように、文字を音声で読み上げる機能があります。また、画面を大きく表示したり、音声で操作したりすることもできます。
色の見分けが苦手な人のために、スマホやパソコンには「色覚サポート」機能がついています。色の違いがわかりやすくなり、地図やグラフの見やすさも向上します。
体の動きが制限される人でもゲームを楽しめるように、特別に設計されたコントローラーがあります。みんなで一緒に遊べるようになるのは、うれしい工夫ですね。
交差点に設置されている音声信号機は、信号の色が見えない人のために「ピヨピヨ」「カッコー」といった音で信号の変化を知らせてくれるものです。これにより、視覚に頼らず安全に横断歩道を渡ることができます。
視覚に障がいがある人の移動をサポートする盲導犬も、バリアフリーの大切な一例です。盲導犬は訓練を受けていて、障害物を避けたり、道を案内したりすることで、持ち主が安全に歩けるよう助けてくれます。建物や交通機関に盲導犬と一緒に入れるようにする取り組みも、心のバリアフリーを広げる大切な一歩です。また、盲導犬の存在を知ることで、まわりの人の理解や配慮も進み、社会全体がよりやさしくなっていきます。
駅や空港、観光地などでは、日本語だけでなく英語・中国語・韓国語など、さまざまな言語で書かれた案内板があります。これは外国から来た人たちにも分かりやすくするための「言葉のバリアフリー」です。
ショッピングモールやスーパーマーケットの一部では、車いすの人にも使いやすいように、カウンターの高さを低くしたレジが設置されています。使う人の目線に合わせた配慮がされています。
電車やバスの中にある「優先席」は、体の不自由な人や高齢者、妊婦さんなどが安心して座れるように用意されています。「席をゆずる」という行動も、バリアフリーの一つの形なんです。
最近の公園では、階段を使わなくても遊べる滑り台や、車いすに乗ったまま楽しめるブランコなど、さまざまな子どもが一緒に遊べる遊具が増えています。遊びの中にもバリアフリーの考えが生きているんですね。
手を挟まないように、ゆっくり静かに閉まるドアは、小さな子どもや高齢者が安心して使える工夫の一つです。力を入れずに開けられ、閉まる時も安全なのが特徴です。
床と壁の色をはっきり分けたり、文字と背景にコントラストをつけたりすることで、視覚が弱い人にも分かりやすくする工夫があります。これは駅の看板や公共施設の案内表示などに多く見られます。
盲導犬や介助犬、聴導犬といった補助犬は、障がいのある人の生活を助ける大切なパートナーです。補助犬が一緒に入れる施設や、補助犬同伴OKのマークを表示するなど、受け入れやすい社会づくりが進められています。
インターネットの世界にもバリアフリーがあります。たとえば、読み上げ機能に対応したホームページや、文字を大きく表示できるボタン、キーボード操作だけで使えるサイトなどがその例です。情報の「見えない壁」をなくす工夫です。
目の見えない人がシャンプーとリンスを間違えないように、シャンプーのボトルの横に「ギザギザ」がついていることがあります。これも触って区別できるようにするための小さなバリアフリーです。
玄関や部屋の出入り口など、ちょっとした段差があるだけでも、車いすや杖を使う人にとっては大きな障害になります。そうした場所に設置される「段差プレート」は、簡単に置けて、通行をスムーズにする便利なアイテムです。引っ越しやリフォームをしなくても、手軽にバリアフリー化できます。
車いすや歩行器、介助者と並んで歩く人のためには、廊下やドアの幅が十分にあることが重要です。最近の住宅や施設では、出入口を引き戸にしたり、通常より広めに設計することで、通りやすくする工夫が進んでいます。
特に浴室やキッチンなど、水にぬれやすい場所では、「滑りにくい床材」を使うことが事故防止につながります。ゴム製や凹凸のある素材を使うことで、足元が安定しやすくなり、転倒のリスクを減らすことができます。
お風呂はとくに転倒しやすい場所です。バリアフリーの浴室では、またぎやすい低い浴槽が使われたり、暖房機能で冬場の温度差によるヒートショックを防いだりします。さらに、介助リフトなどがあれば、入浴をサポートしやすくなります。
一般的な住宅ではスイッチやコンセントの位置が低すぎたり高すぎたりすることがありますが、車いすに乗っている人や高齢者でも使いやすいように、適切な高さに設置することが大切です。また、大きくて押しやすいスイッチもバリアフリーの工夫の一つです。
トイレや脱衣所、キッチンなどでは、車いすが方向転換できるような広さ(通常は直径1.5m程度)が必要です。この「回転スペース」が確保されているかどうかは、使いやすさを大きく左右します。
駅のホームでは、電車とのすき間に落ちてしまう事故を防ぐために、「ホームドア」や「ホーム柵」が設置されていることが増えています。視覚障がい者やベビーカーを押す人にとって、大きな安心材料です。
段差がなく、地面からスムーズに乗れる「ノンステップバス」や「低床車両」は、車いすやベビーカーを使う人にとって非常に便利です。また、乗降時間の短縮にもつながり、全体として交通がスムーズになります。
駅の窓口や施設の受付カウンターでは、車いすに座ったままでも利用できるように、カウンターの一部が低く設計されているところが増えています。高さの違いによって、使う人すべてにとって親切な空間になります。
外国からの観光客や在住者に向けて、日本語だけでなく英語・中国語・韓国語などの案内があることで、言葉の「バリア」が取りのぞかれます。これは情報のバリアフリーとも呼ばれ、観光地や交通機関では特に重要です。
病院や役所などでは、専門用語ばかりだと理解しにくくなってしまいます。誰でも意味がわかるように、やさしい言葉で案内をすることも、実は大切なバリアフリーの一環です。文章や音声案内の見直しで、情報が届きやすくなります。
聴覚障がいのある人にとって、話し言葉だけでは情報を受け取ることができません。テレビのニュースやイベントなどで手話通訳が表示されたり、受付窓口にタブレットで手話通訳がつながったりする取り組みが広がっています。
インターネットやアプリも、バリアフリー対応が進んでいます。文字の大きさを変えたり、色の組み合わせに配慮したり、音声で読み上げる機能を搭載したりすることで、多くの人が情報にアクセスしやすくなります。
日本だけでなく、世界中でバリアフリーは進められています。特に、オリンピックやパラリンピックの開催地では、バリアフリー設備が一気に広がることもあります。国や文化が違っても、だれもが暮らしやすい社会を目指す気持ちは同じです。
バリアフリーというと、「段差をなくす」といった目に見える物理的な障害の除去に注目されがちですが、実は「情報の伝わりやすさ」や「心の壁」など、見えないバリアもたくさんあります。
ひとりひとりがバリアに気づき、配慮することで、すべての人が過ごしやすい社会に近づいていきます。ぜひ、身のまわりのバリアフリーをもう一歩深く観察してみてください!