特別用途食品マーク・食品の例
はじめに:
食品売り場には「ヘルシー」「栄養補助」「体にやさしい」など、健康を意識した言葉がたくさん並んでいますよね。けれど、その中には**国が安全性や必要性をきちんと確認した“特別な用途向け食品”**があり、それを見分ける目印が 「特別用途食品マーク」 です。
このマークは、赤ちゃん・病気で食事制限が必要な人・飲み込みにくさがある人など、食べ方や栄養に配慮が必要な人向けの食品にだけ許可される公的な表示です。つまり、日常の買い物でも医療や介護の現場でも「安心して選ぶための重要なサイン」になります。
この記事でわかること
- ✅ 特別用途食品マークの意味と役割
- ✅ どんな人を対象にした制度なのか
- ✅ 用途ごとの具体的な食品例(店頭で見かける商品も含む)
- ✅ 似た表示(トクホ・機能性表示食品など)との違い
- ✅ パッケージでの見分け方
知っておくと、家族や周りの人の体調・年齢に合わせた食品選びがぐっと楽になります。では、順番に整理していきます。
1. 特別用途食品マークって何?

スーパーやドラッグストアで、パッケージに 「消費者庁許可 特別用途食品」 のマークが付いた食品を見たことがあるかもしれません。これは、
- 乳児(赤ちゃん)
- 妊産婦・授乳婦
- 病気で食事制限が必要な人
- 飲み込み(えん下)が困難な人
など、特別な食事上の配慮が必要な人向けに作られた食品であることを示す国の許可マークです。
大事なポイントは、
✅ 「この用途に役立つ」と表示するには、国の審査と許可が必要 ✅ 勝手に名乗れない“公的な制度”
ということです。
2. 特別用途食品の大きな分類

特別用途食品にはいくつかのタイプがあります。代表的なのは次の5系統です。
- 病者用食品(病気の人向け)
- 乳児用調製乳(赤ちゃん用ミルク)
- えん下困難者用食品(飲み込みにくい人向け)
- 妊産婦・授乳婦用粉乳(妊娠・授乳期向けミルク)
- 特定保健用食品(トクホ)
※この記事では「特別用途食品マーク」の狭い意味(トクホ以外)を中心に解説します。
3. 病者用食品とは?(特別用途食品の中心)
病気などで、普通の食事だと栄養バランスがとりにくい人や、特定の栄養素を制限しないといけない人のために作られた食品です。
病者用食品はさらに ①許可基準型 ②個別評価型 に分かれます。
3-1. 許可基準型(ルールが決まっているタイプ)
国が定めた成分・規格に合うかどうかを審査して許可されます。
主な区分と食品例
- 低たんぱく質食品(腎臓病などでたんぱく質制限が必要)
- 🍚 低たんぱくごはん(例:ゆめごはん、サトウの低たんぱくごはん など)
- 🍜 低たんぱく麺・そば(例:げんたそば など)
- アレルゲン除去食品(特定のアレルギー原因物質を除去)
- 🍼 ミルクアレルギー用の粉ミルク(例:ニューMA-1、MA-mi、明治ミルフィーHP など)
- 無乳糖食品(乳糖不耐症などで乳糖を消化できない人向け)
- 🍼 無乳糖タイプの育児用ミルク(例:ノンラクト、ボンラクトi など)
- 総合栄養食品(普通の食事が十分に取れない人向けの栄養補助)
- 🥤 栄養バランス飲料・流動食タイプ(例:メイバランスMini、ペプタメン、アイソカル系 など)
- 腎臓病用組合せ食品(腎臓病の食事療法を支える食事セット)
- 🍱 塩分やたんぱく質を調整した宅配・レトルト食(例:腎臓病用やさしいおかず系のセット など)
3-2. 個別評価型(“一品ずつ”効果を審査するタイプ)
基準が決まっていないジャンルでは、商品ごとに国が効果・安全性をチェックして許可します。
代表的な食品例
- 経口補水液(脱水時の水分・電解質補給)
- 🚰 OS-1(オーエスワン)
- 🍏 OS-1アップル風味
- 🧊 OS-1ゼリー
- 🥤 アクアライトORS
- 💧 G-OS(ジーオーエス)
- 特定疾患患者用食品
- 🌾 発芽大麦GBF(潰瘍性大腸炎の食事療法素材として使うタイプ など)
- 🥛 低リンミルクL.P.K(慢性腎不全でリン制限が必要な人向け など)
個別評価型は、見た目は普通の飲料や食品でも、
✅ 「病者用食品」表示+特別用途食品マーク
があることで区別できます。
4. 乳児用調製乳(赤ちゃん用ミルク)の例
母乳が足りない場合や与えられない場合に使用する、国の規格に合格した赤ちゃん用ミルクです。
代表的な食品例
- 🍼 調製粉乳(粉ミルク)
- 明治ほほえみ
- ビーンスターク すこやかM1
- アイクレオ バランスミルク
- 和光堂 レーベンスミルク「はいはい」
- 森永 はぐくみ
- 🥤 調製液状乳(液体ミルク)
- アイクレオ 赤ちゃんミルク
- 明治ほほえみ らくらくミルク
- ビーンスターク 液体ミルク すこやかM1
- 森永 はぐくみ液体ミルク
赤ちゃん用ミルクは「母乳が最良の栄養」という注意表示とセットで許可されます。
5. えん下困難者用食品の例(飲み込みが難しい人向け)
高齢者や病気の影響で、飲食物をうまく飲み込めない人のための食品です。
特徴
- 飲み込みやすい硬さ・形・粘度に調整されている
- 誤えん(むせこみ)を減らす設計
- 許可基準Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3段階がある(Ⅰが最も飲み込みやすい)
代表的な食品例
- 🍮 アイソトニックゼリー(許可基準Ⅰ)
- 🍊 プロッカZNゼリー(ピーチ/オレンジ/グレープ など)
- 🥄 とろみ調整用食品(飲み物に混ぜてとろみを付ける粉タイプなど)
パッケージに「えん下困難者用食品」や「とろみ調整用食品」の表示があるものは、ここに入ります。
6. 妊産婦・授乳婦用粉乳について
妊娠中や授乳中に必要な栄養素を補う目的のミルクです。
ただし、許可品は時期によって増減するため、店頭で見かけたらマークと表示を確認するのが確実です。
7. 特別用途食品マークの見分け方
店頭で見つけるときは、次の表示を探すと早いです。
✅ 「消費者庁許可 特別用途食品」 ✅ 「病者用食品」「乳児用調製乳」「えん下困難者用食品」などの用途名 ✅ 許可番号が書いてあることが多い
逆に、
⚠️ 似た表現(例:ヘルシー、健康サポート、栄養補助)だけでマークが無いもの
は、特別用途食品ではない可能性があります。
8. トクホや機能性表示食品との違い
混同されやすいので整理します。
- 特別用途食品:
- “対象者が限定される”食品(病気の人、赤ちゃん、飲み込み困難者など)
- 国の許可が必須
- トクホ(特定保健用食品):
- 生活習慣の改善など「健康維持」を助ける一般向け食品
- こちらも国の許可ありだが、目的が違う
- 機能性表示食品:
- 企業が科学的根拠を示して届出するタイプ
- 国の“許可”ではなく“届出”
つまり、特別用途食品は「特別に配慮が必要な人のための食品」という立ち位置です。
9. まとめ
特別用途食品マークは、
- 特別な食事配慮が必要な人向け食品であること
- 国の審査と許可を受けた安心の表示であること
を示す大事なマークです。
身近な例としては、
- 低たんぱくごはんや低たんぱく麺
- アレルギー用・無乳糖の粉ミルク
- 栄養バランス飲料(総合栄養食品)
- 経口補水液(OS-1など)
- 飲み込みやすいゼリーやとろみ調整食品
- 赤ちゃん用粉ミルク・液体ミルク
などがあり、用途別にしっかり整理された制度になっています。
普段の買い物でも、家族や周りの人の体調・年齢に合わせて選ぶときの大きなヒントになるので、ぜひマークをチェックしてみてください。