参議院の選挙区はなぜ45?
合区の歴史、問題点、今後の議論まで!
「参議院の選挙区はなぜ45なの?」、「参議院の選挙区は47都道府県じゃないの?」と思った人は多いのではないでしょうか。
実は参議院の選挙区は現在45区。
参議院の選挙区が45である理由には、一票の格差や合区という仕組みが深く関係しています。本記事ではその背景を詳しく解説します!
参議院の選挙制度の基本
参議院の議員は、次の2つの方法で選ばれます。
- 選挙区選挙:都道府県単位の選挙区で議員を選ぶ
- 比例代表選挙:全国をひとつの単位として政党に投票する
通常は47都道府県がそのまま選挙区になるはずですが、現状では45区。
参議院の選挙区はなぜ45なのでしょうか?
なぜ2つ少ないのか、その秘密は「合区」にあります。
合区とは何か?
合区とは、人口が少ない複数の県を一つの選挙区にまとめる仕組みです。理由は、一票の価値が県によって大きく異なる「一票の格差」を是正するため。人口が少ない県は少人数で議員を選べるため、一票の価値が過大になり、憲法違反とされる恐れが出てきました。
例えば、人口約50万人の県と、数百万人の県で同じ数の議員を選ぶと不公平です。これを防ぐため、人口の少ない県同士を合区でまとめたのです。
具体的な合区の例
現在合区となっているのは次の2組です:
- 鳥取県+島根県 → 中国地方の2県が1つの選挙区に
- 徳島県+高知県 → 四国の2県が1つの選挙区に
本来は47区だった選挙区が、この合区により45区に減っているのです。
合区導入の歴史的背景
合区は2016年の参議院選挙から適用されました。きっかけは、最高裁が「一票の格差が2倍以上は違憲状態」とする判決を出したことです。過去にも最高裁は「違憲状態」と判示しており、国会は再三是正を求められてきました。結果として合区という方法が採用されましたが、地方の反発も強かったのです。
合区がもたらした問題点
合区にはメリットだけでなく問題点もあります。
- 地域独自の声が国政に反映されにくくなる
- 県ごとの伝統や文化の違いで候補者選びが難航
- 有権者の「自分の県から議員を出したい」という思いが損なわれる
特に地元自治体は「県の代表がいなくなる」という不満を強く持っています。選挙戦でも、どちらの県出身の候補者を擁立するかが大きな争点になりがちです。
今後の展望
今後も人口減少が進めば、さらに合区の拡大が議論される可能性があります。しかし地域の声を失うリスクも大きく、単純に合区を広げることが最善かは議論が続いています。選挙制度改革は、憲法、平等、地方自治という複雑な問題が絡むテーマであり、引き続き注目されるでしょう。
まとめ
参議院の選挙区が45区である理由は、人口の少ない県同士をまとめた「合区」にあります。一票の格差を是正するための苦渋の策ですが、地域の声が届きにくいなどの課題も残ります。
選挙は私たちの暮らしに直結する制度です。ニュースや選挙報道を見たとき、なぜこうした仕組みがあるのかを知ることは、とても大切なことです。次の参院選では、ぜひ「合区」のことも頭に置いて投票を考えてみてください!
🏛️ 参議院選挙・合区にまつわるトリビア
① 合区は過去にも形を変えて存在した
- 実は戦前の貴族院(参議院の前身の一部機能を担った議院)でも、複数の府県をまとめて選挙区にする「合区」に似た制度が存在しました。
- 例えば、北海道と樺太が一つの選挙区だったことも!歴史的には「人口の少ない地域をまとめる」という発想は昔からあったのです。
② 「鳥取・島根」と「徳島・高知」の組み合わせには理由あり
- 合区でまとめる県は、地理的な近さだけでなく、人口規模や交通インフラも考慮されています。
- 「鳥取・島根」は山陰地方同士、「徳島・高知」は四国の東西で比較的アクセスが良いため、一応の合理性があります。
- ただし、文化や方言が結構違うため、候補者選びにはいつも苦労しているとか…。
③ 合区対象県には合区手当が支給される!?
- 実は合区対象県の議員には、合区対応のために 事務所設置費などの支援金が支給される という制度があります。
- 県が2つになると活動範囲が倍近く広がり、移動や事務所経費がかさむからです。
④ 合区は「一票の格差」是正の最終手段
- 合区は憲法違反の是正のための“最後の手段”とも呼ばれます。
- 理想は「議員定数の配分調整」で済む話ですが、限界があり、やむを得ず合区という形を取ったのです。
- しかしその副作用として、地元意識の低下や政治的空白地帯を生む可能性が問題視されています。
⑤ 実は参院定数は増えている
- 合区で選挙区が減った一方、全体の議員定数は減っていません。むしろ最近の法改正で参院定数は増えています。
- 2018年には定数を6人増やし、合区の影響を緩和しようとした動きもありました。
⑥ 合区問題は憲法改正論議のテーマにも
- 合区は「地方の声が奪われる」と地方議会や知事会が強く反発しており、憲法改正の論点に挙げられることもあります。
- 一票の格差と地方自治の調和をどう取るかは、今後も政治の大きなテーマです。