近年、国際情勢が激しく動く中で、「2次関税」という言葉がニュースなどで見られるようになってきました。特に2025年、アメリカのトランプ大統領がロシア産原油を購入している国々に対して100%の2次関税を課すと発言し、世界的に注目を集めました。
では、「2次関税」とはいったい何なのでしょうか?この記事では、その意味や仕組み、背景、そして今後の影響についてわかりやすく解説します。
まずは基本から押さえましょう。
**関税(Tariff)**とは、ある国が外国から輸入する商品に対して課す税金のことです。
関税をかける目的は主に以下の3つです:
今回の「2次関税」は、この3番目の「制裁」という目的にあたります。
**2次関税(Secondary Tariff)**とは、
制裁対象の国と取引を続けている第三国に対して課す、間接的な制裁関税のこと。
アメリカがロシアに直接関税をかけるのではなく、「ロシアと取引している他国」に関税をかける、というものです。
これが「2次関税」です。
ロシアやイラン、北朝鮮のような制裁対象国は、直接アメリカとは貿易していなくても、他の国々を経由して経済活動を維持していることが多くあります。
アメリカがどれだけ直接制裁をしても、第三国が協力しなければ意味がありません。
そこで、「その国と取引するだけで不利益を与える」という強いプレッシャーをかけるのが「2次制裁」や「2次関税」です。
2025年、トランプ大統領は次のような声明を発表しました。
「ロシアが50日以内にウクライナと和平合意に達しなければ、ロシア産原油を輸入している国々に対し、100%の追加関税を課す。」
これはいわゆる「2次関税」の発動予告であり、ロシアに経済的な圧力をかける手段として発表されました。
この発言の背景には以下のような状況があります:
2次関税は非常に強力な制裁手段ですが、以下のようなリスクや課題もあります。
エネルギー政策の専門家であるフェルナンド・フェレイラ氏(ラピダン・エナジー・グループ)は、以下のように指摘しています:
「2次関税はあまりに粗雑な手段かもしれない。もし日量450万バレルの原油を市場から締め出せば、原油価格の暴騰と世界経済の崩壊を招く可能性がある。」
この発言からも、2次関税が**経済的リスクを伴う「最終手段」**であることが分かります。
実は「2次制裁」という手法は、過去にもいくつかの事例があります。
年度 | 対象国 | 2次制裁の内容 | 結果 |
---|---|---|---|
2010年代 | イラン | イラン産原油を買った国の銀行に制裁 | 日本・韓国などは一部輸入停止 |
2023年 | 北朝鮮 | 北朝鮮と取引のある中国企業に金融制裁 | 効果は限定的 |
2025年3月 | ベネズエラ | 購入国に関税課すと警告(実施せず) | ベネズエラの輸出は逆に増加 |
このように、「2次制裁」は実施されるとは限らないのが実情です。
Q1:2次関税は今すぐ発動されるの?
A:トランプ大統領は「発動する」と警告していますが、実際に実行されるかどうかは不透明です。インフレなどの副作用を懸念する声もあります。
Q2:日本も対象になるの?
A:現時点で日本はロシア産原油の輸入を大きく減らしており、直接の対象となる可能性は低いとされています。
Q3:2次関税と2次制裁は同じ?
A:厳密には異なりますが、目的は同じで、制裁対象国と取引する他国に圧力をかけるという点で共通しています。