自民党の新総裁に選ばれた高市早苗氏。これまで、自公連立という強力な安定基盤を背景に「自動的に次の総理」となることが確実視されていました。しかし、本日、26年間にわたる公明党との連立が崩壊したことで、その**「総理就任の可能性」**自体が極めて危うくなっています。
これは、単に与党の枠組みが変わったという話ではありません。日本の政治構造の安定装置が外されたことで、高市氏の政治生命そのものが危機に瀕しています。
なぜ、自民党総裁という最高の地位にありながら、高市氏は総理の座を手にできないのか?あるいは、仮に一時的に座に就いたとしても、すぐにその座を失う運命にあるのか?公明党離脱という「決定打」により確定した、高市早苗氏が安定した総理になれない致命的な3つの理由を、構造的な問題として徹底的に分析します。
高市早苗氏が総理大臣になれない理由があるとしたらどのようなものでしょうか?
高市氏が総理大臣になるための最初の関門は、臨時国会での首相指名選挙です。法的には衆議院の優越があるため、最終的に指名はされますが、そのプロセスが高市氏の**「総理としての権威」を根底から揺るがし**、不安定な船出を決定づけます。
首相指名選挙では、衆議院の過半数票が必要です。これまでは公明党の30議席超の協力票があり、自民・公明で安定多数でした。しかし、公明党が離脱し、自党の斉藤鉄夫代表に票を投じると公言したことで、自民党単独の票だけでは、衆議院の総投票数の過半数に届かない可能性が濃厚となりました。
参議院では、高市氏以外の候補が指名されることは確実であり、両院協議会が開かれることになります。参議院が新総理の指名に反対するという事実は、政権発足時から**「議会の支持を得られていない」「国民の支持にも根拠がない」**というメッセージを国内外に発信し、高市氏の政権基盤の脆さを露呈させます。
仮に高市氏が首相に指名されたとしても、その政権は、連立という最大の「生命維持装置」を失ったことで、国会運営において致命的な機能不全に陥る運命にあります。
これまでの自公連立体制では、公明党の賛成により、主要な法案は確実に成立しました。しかし、高市政権は、今後はすべての法案を個別に野党と交渉し、協力を仰がなければならないという、極めて困難な状況に追い込まれます。
国会で何も決められない、政策を実現できない総理は、国民の支持を失うだけでなく、自民党内からも「高市総理では国会が回らない」という退陣論が瞬く間に噴出します。党内の主流派や、連立維持を望んでいた勢力からの**「倒閣運動」は避けられず、総理の座についても極めて短期間でその座を追われる**可能性が濃厚です。総理の座は得ても、「短命政権」に終わるリスクは宿命的と言えます。
高市氏が総理になれない、あるいはなっても長続きしない最大の根源は、次の衆議院議員総選挙(衆院選)で**自民党を勝利に導けない「顔」**になってしまったことです。
自民党は、公明党が組織的に集める創価学会票を、長年「選挙の神様」として頼ってきました。都市部や激戦区の多くの自民党議員は、この票がなければ当選できません。
公明党が連立を離脱し、選挙協力を解消すれば、**自民党候補は確実に創価学会票を失います。これは、自民党が戦後経験したことのない規模の「大敗」**につながる可能性を秘めています。
公明党の離脱は、高市氏の保守的で強硬な政治路線が、国民の多数派が求める「中道・現実路線」と決定的に乖離していることを明確に示しました。
高市早苗氏は、衆議院の優越という制度的裏付けにより、形式上は首相に指名される可能性はあります。しかし、その先に待っているのは、公明党という最大の「安定供給装置」を外された**「極めて不安定な椅子」**です。
権威を失った不名誉な船出、国会での機能不全、そして次期総選挙での大敗リスクという3つの致命的な要因により、高市氏は安定した総理の座を掴むことはできず、「総理になれない」か、なっても極めて短期間で退陣を余儀なくされる運命にあると言えるでしょう。日本の政治は今、総理の座を巡る未曾有の混乱期に突入しています。