ガソリン税暫定税率廃止・ いつから？

いつからガソリン税暫定税率廃止の見込みか？最新情報と実現時期の見通し

はじめに

2025年10月20日、自民党と日本維新の会が正式に連立政権を樹立し、日本の税制や経済政策に大きな変化が訪れようとしています。その合意文書の中で最も注目を集めているのが、「ガソリン税の暫定税率廃止」です。ガソリン価格は日々の生活に直結しており、この政策は全国のドライバーや物流業界、さらには消費全体に影響を与える可能性を秘めています。

この記事では、ガソリン税暫定税率の仕組みや歴史的背景、廃止の見通し、実施の時期、さらには廃止による経済・環境への影響を徹底的に解説します。政治的背景を交えながら、読者が「結局いつから安くなるのか？」を明確に理解できるよう構成しました。

ガソリン税の暫定税率とは？歴史と仕組み

ガソリン税には「揮発油税」と「地方揮発油税」があり、これに“本則税率”と“暫定上乗せ分”が設定されています。この暫定上乗せ分こそが、今回議論の的になっている部分です。

• 本則税率：約28.7円／リットル
• 暫定上乗せ分：約25.1円／リットル

合計すると、1リットルあたり約53.8円もの税金が課されている計算です。この「暫定上乗せ分」は、1974年のオイルショック時に道路整備財源を確保するために導入されたもので、当初はあくまで“一時的措置”とされていました。

しかし、その“暫定”は半世紀近く続き、もはや「恒久税」と化しているという批判が長年にわたって存在しています。政治家の中でも「暫定税率という名前自体が欺瞞的だ」という声も多く、廃止を訴える動きは過去にも何度か浮上してきました。特に2008年の民主党政権時代には、いったん期限切れとなり一時的にガソリン価格が下がった“ガソリン値下げ騒動”が起こったことを覚えている方も多いでしょう。

最新動向：連立合意で一気に現実味

今回、自民党と維新の党首会談によって交わされた合意文書には、「ガソリン税の暫定税率廃止を令和7年（2025年）臨時国会中に成立させる」という明記がありました。臨時国会の会期は12月17日までとされ、年内成立を目指す構えが見えます。

維新代表の吉村洋文氏は、テレビ番組『サン!シャイン』の生出演中に次のように語りました。

「実現の可能性は99％、いや100％やる。これは決意表明です。」

また、吉村氏は「これまで“やるやる”と言いながら実現しなかった。だからこそ今回は霞が関の抵抗を打ち破り、必ずやり切る」と強調しています。このように政治的意志はこれまでにないほど強い状況です。

いつから廃止されるのか？スケジュールの予測

現時点（2025年10月）で有力視されているスケジュール案は次の通りです。

ただし、政府・財務省内では依然として慎重論が根強く、代替財源の確保を条件とする見方もあります。ガソリン税収の一部は地方交付税にも使われているため、地方財政への影響をどう補うかが焦点です。

廃止によるガソリン価格への影響

もし暫定税率が完全に廃止されれば、理論的にはガソリン価格が1リットルあたり25円前後下がる計算です。

【試算例】

• 現在の平均価格：1リットル＝170円
• 暫定税率廃止後：170円 − 25円 ≒ 145円

しかし実際には、原油価格・為替レート・販売コスト・補助金終了時期など複数の要素が絡むため、単純な25円引きにはならない可能性があります。特に2024年以降、補助金制度が段階的に縮小されているため、減税効果が一部相殺されるケースも考えられます。

さらに、ガソリンスタンドの在庫分には旧税率が適用されるため、価格が全国的に下がるまでにはタイムラグが生じるでしょう。専門家の中には「実際の体感値としては15〜20円程度の値下げになる可能性が高い」と指摘する声もあります。

暫定税率廃止による経済・社会への影響

✅ メリット

• 家計の負担軽減（地方・郊外住民に恩恵が大きい）
• 物流・運送業界のコスト削減による物価安定効果
• 中小企業・農業など燃料を多く使う産業の経営改善
• 消費者心理の改善による景気回復効果

⚠️ 懸念・デメリット

• 国・地方あわせて年間約1兆〜1.5兆円の税収減
• 道路・橋梁などインフラ維持の財源不足
• 環境政策との整合性問題（CO₂排出増の懸念）
• ガソリン価格の乱高下による市場混乱

経済学者の中には「短期的には減税効果が消費を刺激するが、財政赤字が拡大すれば将来的に別の増税で帳尻を合わせることになる」と指摘する意見もあります。特に、地方自治体にとっては道路維持費の補助金が削られる懸念もあり、地方議会での反発も予想されます。

今後の流れと政治的課題

1. 2025年10月〜12月：臨時国会で法案提出・審議・可決を目指す
2. 2025年12月：可決・公布（予算調整と並行）
3. 2026年初頭〜春：段階的または即時施行の可能性

財務省は「財源確保が不十分なままの減税は困難」としていますが、維新の主張を背景に政治的な圧力が高まれば、制度改正は加速する可能性があります。なお、補助金制度の終了や新しいエネルギー税の創設も議論の対象になっており、「ガソリン税廃止→新エコ税導入」という形での転換もあり得ます。

国際的な比較：他国の燃料税政策

日本のガソリン税は先進国の中でも比較的高水準です。OECD統計によれば、2024年時点での燃料税負担は次の通りです。

こうして見ると、日本は中間的な位置にありますが、公共交通が発達していない地方ではガソリン税が生活コストに直結しやすく、社会的な不公平感が指摘されています。そのため、「都市と地方の格差を是正するためにも廃止は必要」との声が強まっています。

まとめ：いつから安くなる？そしてその先へ

• 廃止時期：2025年11月が最有力。遅くとも2026年春までに施行される可能性が高い。
• 価格影響：最大で25円／Lの値下げ。ただし実感値は15〜20円前後。
• 実施条件：代替財源の確保と法案成立が不可欠。
• 政治的背景：維新と自民の連立によって実現性が過去最高水準に。

ガソリン税の暫定税率廃止は、単なる“値下げ政策”ではなく、エネルギー・財政・地方行政すべてに関わる大改革です。これが実現すれば、物価対策として即効性がある一方で、長期的な財政運営の見直しも避けられません。

おわりに：本当の意味での「暫定」からの脱却

日本の税制は、長年“暫定”や“特例”の名の下に制度が固定化されてきました。ガソリン税の暫定税率廃止は、そうした構造を見直す象徴的な一歩とも言えます。もし本当に実現すれば、「暫定のまま続く不透明な制度」から脱却し、税の透明性や政策責任を問い直す契機になるでしょう。

ガソリンが安くなるという生活上の恩恵だけでなく、政策としての理念的意義にも注目すべきです。年内の臨時国会でどのような結論が出るのか、今後も最新動向から目が離せません。