Japan Luggage Express
Japan Luggage Express Ltd.

食品消費税ゼロ・飲食店

食品消費税ゼロ・飲食店への影響

近年の急激な物価高や実質賃金の伸び悩みを背景に、政府・与党内では「食品の消費税率を一定期間ゼロにする案」が本格的に議論されています。こうした中、高市早苗首相も、連立合意に掲げた**「飲食料品の消費税率を2年間ゼロにする方針」**について、検討を加速させる考えを示しました。

食品消費税ゼロは、日々の食費を直接押し下げる政策として、消費者からは歓迎されやすい内容です。しかしその一方で、飲食店にとっては必ずしも単純な追い風とは言えないという現実があります。制度の設計次第では、売上構造の変化や事務負担の増大など、経営面で新たな課題を生む可能性があるためです。

本記事では「食品消費税ゼロ・飲食店」というテーマで、高市首相の発言も踏まえつつ、食品消費税ゼロが導入された場合に飲食店へどのような影響が及ぶのかを、税制の仕組みと現場の実情の両面から、できるだけ丁寧に解説します。


食品消費税ゼロとは何か(飲食店の立場から)

現在の日本の消費税制度では、飲食に関して次のような区分が設けられています。

  • 店内飲食(外食):標準税率10%
  • テイクアウト・持ち帰り:軽減税率8%

この区分は、同じ飲食店で提供される商品であっても、利用形態によって税率が異なるという特徴があります。飲食店側はすでに、この複雑な税率区分に対応した価格表示やレジ処理を行っています。

「食品消費税ゼロ」が導入される場合、現在想定されている制度設計では、

  • 食料品(主に持ち帰り・小売向け)を0%
  • 店内飲食(外食)は原則として対象外、もしくは別枠扱い

となる可能性が高いと考えられています。この点が、飲食店にとって非常に重要なポイントとなります。


飲食店が直面する主な影響

① 店内飲食とテイクアウトの税率差がさらに拡大する

現行制度でも、

  • 店内飲食:10%
  • テイクアウト:8%

という2つの税率を使い分ける必要があります。

食品消費税ゼロが実施された場合、

  • テイクアウト:0%
  • 店内飲食:10%(据え置き)

となる可能性があり、両者の税率差は10ポイントに拡大します。この差は、消費者にとって非常に分かりやすく、「どちらが得か」を強く意識させる要因になります。

飲食店の現場では、

  • 注文時の説明負担の増加
  • 税率ごとの会計処理
  • レジやPOSシステムの追加対応

といった業務がさらに増えることになります。


② 「イートイン離れ」が進む可能性

税率差が大きくなれば、消費者の行動にも変化が生じます。

  • 同じ商品なら、
  • 店内で食べるより持ち帰った方が安い

という意識が、これまで以上に強まる可能性があります。

その結果、

  • 店内飲食の利用者減少
  • 客単価の低下
  • イートインスペースの稼働率低下
  • 回転率の悪化

といった形で、飲食店の収益構造そのものが変化するおそれがあります。特に、カフェやファストフード、定食店など、イートインを前提とした業態では影響が大きくなりやすいでしょう。


③ 原材料高の中で価格転嫁が一層難しくなる

現在、多くの飲食店は、

  • 食材費の高騰
  • 電気・ガスなど光熱費の上昇
  • 人件費の増加

という三重苦に直面しています。

この状況で食品消費税ゼロが導入されると、

  • 「税金が下がったのだから値下げすべきではないか」

という消費者心理が働きやすくなります。しかし実際には、飲食店の原価構造はほとんど改善していません。そのため、値上げも値下げも難しい板挟み状態に陥る店舗が増える可能性があります。


④ 会計・経理・事務作業のさらなる複雑化

飲食店ではすでに、

  • 10%(店内飲食)
  • 8%(テイクアウト)

という複数税率に対応した運営が行われています。

食品消費税ゼロが加わると、

  • 0%
  • 8%(一部取引)
  • 10%

と、さらに税率が増える可能性があります。

特に、

  • 個人経営の飲食店
  • 家族経営の小規模店舗

にとっては、レジ改修費用や帳簿管理の手間が重い負担となり、実質的なコスト増につながるおそれがあります。


食品消費税ゼロは本当に飲食店支援になるのか

一見すると、食品消費税ゼロは集客増や売上回復につながるようにも見えます。しかし現実には、

  • 外食が制度の対象外になりやすい
  • 原材料費や人件費は下がらない
  • 事務・管理コストだけが増える

といった構造があり、飲食店にとっては中立、もしくはややマイナスの政策になる可能性も否定できません。


飲食店への影響を抑えるために必要な視点

食品消費税ゼロを実施するのであれば、飲食店への配慮も不可欠です。例えば、

  • 外食にも何らかの軽減措置を設ける
  • 税率区分を可能な限り簡素化する
  • レジ改修や事務負担に対する補助制度
  • 原材料高対策や人件費対策とのセット実施

などがなければ、飲食店だけが制度変更のしわ寄せを受ける結果になりかねません。


まとめ:食品消費税ゼロは飲食店への影響を慎重に考える必要がある

食品消費税ゼロは、

  • 消費者にとっては分かりやすい物価高対策
  • 一方で飲食店には新たな課題をもたらす可能性がある政策

です。

高市早苗首相の発言が示すように、今後は具体的な制度設計が最大の焦点となります。その際、飲食店の現場で実際に何が起きるのかを十分に考慮しなければ、支援策のはずが経営を圧迫する結果になりかねません。

消費者・農家・飲食店というそれぞれの立場を総合的に見据え、短期的な人気取りではなく、持続可能な飲食業と食の供給体制を支えるバランスの取れた政策設計が求められています。

 

Leave a Reply