バンカーバスターを所有している国

🌍バンカーバスターを所有している国・一覧：各国の地下貫通爆弾事情

現代の軍事戦略において、地下施設の破壊は非常に重要なテーマとなっています。核施設、司令部、兵器庫などが地下に設けられることが多く、それに対応するために開発されたのが「バンカーバスター（地下貫通爆弾）」です。

これらの兵器は単なる「爆弾」ではなく、地中深くに隠された標的に到達し、構造物内部で爆発するように設計された高精度の破壊装置です。通常の爆弾では届かない地下施設に対し、強力な運動エネルギーと遅延信管によって直接打撃を加えることが可能です。

では、アメリカ以外にこのような兵器を保有・開発している国はあるのでしょうか？本記事では、主要国のバンカーバスター保有状況を紹介し、その特徴や背景を詳しく解説します。

🇺🇸アメリカ合衆国：バンカーバスターのパイオニア

• 代表的兵器：GBU-28、GBU-57A/B MOP、BLU-109 など
• 特徴：超音速で地中深くまで貫通し、遅延爆発で内部を破壊。世界で最も精度と破壊力に優れたシステム。
• 運用例：湾岸戦争、イラク戦争で実戦投入。
• 補足：GBU-57A/Bは13.6トンの超重量兵器で、B-2ステルス爆撃機専用。地下60メートル以上にある核施設にも対応可能。

🇮🇱イスラエル：地域情勢に応じた独自技術

• 代表的兵器：SPICE 1000、BLU-109互換弾（米国供与）
• 特徴：イランの核関連施設を想定した高精度貫通兵器。F-15やF-35に搭載可能。
• 備考：アメリカからの兵器供与と自国技術の融合によって独自に発展。
• 補足：GPSと電気光学誘導を組み合わせ、ミスを最小限に抑える精密兵器として有名。

🇨🇳中国：量と模倣による対応

• 開発中兵器：YJ-2000、GBシリーズ貫通爆弾など
• 特徴：模倣技術をベースに多数配備を重視。貫通力よりも数による飽和攻撃を想定。
• 備考：国産ステルス機との組み合わせも研究中。
• 補足：地下施設攻撃よりも、大規模な飽和攻撃によるインフラ無力化戦術を重視する傾向も。

🇷🇺ロシア：ソ連時代からの系譜

• 代表的兵器：BETAB-500ShP、BETAB-Mシリーズ
• 特徴：航空投下型で、強化コンクリート施設を破壊可能。ソ連時代の設計を改良。
• 実戦例：シリアやウクライナでの使用報告あり。
• 補足：旧型設計をベースにしつつも、最新のSu-34戦闘爆撃機に対応する改良型が登場。

🇫🇷フランス：戦術的用途に特化

• 代表的兵器：AASM（Hammer）＋貫通弾頭モデル
• 特徴：高精度の誘導技術と小型貫通力を併せ持つ。大規模地下施設破壊には不向き。
• 用途：中東やアフリカでの限定的作戦に使用。
• 補足：Scalp-EG巡航ミサイルのような地中貫通機能を持つ長距離兵器も併用可能。

🇮🇳インド：開発段階で実用化に向け準備中

• 開発中兵器：SAAWの貫通バージョンなど
• 特徴：パキスタンや中国の地下拠点を想定した独自兵器を模索中。
• 備考：イスラエルやフランスと協力しながら開発を進行中。
• 補足：印国防研究開発機構（DRDO）が主体となり、2020年代後半の実用化を目指す。

❌日本：非保有

• 理由：日本は専守防衛政策に基づき、攻撃型兵器としてのバンカーバスターは保有せず。
• 例外：在日米軍が事実上配備している可能性あり。
• 補足：将来的に極超音速兵器などとの統合運用が議論される可能性はあるが、現時点での国産化の動きはない。

✅まとめ表：バンカーバスター保有状況一覧

✍️おわりに

バンカーバスターは、その特殊な性質から技術力と戦略の象徴とも言える兵器です。アメリカを筆頭に、イスラエルや中国、ロシアなどが独自に開発・配備を進めており、今後も地下戦への対応能力として注目が集まるでしょう。

また、バンカーバスターは単体で運用されるものではなく、情報収集、ターゲット識別、航空機との連携などを含む複合的な運用が求められます。今後は無人航空機による運用や、AI誘導による次世代型の登場も予測されており、さらなる進化が期待されています。

地下施設の防御力が高まる一方で、それに対抗する兵器の技術競争も熾烈になっており、「見えない敵を叩く」ためのバンカーバスターは、今後も各国の軍事政策の中核を担う存在となるでしょう。