2025年6月12日、自民党や維新の会などが「選挙困難な緊急時における国会議員の任期延長」いわゆる国会機能維持条項を盛り込んだ憲法改正の骨子案を衆議院憲法審査会の幹事会で示しました。この動きは、今後の日本の統治のあり方を大きく左右しかねない重要な提案です。国会機能維持条項とは一体どのようなものなのでしょうか?
自民党、日本維新の会、国民民主党、公明党などが提案したのは、「国会機能維持条項」という名の骨子案です。内容は以下のとおりです:
つまり、国会機能維持条項とは平時には当然のこととされている「任期満了による選挙」が、緊急時には“行えない場合がある”という前提に立ち、「無議会状態」を回避するために任期延長を可能にするという条項の案です。
自民党の船田元議員は、国会機能維持条項は「より条文に近い形に深掘りした内容」であり、「改正原案に向けた大きな一歩」だと強調しました。また、維新・国民民主もこの骨子案をベースに具体的な条文案作成に入るべきと提案しています。
公明党も「次の国会で建設的な国会機能維持条項の議論を」と述べ、国会機能維持条項に前向きな姿勢を見せています。
しかし、野党の一部は強く反発しています。
提案側が懸念しているのは、将来的に以下のような事態が起こりうるということです:
このような事態において、現行制度では補えない空白期間が生まれ、国会が開けず、政権運営に支障をきたす恐れがある、というのが国会機能維持条項の骨子案の出発点です。
日本の選挙制度では、災害時などには**「繰り延べ投票」**という対応策がすでに存在します。これは一部地域での投票を後日に変更できる制度で、実際に東日本大震災でも使われました。
国会機能維持条項反対派は、この制度の存在を根拠に「任期延長のための憲法改正は過剰である」と主張しています。
現在の憲法では、
つまり、この「延長可能にするため」には憲法そのものに新しい条項を追加する必要があるということです。
“選挙ができないときにどうするか?”というテーマは、一見すると合理的な制度改正に思えるかもしれません。しかし、これは「議員任期の延長」という極めて強い政治的判断を伴うテーマでもあります。
緊急事態にどうやって民主主義の正統性を担保するのか——これは与野党を問わず、国民全体が慎重に考えるべき大きな問題です。
例:「戦争やパンデミックを理由に選挙を無期限に延期できるようにするつもり?それって民主主義じゃなくなるよね?」
騒ぎになっているのは、単にこの国会機能維持条項の条文案の是非だけでなく、以下のような不安と不信が混ざり合っているからです。
不安の対象 | 内容 |
---|---|
政治の暴走 | 任期延長がなし崩し的に権力の固定化につながるのではないか |
民主主義の形骸化 | 選挙がなければ民意が反映されず、正統性が揺らぐ |
法制度の乱用 | “選挙困難”の定義が曖昧で、恣意的な延長が可能になる懸念 |
過去の失敗の記憶 | 戦前・戦中の日本政治のように「非常時」の名目で自由が奪われる歴史の再来 |
一方で、与党側や中立的な立場からは次のような意見も出ています:
ネットで騒がれているのは、単なる法改正案への反応ではなく、
…という点で、多くの人々が「これは黙って見過ごしてはいけない」と感じているからです。
このテーマは感情的にもなりやすいですが、制度面の冷静な分析と国民的な合意形成が不可欠です。