「Billboardで1位になった日本人」と聞いて、まず多くの人が知りたいのは、アメリカの有名音楽チャート「Billboard Hot 100」で1位になった日本人がいるのか、という点ではないでしょうか。
結論から言うと、アメリカの総合シングルチャートであるBillboard Hot 100で1位になった日本人歌手として最も有名なのは、坂本九さんです。
坂本九さんの「上を向いて歩こう」は、英語圏では「Sukiyaki」というタイトルで発売され、1963年にアメリカのBillboard Hot 100で1位を獲得しました。
これは日本の音楽史だけでなく、アジアの音楽史においても非常に大きな出来事でした。

坂本九さんの「上を向いて歩こう」は、日本では1961年に発表された曲です。
作詞は永六輔さん、作曲は中村八大さん。日本では「上を向いて歩こう」というタイトルで広く知られています。
しかし、アメリカやイギリスなど英語圏で発売される際には、「Sukiyaki」というタイトルが付けられました。
「すき焼き」は曲の歌詞とは直接関係ありません。英語圏の人にとって覚えやすく、日本らしい響きのある言葉として選ばれたとされています。
この「Sukiyaki」は、1963年6月にアメリカのBillboard Hot 100で1位を獲得しました。しかも、一時的な話題にとどまらず、複数週にわたって1位を記録しています。
坂本九さんの「Sukiyaki」がすごいのは、単に日本人がアメリカでヒットしたからではありません。
最大のポイントは、日本語で歌われた曲が、アメリカの総合チャートで1位になったということです。
英語の歌詞ではなく、日本語のままアメリカで受け入れられたことは、当時としては非常に珍しい出来事でした。
1960年代前半のアメリカでは、洋楽市場の中心は当然ながら英語の楽曲でした。その中で、日本語の歌がラジオで流れ、レコードが売れ、Billboard Hot 100の頂点に立ったのです。
現在はインターネットや動画配信、SNSによって世界中の音楽に触れやすくなりましたが、1963年当時は今とはまったく状況が違いました。その時代に日本語の曲が全米1位になったことは、今考えても驚くべき快挙です。

ただし、「Billboardで1位になった日本人」と言う場合、少し注意が必要です。
Billboardには、非常に多くのチャートがあります。
たとえば、次のようなチャートがあります。
つまり、「Billboardで1位」といっても、どのチャートの1位なのかによって意味が変わります。
アメリカのBillboard Hot 100で1位という意味なら、坂本九さんの「Sukiyaki」が代表的な答えです。
一方で、Billboardのグローバルチャートやジャンル別チャート、日本版のBillboard Japanまで含めると、他にも1位を記録した日本のアーティストがいます。
近年の大きな話題としては、YOASOBIの「アイドル」があります。
アニメ『【推しの子】』のオープニング主題歌として世界的にヒットした「アイドル」は、BillboardのGlobal Excl. U.S.で1位を獲得しました。
Global Excl. U.S.は、アメリカを除く世界のストリーミングやダウンロードなどをもとにしたチャートです。
これはアメリカ国内のHot 100とは別のチャートですが、日本語の楽曲が世界規模で強い支持を受けたことを示す大きな記録です。
坂本九さんの時代はレコードとラジオの力が中心でしたが、YOASOBIの時代はアニメ、YouTube、音楽配信、SNSが世界的ヒットのきっかけになりました。
日本人メンバーによるガールズグループXGも、Billboardのチャートで1位を記録した例として知られています。
XGの「GRL GVNG」は、BillboardのHot Trending Songsチャートで1位を獲得しました。
XGは日本人メンバーで構成されていますが、英語曲を中心に発信し、韓国の音楽番組や海外市場も視野に入れた活動を行っています。
そのため、従来の「日本のアーティスト」という枠だけでは語りにくい存在ですが、日本発のグローバルグループとして、Billboardでの記録は注目されています。
日本生まれのアーティストとしては、JojiもBillboardで大きな成功を収めています。
Jojiは大阪生まれのシンガーソングライターで、海外を拠点に英語の楽曲を発表してきました。
アルバム『SMITHEREENS』は、BillboardのTop Rock & Alternative Albumsチャートなどで1位を獲得しました。
また、「Glimpse of Us」はBillboard Hot 100でトップ10入りを果たしており、日本生まれのアーティストによるアメリカ市場での成功例としてよく取り上げられます。
もう一つ、混同しやすいのがBillboard Japan Hot 100です。
Billboard Japan Hot 100は、日本国内のCD売上、ダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生、カラオケなどをもとにした日本版の総合ソングチャートです。
このチャートでは、YOASOBI、Creepy Nuts、Ado、米津玄師、Official髭男dism、King & Princeなど、多くの日本のアーティストが1位を獲得しています。
しかし、これはアメリカのBillboard Hot 100とは別のチャートです。
そのため、記事やSNSで「Billboard 1位」と書かれている場合は、どのBillboardチャートなのかを確認することが大切です。
| アーティスト | 作品 | 主なチャート | ポイント |
|---|---|---|---|
| 坂本九 | Sukiyaki(上を向いて歩こう) | Billboard Hot 100 | アメリカ総合シングルチャートで1位 |
| YOASOBI | アイドル | Billboard Global Excl. U.S. | 日本語曲として世界的に大ヒット |
| XG | GRL GVNG | Hot Trending Songs | 日本人メンバーによるグローバルグループの快挙 |
| Joji | SMITHEREENS | Top Rock & Alternative Albums | 日本生まれのアーティストによるジャンル別チャート1位 |
「Billboardで1位になった日本人は誰?」という質問に対する答えは、どのチャートを指すかによって変わります。
アメリカのBillboard Hot 100で1位になった日本人歌手という意味なら、坂本九さんの「Sukiyaki」が最も重要な答えです。
一方で、Billboardのグローバルチャートやジャンル別チャートまで含めれば、YOASOBI、XG、Jojiなども1位を記録しています。
坂本九さんの「Sukiyaki」は、1960年代に日本語の歌がアメリカで受け入れられた歴史的な出来事でした。
そして現代では、アニメ、SNS、動画配信、ストリーミングを通じて、日本の音楽が世界中に届く時代になっています。
「Billboardで1位になった日本人」というテーマは、坂本九さんの偉業から、現代のJ-POPや日本発グローバルアーティストの広がりまでを知るきっかけになるテーマだと言えるでしょう。