女子バレーボールのタイ代表でアナリストやコーチを務めてきた吉田伸(よしだ・しん)氏が注目されています。
2026年8月30日、タイ女子代表は中国・天津で行われたアジア選手権決勝で中国を3-2で破って優勝。タイ女子バレーボール史上初となるオリンピック出場権を獲得しました。
そのタイ代表でアシスタントコーチを務めている日本人が吉田伸氏です。
吉田氏は、早稲田大学男子バレーボール部のアナリストからキャリアをスタート。その後はいったん製薬会社の会社員となりましたが、バレーボール界に復帰しました。
KUROBEアクアフェアリーズ、日本女子代表、タイ女子代表に加え、ドイツやフランスのクラブでも経験を積んでおり、30歳という若さながら非常に国際色豊かな経歴を持っています。
| 氏名 | 吉田 伸(よしだ しん) |
|---|---|
| 生年月日 | 1996年7月22日 |
| 年齢 | 30歳(2026年9月現在) |
| 出身地 | 東京都世田谷区 |
| 中学校 | 千歳中学校 |
| 高校 | 東京都立調布南高等学校 |
| 大学 | 早稲田大学 |
| 職業 | バレーボールコーチ、アナリスト |
| 主な経歴 | 早稲田大学、製薬会社、KUROBEアクアフェアリーズ、日本女子代表、タイ女子代表、SCポツダム、ヴァンドゥーヴル・ナンシーなど |
| 2026年 | タイ女子代表アシスタントコーチ |
吉田伸氏は1996年7月22日、東京都世田谷区生まれです。
千歳中学校を経て東京都立調布南高校へ進学。2015年3月に高校を卒業しました。
高校卒業後は1年間の浪人生活を経験し、2016年4月に早稲田大学へ入学しています。
早稲田大学では男子バレーボール部に所属しました。
早稲田大学男子バレーボール部は大学バレー界を代表する強豪チームですが、吉田氏は選手としてだけではなく、チームをデータ面から支えるアナリストとして活動しました。
大学4年だった2019年度の早稲田大学バレーボール部のメンバーにも「アナリスト 吉田伸」として名前が掲載されています。
現在の経歴を見ると、吉田氏は大学卒業後すぐにプロのバレーボールコーチになったようにも思えます。
しかし、実際には一度バレーボールの現場を離れています。
2020年3月に早稲田大学を卒業すると、同年4月に国内の製薬会社へ入社しました。
製薬会社ではMR(医薬情報担当者)として約2年間勤務しています。
MRとは、病院や診療所などを訪問し、医師や医療関係者に医薬品に関する情報を提供する仕事です。
大学時代にバレーボールの分析を専門としていた人物が、一度一般企業に就職して営業・情報提供の仕事を経験したという点は、吉田氏の経歴の中でも特徴的です。
吉田氏は2022年4月に製薬会社を退職。
同年5月、女子バレーボールチームのKUROBEアクアフェアリーズに加入し、本格的にバレーボール界へ復帰しました。
KUROBEではアナリスト兼コーチを担当しています。
試合映像やデータを分析するだけではなく、分析結果を実際の戦術や選手への指導につなげる役割を担っていたと考えられます。
KUROBEには2022年から2024年まで約2年間在籍しました。
吉田氏にとって大きな転機となったのが2023年です。
2023年、中国・杭州で行われた第19回アジア競技大会の女子日本代表スタッフに選出され、アナリストを務めました。
吉原知子監督が率いた日本代表で、データ分析を担当しています。
そして、このアジア大会への参加が、その後のタイ代表との関係につながることになります。
吉田氏とタイ女子代表との縁が生まれたのも、2023年のアジア競技大会でした。
日本代表のアナリストとして大会に参加した際に、タイのバレーボール関係者と知り合ったことがきっかけだったとされています。
この出会いが後に、吉田氏がタイ代表スタッフとして活動する道へとつながっていきました。
2024年、吉田氏はタイ女子バレーボール代表にアナリストとして帯同しました。
KUROBEアクアフェアリーズは2024年4月、吉田氏がタイナショナルチームに帯同するため離日することを発表しています。
その後、2024年5月末でKUROBEを退団しました。
日本のクラブチームからタイのナショナルチームへ。
吉田氏にとって、ここから本格的な海外でのキャリアが始まったといえます。
タイ代表での活動後、吉田氏はさらにヨーロッパへ渡ります。
2024-25シーズンには、ドイツ女子バレーボール1部リーグのSCポツダム(SC Potsdam)に加入。
コーチ兼アナリストとして活動しました。
吉田氏にとって、クラブチームでシーズンを通して海外で働くのはこれが初めての経験でした。
SCポツダムではドイツ国内リーグだけでなく、欧州の国際大会にも携わりました。
日本、タイ、そしてドイツと異なるバレーボール文化を経験したことで、アナリストだけではなくコーチとしてのキャリアも広がっていきます。
2025年には日本にとっても重要な役割を担います。
日本バレーボール協会が発表した2025年度女子日本代表スタッフにアナリストとして吉田伸氏が登録されました。
フェルハト・アクバシュ監督率いる女子日本代表で、分析業務を担当しています。
吉田氏本人によると、この年はアナリスト兼通訳として活動していました。
前年にドイツで英語を使いながら仕事をした経験もあり、データ分析だけではなく外国人監督と日本人選手・スタッフをつなぐ役割も担うことになりました。
日本代表での活動と並行して、クラブシーズンには再びヨーロッパへ渡っています。
2025-26シーズンはフランス女子1部リーグのヴァンドゥーヴル・ナンシー(Vandœuvre Nancy Volley-Ball)でコーチとして活動しました。
これによって吉田氏は、20代のうちに日本、タイ、ドイツ、フランスという複数の国でバレーボールの指導・分析を経験することになりました。
2026年に吉田氏が再びタイ代表へ加わったことで、一部では「自ら日本代表を辞めてタイ代表へ移った」と受け取られることもあったようです。
しかし、吉田氏本人は2026年8月31日に経緯を説明しています。
それによると、2025年の女子日本代表との契約は期間が定められたもので、契約期間満了後に次の契約が更新されなかったということです。
吉田氏自身が日本代表を離れることを希望して決めたわけではないとしています。
その後、吉田氏の状況を知ったタイバレーボール協会やタイ代表監督から声がかかり、再びタイ代表で仕事をすることになりました。
したがって、「日本代表を自ら辞めてタイ代表へ移籍した」という単純な経緯ではない点には注意が必要です。
2026年、吉田伸氏はタイ女子代表のアシスタントコーチに就任しました。
2024年にタイ代表へ加わった際は主にアナリストでしたが、2026年にはよりコーチングに踏み込んだ立場となっています。
タイ語も使いながら選手に指示を送るなど、日本人スタッフでありながらタイ代表の中に深く入り込んで活動していることでも注目されました。
そして2026年8月、吉田氏のキャリアにとっても大きな大会となったのが、中国・天津で開催されたAVC女子バレーボールアジア選手権です。
タイは準決勝で日本を3-1で破って決勝へ進出。
8月30日の決勝では開催国の中国と対戦しました。
試合はフルセットにもつれ込みましたが、タイが3-2(25-20、11-25、23-25、25-18、15-10)で中国を破りました。
これによりタイはアジア選手権連覇と通算4度目の優勝を達成。
さらに優勝国に与えられる2028年ロサンゼルスオリンピックの出場権を獲得しました。
タイ女子バレーボール代表がオリンピックへの出場を決めたのは史上初です。
長年タイ女子バレー界が目標としてきた五輪出場を、日本人コーチの吉田伸氏もスタッフの一人として支えたことになります。
吉田氏の海外挑戦はさらに続きます。
2026-27シーズンには、イタリア女子バレーボールの最高峰セリエA1に所属するUYBAブスト・アルシーツィオのアシスタントコーチに就任することが発表されています。
イタリアのセリエA1は世界でもトップクラスの女子バレーボールリーグとして知られています。
早稲田大学の学生アナリストから始まった吉田氏のキャリアは、日本のVリーグ、ナショナルチーム、ドイツ、フランスを経て、ついにイタリアのトップリーグまで広がることになります。
| 年 | 経歴 |
|---|---|
| 1996年 | 東京都世田谷区に生まれる |
| 2015年 | 東京都立調布南高校卒業 |
| 2016年 | 早稲田大学入学、男子バレーボール部に所属 |
| 2020年 | 早稲田大学卒業、国内製薬会社へ入社 |
| 2020~2022年 | MR(医薬情報担当者)として勤務 |
| 2022年 | KUROBEアクアフェアリーズ入団、アナリスト兼コーチ |
| 2023年 | アジア競技大会女子日本代表アナリスト |
| 2024年 | タイ女子代表アナリスト |
| 2024~2025年 | ドイツ1部SCポツダムでコーチ兼アナリスト |
| 2025年 | 女子日本代表でアナリスト兼通訳として活動 |
| 2025~2026年 | フランス1部ヴァンドゥーヴル・ナンシーでコーチ |
| 2026年 | タイ女子代表アシスタントコーチ |
| 2026年8月 | タイ代表がアジア選手権優勝、史上初の五輪出場権獲得 |
| 2026~2027年 | イタリア・セリエA1のUYBAブスト・アルシーツィオでアシスタントコーチ |
吉田伸氏の経歴を理解する上で重要なのが「アナリスト」という仕事です。
現代のバレーボールでは、相手チームや自チームのプレーを映像やデータから分析することが非常に重要になっています。
例えば、相手選手のサーブの傾向、セッターのトス配分、スパイクを打つコース、ローテーションごとの得点率などを分析し、監督やコーチ、選手へ情報を提供します。
単に数字を集めるだけではなく、膨大なデータから試合に必要な情報を選び出し、それを選手に分かりやすく伝える能力も求められます。
吉田氏の場合、大学時代から分析を専門としてきただけでなく、その後はコーチとして直接選手を指導する経験も積んでいます。
「分析」と「コーチング」の両方を経験していることが、現在の吉田氏の大きな特徴といえるでしょう。
吉田伸氏は、1996年生まれ、東京都世田谷区出身のバレーボールコーチ・アナリストです。
東京都立調布南高校から早稲田大学へ進み、男子バレーボール部でアナリストとして活動。大学卒業後はいったん製薬会社に就職し、MRとして約2年間勤務しました。
2022年にKUROBEアクアフェアリーズへ加入してバレーボール界へ復帰すると、2023年には女子日本代表のアナリストとしてアジア競技大会に参加しました。
その大会で生まれたタイ関係者との縁から、2024年にはタイ女子代表のアナリストに就任。その後はドイツのSCポツダム、女子日本代表、フランスのナンシーなどで経験を積みました。
2026年にはタイ女子代表のアシスタントコーチとなり、同年8月のアジア選手権ではタイの優勝と史上初となる2028年ロサンゼルス五輪出場権獲得にスタッフとして貢献しました。
さらに2026-27シーズンは、世界最高峰のリーグの一つであるイタリア・セリエA1のUYBAブスト・アルシーツィオでアシスタントコーチを務めることになっています。
製薬会社の会社員を経て、20代で日本、タイ、ドイツ、フランスのバレーボールを経験し、30歳でイタリアへ――。
吉田伸氏は、日本人の若手バレーボール指導者の中でも、特に国際的なキャリアを歩んでいる人物の一人として、今後さらに注目を集めそうです。