クレジットカード決済代行会社の全東信が破産手続きに入ったことで、飲食店への影響が大きな問題になっています。
全東信は、飲食店などの加盟店に対して、クレジットカード売上を通常より早く入金するサービスを提供していました。カード会社からの入金を待たずに売上金を受け取れるため、日々の仕入れ、人件費、家賃、運転資金を回す飲食店にとっては便利な仕組みでした。
しかし、全東信の破産により、同社の決済端末を使っていた飲食店では、カード決済ができなくなる、売上金が入金されない、代替の決済手段を急いで用意する必要がある、といった問題が発生しています。
この記事では、全東信を利用していた飲食店にどのような影響があるのか、未入金売上はどうなるのか、端末は使えるのか、店舗側が今すぐ確認すべきことをわかりやすく整理します。

全東信の破産で、飲食店にとって特に重要なのは次の3点です。
特に注意したいのは、「端末が動くかどうか」と「売上金が入金されるかどうか」は別問題だという点です。
仮に端末が物理的に作動したとしても、その決済分が通常通り店舗に入金されるとは限りません。そのため、全東信の端末は使い続けず、店舗スタッフにも誤って使用しないよう周知する必要があります。
飲食店にとっては、売上を逃さないことも大切ですが、それ以上に「入金されないカード売上」をこれ以上増やさないことが重要です。
全東信は、飲食店を中心とする加盟店に対して、クレジットカード決済と早期入金サービスを提供していました。
通常、クレジットカード決済では、客が店でカードを使っても、その売上金が店舗に入金されるまでには一定の日数がかかります。
飲食店は、毎日の仕入れ、アルバイト給与、光熱費、家賃など、現金の支払いが多い業種です。そのため、カード売上の入金が遅れると、帳簿上は売上があっても手元資金が不足することがあります。
全東信の早期決済サービスは、この入金までの時間差を埋める仕組みでした。
つまり、飲食店にとって全東信は、単なるカード端末会社ではなく、日々の資金繰りを支える役割も持っていたといえます。
だからこそ、破産による影響は、単に「カード決済が一時的に使えない」という話にとどまりません。未入金売上、資金繰り、債権届出、代替決済手段の確保まで関係してくるのです。
全東信を利用していた飲食店は、まず端末の使用を停止する必要があります。
ここで重要なのは、「端末が手元にある」「電源が入る」「画面が表示される」という状態でも、使ってよいとは限らないということです。
破産手続きに入った以上、全東信を通じた決済処理や入金が通常通り行われるとは限りません。
飲食店側が気をつけるべきことは次の通りです。
飲食店では、店長や経営者だけでなく、アルバイトスタッフが会計を担当することも多くあります。そのため、経営者が知っているだけでは不十分です。
「この端末は使わない」「カード決済は別端末で対応する」「一時的に現金のみとする」など、現場で混乱が起きないようにすることが大切です。

飲食店にとって最も気になるのは、すでにカード決済された売上が入金されるのかという点です。
客がカードで支払い、レジ上では売上として記録されていても、全東信から店舗への入金がまだ行われていない場合、その売上は未入金売上になります。
この未入金売上は、破産手続き上、破産債権として扱われる可能性があります。
簡単にいうと、店舗側は「全東信に対して売上金を支払ってもらう権利」を持つ立場になります。しかし、破産手続きでは、債権があっても全額が戻るとは限りません。
破産会社に残っている財産を調査し、法律上の優先順位に従って配当が行われます。財産が不足していれば、配当率は低くなる可能性があります。
そのため、飲食店側は「カード決済されたから必ず全額入金される」と考えず、未入金額を正確に集計し、債権届出に備える必要があります。

飲食店側が絶対に注意したいのが、客への二重請求です。
客がすでにクレジットカードで支払いを済ませている場合、店舗側に売上金が入金されていないとしても、客にもう一度支払いを求めることは慎重に考える必要があります。
多くの場合、未入金の問題は、客と店の間ではなく、店と全東信の間の問題です。
客はすでにカード会社に対して支払い義務を負っている可能性があり、店舗が再度現金で支払いを求めると、二重請求と受け取られるおそれがあります。
もちろん、決済が実際に成立していないケースや、通信エラー、取消処理、売上未確定など、個別に確認が必要な場合もあります。
しかし、単に「全東信から入金されないから」という理由だけで、客に再支払いを求めるのは避けるべきです。
飲食店側は、決済明細、カード売上票、レジ記録、カード会社側の処理状況を確認し、判断が難しい場合は決済会社、カード会社、弁護士などに相談するのが安全です。
全東信を利用していた飲食店は、まず未入金売上を正確に集計する必要があります。
確認すべき項目は次の通りです。
特に複数店舗を運営している飲食店では、店舗ごとに未入金額を整理する必要があります。
また、同じ店舗内で複数の決済端末を使っている場合は、どの売上が全東信経由なのかを分けて確認しなければなりません。
この集計は、単に社内管理のためだけではありません。今後、債権届出を行う際の基礎資料になる可能性があります。
売上データ、入金履歴、契約書、端末利用明細などは、削除せず保管しておくことが重要です。
債権届出とは、破産手続きの中で、自分が破産会社に対してどのような債権を持っているかを届け出る手続きです。
全東信を利用していた飲食店の場合、未入金のカード売上があるなら、その金額が債権届出の対象になる可能性があります。
債権届出をする際には、単に「未入金があります」と言うだけでは不十分です。金額の根拠を示す資料が必要になります。
たとえば、次のような資料が重要になります。
債権届出をしたからといって、全額が戻るとは限りません。しかし、届出をしなければ、配当を受ける機会を失うおそれがあります。
そのため、飲食店は破産管財人からの案内を確認し、期限を逃さないようにする必要があります。
飲食店にとって、カード決済が止まることは売上機会の損失につながります。
特に、インバウンド客、会社員の会食、接待、団体利用、高単価の飲食店では、カード決済が使えないことが大きな不便になります。
そのため、全東信を利用していた店舗は、代替の決済手段を早急に確保する必要があります。
検討すべき決済手段は次の通りです。
ただし、新しい決済サービスには審査があります。申し込んだその日に必ず使えるとは限りません。
また、業種や営業形態によっては審査に時間がかかることもあります。
そのため、当面は現金対応やQR決済など短期間で導入しやすい手段を確保しつつ、クレジットカード決済については本契約を並行して進めるのが現実的です。
飲食店では、支払い方法の変更を客に分かりやすく伝えることが大切です。
カード決済が一時的に使えない場合、会計時に初めて伝えるとトラブルになりやすくなります。
そのため、入口、レジ横、メニュー、予約ページ、SNSなどで、利用できる支払い方法を事前に案内するとよいでしょう。
案内文としては、次のような表現が考えられます。
ここで重要なのは、全東信の破産や未入金の詳細を長々と説明する必要はないということです。
客に必要なのは、「今、何で支払えるのか」という情報です。
ただし、すでにカードで支払い済みの客から問い合わせがあった場合には、決済日、利用カード、金額、カード明細の反映状況などを確認し、二重請求にならないよう慎重に対応する必要があります。

全東信の破産で最も深刻なのは、未入金売上による資金繰りへの影響です。
飲食店は、売上があっても入金が遅れれば、仕入れ代金、家賃、人件費、光熱費、税金、社会保険料などの支払いに支障が出ることがあります。
特に、全東信の早期入金を前提に資金繰りを組んでいた店舗では、急に入金サイクルが変わることで、手元資金が不足する可能性があります。
飲食店が確認すべき資金繰り項目は次の通りです。
未入金売上が大きい場合は、早めに取引銀行、信用金庫、日本政策金融公庫、税理士などに相談することが重要です。
「まだ何とかなる」と先延ばしにすると、支払日直前に資金が足りなくなる可能性があります。
全東信の破産によって資金繰りに影響を受けた飲食店は、支援策を確認することも重要です。
考えられる支援策には、次のようなものがあります。
ただし、制度によって利用条件が異なります。
たとえば、信用保証協会の別枠保証については、対象事業者として指定されることが前提になる場合があります。
また、貸倒処理についても、いつ、いくらを損金として処理できるかは、破産手続きの進行や個別事情によって変わります。
そのため、制度名だけで判断せず、金融機関、信用保証協会、税理士、弁護士などに確認することが大切です。
未入金のカード売上が回収できない場合、飲食店側では税務上の処理も問題になります。
売上として計上しているのに入金されない場合、そのままでは利益が出ているように見えてしまうことがあります。
回収不能となった売上代金は、状況によって貸倒損失や貸倒引当金の対象になる可能性があります。
ただし、破産手続きでは、いつ回収不能と判断できるか、どの金額を損金にできるか、債権届出をしているかなどが関係します。
そのため、自己判断で処理せず、顧問税理士に相談することが重要です。
特に、未入金額が大きい飲食店では、決算や納税額に影響する可能性があります。
全東信をめぐっては、過去に審査の通らない店舗への加盟店契約をめぐる問題も報じられています。
もし店舗が、全東信を通じて他人名義などで加盟店契約を結んでいた場合、未入金売上の問題とは別に、契約の有効性や法的リスクが生じる可能性があります。
このようなケースでは、一般的な未入金対応だけでは済まない場合があります。
次のような事情がある店舗は、早めに弁護士へ相談した方がよいでしょう。
通常の飲食店が正規に契約していた場合と、契約名義や実態に問題がある場合では、対応が異なる可能性があります。
不安がある場合は、早めに専門家へ確認することが大切です。
飲食店の客にとって気になるのは、「全東信の端末でカード払いしたが大丈夫なのか」という点です。
基本的には、客がカードで支払いを済ませ、カード会社側に決済が上がっている場合、客の支払い自体はカード会社との関係で処理されます。
一方で、店舗側には全東信から売上金が入金されない可能性があります。
つまり、問題の中心は、客と店の間というより、店と全東信の間の未入金問題です。
ただし、客側もカード明細を確認し、不審な請求や二重請求がないかを見ることは大切です。
飲食店側としては、客から問い合わせがあった場合、決済日、金額、カード明細の反映状況を確認し、必要に応じてカード会社への確認を案内するとよいでしょう。
全東信の破産で混乱している飲食店もあるかもしれませんが、慌てて誤った対応をすると、さらにトラブルが大きくなる可能性があります。
特に避けるべきことは次の通りです。
飲食店にとって大切なのは、冷静に証拠を残し、金額を集計し、代替手段を確保することです。
特に、未入金売上が大きい場合は、早めに専門家や金融機関へ相談することが重要です。
全東信を利用していた可能性がある飲食店は、次の項目を確認してください。
このチェックリストをもとに、まずは「端末停止」「未入金額の集計」「代替決済」「資金繰り確認」を優先して進めるとよいでしょう。
全東信の破産で、飲食店には大きな影響が出ています。
特に重要なのは、全東信端末の使用停止、未入金売上の集計、代替決済手段の確保です。
全東信は、飲食店などの加盟店に対してカード売上の早期入金サービスを提供していました。そのため、同社を利用していた飲食店では、カード決済済みの売上がまだ入金されていない可能性があります。
この未入金売上は、破産手続き上、破産債権として扱われる可能性があります。債権届出を行うには、売上明細、入金履歴、契約書、レジデータなどの資料が重要になります。
また、全東信端末を使い続けると、さらに未入金の売上が増えるおそれがあります。端末の使用を停止し、スタッフ全員に周知することが必要です。
飲食店にとっては、カード決済が使えないことによる売上機会の損失も問題です。そのため、他社決済端末、QR決済、電子マネー、現金対応など、代替手段を早急に用意する必要があります。
未入金額が大きい場合は、資金繰りへの影響も深刻です。取引銀行、日本政策金融公庫、信用保証協会、税理士、弁護士などに早めに相談し、支払い予定と手元資金を確認しておくことが大切です。
全東信の問題は、単なる決済端末の停止ではなく、飲食店の資金繰り、債権回収、税務処理、顧客対応に関わる問題です。
まずは、端末を止める、未入金額を確認する、資料を保管する、代替決済を用意する。この4つを優先して対応することが重要です。