ケスト・フエールの法則とは？

ネット用語

「ケスト・フエールの法則（ケストフエールの法則）」は、ネット上で不都合な投稿を消そうとすると、かえって注目が集まり、スクショや転載で拡散してしまう──という現象を指す“ネットスラング（俗称）”です。特にX（旧Twitter）で、失言・暴言・不適切投稿などを削除したタイミングで、

• 「消した＝やましい」
• 「証拠保全しよう」

のような心理が働き、スクリーンショットが拡散しやすくなる……という文脈で使われます。

ざっくり結論：何が“法則”なの？

要点はこれだけです。

• ✅ 消す（隠す）ほど話題になる
• ✅ 消す行為そのものが「燃料」になる
• ✅ 削除前より露出が増えることがある

言い換えると、「消す＝終わり」ではなく、むしろ“拡散のスイッチ”になり得る、という教訓です。

名前の由来：なぜ「ケスト・フエール」？

この言葉は、学術用語として確立されたものというより、ネット上で広まった呼び名です。

• 「ケストフエール」は、しばしば 『消すと増える』 という語感（ダジャレ的な連想）で説明されます（投稿削除→拡散増加）。
• 一部のネット辞典では、“イギリスの社会学者”という設定が語られることもありますが、これは有志の創作的な人物像として扱われがちです。

つまり、ここで大事なのは「実在の学者の理論」かどうかよりも、**ネットの現場で共有されている“現象の名前”**として理解することです。

似た概念：ストライサンド効果との関係

ケスト・フエールの法則は、英語圏でよく知られる ストライサンド効果（Streisand effect） とかなり近いです。

ストライサンド効果とは

ストライサンド効果は、隠したい情報を抑え込もうとした結果、逆に注目が集まって広がってしまう現象のこと。

どう違う？（使われ方のニュアンス）

• 🧯 ケスト・フエールの法則：SNS投稿の削除・証拠隠しが「燃料」になって拡散、という“炎上あるある”寄り
• 🌊 ストライサンド効果：法的措置・削除要請・検閲など、より広い「抑え込み」全般に使われることが多い

ただ、実際には「ほぼ同じ意味で扱われる」ケースも多く、混同も珍しくありません。

具体例：ケスト・フエールの法則が起きやすいパターン

ここからは、現場でよくあるパターンを「何が起きるか」で整理します。

1) 投稿を消した瞬間にスクショが回り始める

• 📌 不適切投稿 → 削除
• 📌 「消した」ことが話題に
• 📌 スクショ・魚拓・転載で拡散

“削除した事実”がニュース性を持ってしまうのがポイントです。

2) 謝罪が遅れ、削除だけ先にやってしまう

• 📌 公式説明がない
• 📌 憶測が先行
• 📌 「逃げた」「隠蔽だ」と見なされやすい

3) まとめサイト・切り抜き動画に載って「別の媒体」に飛び火

SNS内だけでなく、

• まとめサイト
• ニュース記事
• 動画の切り抜き

などに載ると、**拡散が“横展開”**します。

（「炎上」は複数サービスをまたいで広がる、という指摘もあります。）

なぜ起きる？（心理・構造のポイント）

「消すと増える」には、いくつかの“人間の自然な反応”が絡みます。

• 🧠 希少性：消されるほど「見たい」気持ちが強くなる
• 🕵️‍♂️ 疑念：消した＝後ろめたい、という推測が働く
• 📣 正義感・制裁欲求：
  • 「言ったことに責任を取れ」
  • 「消して逃げるな」
• 🔁 拡散コストが低い：スクショ1枚で再配布が完了

これが重なると、削除は“火消し”ではなく“点火”になり得ます。

じゃあどうする？炎上時の現実的な対処（やる順番）

ここがいちばん重要です。「削除する／しない」より先に、順番が大切になります。

✅ 1) まずは状況把握（何が、どこで、どの程度）

• 🔍 どの投稿が問題か
• 🔍 どこで拡散しているか（X／まとめ／掲示板など）
• 🔍 何が批判点なのか（事実誤認・差別・誇張・規約違反など）

✅ 2) 公式としての一次回答（沈黙しない）

• 🧾 「把握して調査中」でもよい
• 🧾 いつ頃、続報を出すか目安を示す

“空白の時間”が憶測で埋まるのを防ぎます。

✅ 3) 削除するなら「理由」と「記録」をセットにする

どうしても削除が必要な場合（個人情報、誤情報、権利侵害など）は、

• 🧩 なぜ削除したのか（理由）
• 🧩 何が誤りだったのか（訂正）
• 🧩 今後どうするのか（再発防止）

まで一体で示すと、「隠蔽」扱いされにくくなります。

まとめ

• ケスト・フエールの法則は、投稿を消すと、かえって拡散するというネットスラング。
• 英語圏の概念では ストライサンド効果が近い。
• “火消し”のつもりの削除が、燃料になることがある。
• 対応は「削除するか」よりも、状況把握→一次回答→説明付きの対応の順番が重要。

よくある質問（FAQ）

Q1. 「ケスト・フエール」は実在の学者？

ネット上では“設定”として語られることがありますが、少なくとも日本で流通している用法は、学術理論というよりネットで共有される俗称として理解するのが安全です。

Q2. じゃあ、絶対に消しちゃダメ？

個人情報・誹謗中傷・誤情報など、削除が必要なケースはあります。大事なのは、黙って消すのではなく「説明」とセットにすることです。