※本記事は、選挙制度の仕組み(「当選者なし」→再選挙が起こる条件)を一般向けに整理した解説です。特定候補の当落予想を断定する目的ではありません。
12月7日に注目の伊東市長選挙が行われました。
今回の伊東市長選のような首長選挙(市長・町長・知事など)では、最多得票=即当選とは限りません。
一定の条件下では、最多得票者がいても「当選者なし」となり、**再選挙(やり直し選挙)**が行われることがあります。
そのカギになるのが、次のルールです。
✅ 法定得票数(ほうていとくひょうすう)=有効投票総数の4分の1(25%)
この25%に届かないと、最多得票者でも当選できず、当選者なし → 再選挙となります。
「当選者なし」とは、票の一番多い人がいても、法律上の当選条件を満たさないため、
という状態です。
そしてこの場合、改めて市長を選ぶ必要があるため、再選挙になります。
市議会議員選挙などの「議員選」では、定数(議席数)があり、得票順に当選が決まります。
一方で市長選は、市のトップを1人だけ決める選挙です。
もし候補が乱立して、例えばトップが10%台で当選してしまうと、
という状態が起き得ます。
そこで、最低限の正当性を確保するために、首長選では
✅ 「最低でも有効票の25%は取ってください」
という基準(法定得票数)が設けられています。
候補者が少なく、例えば2人の一騎打ちなら、
一方で、候補者が多いと票が割れて、トップでも25%に届かないことがあり得ます。
特に、
といった条件が重なると、25%割れのリスクが上がります。
ここが誤解されやすいポイントです。
法定得票数は「25%」なので、必要票数(実数)は
で上下します。
例として、有権者数が約5.7万人規模の選挙でイメージすると、
というように、投票率が上がるほど「25%の壁」も上がります。
✅ つまり、
この組み合わせが、再選挙リスクを高めやすい構図になります。
当選者なし → 再選挙になると、次のような影響が考えられます。
もちろん、法定得票数は「民主的な正当性」を守る仕組みでもあるので、
というメリットもあります。
候補者が多くても、次のようなケースでは再選挙になりにくいです。
逆に、
という場合は、トップ25%未満の可能性が相対的に上がります。
最後にポイントを整理します。
伊東市長選に限らず、首長選挙で候補が乱立するときは、
「誰がトップか」だけでなく、
“トップが25%を超えるかどうか”
も重要な注目点になります。
当選者が決まるまでの間は、法律に基づき市の運営を止めないための体制(職務代理など)が組まれます。 (具体的な運用は自治体の状況によって異なります)
再選挙の日程は、選挙管理委員会が法律に基づいて決めます。
減ることもありますし、変わらないこともあります。 ただ、再選挙になると「勝てる候補に票を集中させよう」という動きが強まりやすく、結果として候補が絞られるケースもあります。