「南鳥島(みなみとりしま)沖のレアアース」は、日本の排他的経済水域(EEZ)内に眠る“レアアース泥”として以前から注目されてきましたが、2025年末にかけて(1)2026年1月の超深海フィールド試験と(2)国会での安全確保に関する質疑が相次ぎ、改めて話題になっています。
この記事では、「南鳥島 レアアース 最新 情報」を探している人向けに、直近ニュースの要点と、計画の全体像(どこまで進んでいて何が課題か)を、できるだけ丁寧にまとめます。
2025年12月4日の参議院(外交防衛委員会)では、南鳥島沖で予定されるレアアース試掘調査について、「中国が何らかの妨害をする可能性は?」という観点から、安全確保のあり方が質疑されました。
報道によれば、質疑では次のような点が取り上げられています。
ポイントは、ここで扱われているのが「資源開発の是非」だけでなく「開発時の海上安全・妨害リスクへの備え」だという点です。資源があっても、実際に回収・輸送・精製を続けられなければ、国家プロジェクトとして成立しません。

南鳥島沖で注目されるのは、山の鉱山から掘る「鉱石」ではなく、深海底に堆積した“泥”にレアアースが高濃度に含まれているタイプの資源です。
このあたりの「レアアース泥=夢の泥」という表現は、研究側の説明でも使われることがあります。ただし、“抽出しやすい”と“商業的に成り立つ”は別問題なので、次章で計画の段階と課題を分けて整理します。
報道・政府資料ベースで、南鳥島沖レアアース開発は概ね次の流れで語られています。
| 時期 | 主な動き(概要) | ここがポイント |
|---|---|---|
| 2011〜2013年頃 | 深海の「レアアース泥」概念が注目され、南鳥島周辺で高濃度の泥が見つかったという発表が広がる。 | 「資源がある」段階(探査・基礎研究が中心)。 |
| 2024〜2025年 | 国家プロジェクト(SIP等)で、探査・環境評価・回収システム・分離精製の“一気通貫”を意識した開発が前面に。 | 「資源の存在」から「サプライチェーンの実装」へ。 |
| 2026年1月(予定) | 水深約6,000mからレアアース泥を引き上げるフィールド試験。 | 超深海(世界でも難度が高い領域)での技術実証が勝負。 |
| 2027年1月(目標) | 1日350トン規模の回収システムの試験運用(スケールアップ)を目指す。 | 「連続運転」「安定回収」「コスト」「環境」を同時にクリアできるか。 |
レアアースは、EV・風力発電・電子機器・防衛装備など、幅広い分野で重要素材です。一方で、供給は特定地域への依存が大きく、輸出規制や地政学リスクの影響を受けやすいとされます。
このため日本政府は、
といった政策パッケージの中に、南鳥島のプロジェクトを位置づけています。
2025年11月には、南鳥島周辺でのレアアース開発について日米で協力を検討するという趣旨の発言・報道も出ています。ここで重要なのは、単に「採掘を共同でやる」というよりも、
という、経済安全保障の組み立てとして語られている点です。
南鳥島沖のレアアース泥は、海底でも特に深い領域(約5,000〜6,000m)にあるとされます。これは、
など、運用面の難易度がいきなり上がる深さです。
政府資料では、南鳥島プロジェクトを「連続的な採鉱・揚泥・分離・精製・製錬」として成立させることが目標に掲げられています。つまり、
という工程を“つなげて回す”必要があります。ここが、研究段階と産業段階の大きな違いです。
深海底の資源開発は、世界的に環境影響が議論されている分野です。とくに、
といった論点があります。
一方で、政府資料(SIP関連)には、海洋環境影響評価・環境モニタリング技術の開発や、環境マネジメントの構築といった文言もあり、少なくとも「環境評価をセットで進める」こと自体は計画に含まれています。
今回(2025年12月)の国会質疑で前面に出たのが、この論点です。
深海資源の現場は、陸上鉱山と違って「柵を作って守る」ことができません。だからこそ、
といった地味な基盤整備が、結局いちばん効きます。
A. いまは“採るための技術を現場で実証する段階”です。2026年1月の試験でまず「超深海から安定して引き上げられるか」、次に「連続的に回せるか」「コストと環境評価を両立できるか」が見えてきます。
A. 報道では、南鳥島周辺に相当量が眠っているという推計(例:埋蔵量世界上位に相当するという表現)が見られます。ただし、推計埋蔵量と可採埋蔵量(採算が取れて実際に採れる量)は別物です。数字だけで期待を膨らませすぎないのが大切です。
A. 可能性はありますが、鍵は採掘よりも「分離・精製」と「産業コスト」です。泥を持ち帰るだけでは供給網になりません。精錬・分離の技術、電力コスト、環境規制、需要家の長期契約など、複数条件がそろって初めて「依存度低減」に効いてきます。
南鳥島沖のレアアース泥は、確かにロマンがあります。でも現実は、
を同時に解く必要がある、国家規模の難問です。
2025年12月の国会質疑は、その難問が「机上の未来」ではなく、具体的な運用(守り方)のフェーズに入ってきたことを示す出来事でした。2026年1月の試験採鉱(フィールド試験)は、その次の節目として要注目です。