「国会議員はマイナンバーカードを持っているのか?」「取得率は何%なのか?」という疑問は、マイナンバーカードの普及策や“マイナ保険証”の議論が進むほど、SNSやコメント欄で繰り返し話題になります。
ただし結論から言うと、国会議員全体(衆議院+参議院)の“公式な取得率”は、まとまった形では公表されていません。そのため、現時点で語れるのは「一部の範囲については公式資料がある」「それ以外は、調査・報道などの“部分情報”を積み上げるしかない」という現実です。
この記事では、
を、整理して解説します。
マイナンバーカード周りの議論は、次の言葉が混ざると一気にややこしくなります。
つまり「国会議員の取得率」と言ったとき、
という定義の差が必ず出ます。
「国会議員全体」ではないものの、内閣の“政務三役等”(大臣・副大臣・大臣政務官・総理補佐官)については、国会の質問主意書に対する答弁書で取得状況が示されたことがあります。
ポイントは、これは
という点です。とはいえ、少なくとも「国の中枢にいる人たちはどの程度か」を見る材料にはなります。
| 対象(時点) | 取得していない者の割合 | 備考(概要) |
|---|---|---|
| 岸田内閣(2022年1月の答弁) | 約4% | 未取得者は申請済みとされる |
| 第二次岸田改造内閣(2022年10月の答弁) | 約3% | 未取得者は申請済みとされる |
| 第二次岸田第二次改造内閣(2024年2月の答弁) | 0% | 取得・利用者登録・保険証登録も“全員”とされる |
この流れだけを見ると、少なくとも政務三役等は、当初は“未取得が数%”あったものの、のちに**未取得がゼロ(全員取得)**という説明が出た、という整理になります。
では「国会議員(衆議院+参議院)」の取得率はどうかというと、政府の公開資料として、全議員を対象にした統一の取得率が常設で提示されている状況は確認しにくいのが実情です。
これは、意地悪な言い方をすると、
という状態です。
そのため、ネット上で見かける「国会議員の取得率○%」という断定は、
などの混線が起きやすいので注意が必要です。
国会議員全体の公式データが見えにくい一方、報道機関がアンケートで取得状況を調べた例があります。
ただしアンケートは、
ので、その数字をそのまま「国会議員の取得率」と断定するのは危険です。
例として、衆議院議員にアンケートを行い、
といった形で報じられたケースがあります。
理由はいくつか考えられます。
取得が任意である以上、全議員に一律で「持っているか」を公表する設計になっていない可能性があります。
「取得している/していない」は数字だけなら軽く見えますが、
など、周辺の論点がすぐに絡みます。
行政が業務としてどこまで把握しているのか、把握していてもどこまで公開するのか、という壁があります。
取得率の話題は、すぐに
という価値判断に飛びます。
ただ、取得率を語るならまずは
を分けないと、議論が空回りしがちです。
✅ その数字は、**一次情報(国会答弁書・政府資料)**に基づくか?
✅ 「国会議員全体」なのか、「政務三役等」なのか、母集団が一致しているか?
✅ アンケートなら、回答数・未回答数が明記されているか?
✅ 取得(カード受領)と、利用登録(保険証登録など)を混同していないか?
法律上の「取得義務」という形で語られるものではなく、議論の中心は“任意取得”を前提にした制度設計と運用です。
一般には「取得」と「利用登録」が分かれるため、取得していても登録していないケースは起こり得ます。
政府の公開資料で常設の統計が見つからない場合、
といった断片情報の積み上げになります。数字を見るときは、母集団と定義の確認が必須です。