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バイオマス発電のメリット・デメリット

バイオマス発電

バイオマス発電のメリット・デメリット

「バイオマス発電」は、太陽光や風力と並んで“再生可能エネルギーの一つ”としてよく聞く言葉です。でも、実際にどんな仕組みで電気を作り、どんな良い点・課題があるのでしょうか。ここでは、できるだけ身近な例を交えながら、メリットとデメリットをわかりやすく整理します。


1. バイオマスって何?

**バイオマス(biomass)**とは、もともと生き物(植物や動物)からできた有機物のことです。エネルギーとして使えるバイオマスには例えば次のようなものがあります。

  • 🌲 木材や木くず(間伐材、製材の端材、建築廃材など)
  • 🍚 農作物の残り(稲わら、もみがら、麦わらなど)
  • 🍌 食品工場や家庭の生ごみ
  • 🐄 家畜のふん尿(発酵させてメタンガスを作る)
  • 🛢️ 植物油や廃食油(液体バイオマス)

「生き物由来のものを燃料にしてエネルギーを取り出す」のが基本イメージです。


2. バイオマス発電の仕組み

バイオマス発電は大きく2つのタイプに分けられます。

2-1. 直接燃やして発電する方法

木材チップや木質ペレットを燃やして蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電します。石炭火力に近いしくみです。

2-2. ガスを作って発電する方法(バイオガス発電)

生ごみや家畜ふん尿などを発酵させてメタンガス(バイオガス)を作り、そのガスを燃やして発電します。

どちらも「燃やす/ガス化する → 熱エネルギー → 電気に変える」という流れです。


3. バイオマス発電が“再生可能エネルギー”とされる理由

植物は成長するときに空気中のCO₂を吸収します。木や作物を燃やすとCO₂が出ますが、燃やした分は、次に育つ植物が吸収するので、長い目で見るとCO₂が増えにくいと考えられてきました。これを「カーボンニュートラル(炭素中立)」という考え方で説明します。

ただし、後で出てくるように「本当にそう言い切れるのか?」という議論もあります。


4. バイオマス発電のメリット

ここからは良い点を整理します。

4-1. ゴミや未利用資源をエネルギーに変えられる ♻️

本来は捨てられるはずのもの(木くず、生ごみ、家畜ふん尿など)を燃料にできるので、廃棄物を減らしながら電気も作れるのが強みです。

例)

  • 製材所で出る端材 → ペレット燃料
  • 食品工場の残さ → バイオガス
  • 牧場のふん尿 → 発酵させてメタンに

「ゴミの処理」と「発電」を同時にできるのは大きなメリットです。

4-2. 天候に左右されにくく、安定して発電できる ⚡

太陽光は夜に発電できず、風力も風が弱いと止まります。 それに対してバイオマスは燃料さえあれば24時間発電できるため、電気の安定供給に役立ちます。

特に、電気は「使う瞬間に作る必要がある」ため、安定した電源は社会にとって重要です。

4-3. 地域の林業・農業の活性化につながる 🌲🌾

日本では山の手入れ(間伐)で出る木材が十分に使われず、放置林が増えている地域もあります。 バイオマス発電が広がると、間伐材や農業残さが“お金になる資源”になり、地域産業や雇用にプラスになる場合があります。

4-4. 化石燃料の輸入依存を減らせる 🛳️

日本は石油・石炭・天然ガスの多くを海外から輸入しています。 国産バイオマスを使えば、エネルギーを国内で循環させることができ、エネルギー安全保障(国のエネルギーの自立)にも役立つと期待されています。

4-5. 発電と同時に熱も使える(コージェネレーション) 🔥

バイオマス発電の途中で生まれる熱を、

  • 温水プール
  • 温室栽培
  • 施設の暖房 などに利用する仕組みがあります。 電気+熱の両方を使えると、燃料の無駄が減り効率が高くなるのもメリットです。

5. バイオマス発電のデメリット・課題

次に、問題点や難しい点です。メリットの裏側をしっかり押さえておくことが大切です。

5-1. 「本当にカーボンニュートラルか?」という課題 🌍

バイオマスは“燃やしてもCO₂は実質ゼロ”と説明されがちですが、現実はもっと複雑です。

  • 木を切って燃やすとすぐにCO₂が出る
  • そのCO₂を新しい木が吸収するには長い時間がかかる(数十年単位)
  • さらに、
    • 伐採・運搬・加工にもエネルギーが必要
    • その過程でCO₂が出る

つまり、燃料の作り方や輸送距離によっては、CO₂削減効果が小さくなる場合もあるのです。

5-2. 森林破壊や生態系への影響の心配 🐾

木材利用が増えすぎると、

  • むやみに森林を伐採する
  • 生物のすみかが減る
  • 土砂崩れの危険が高まる といった問題につながりかねません。

特に、海外の森林を大量に伐採して燃料として輸入すると、現地の自然や暮らしに悪影響が出ると指摘されています。

5-3. 食料と競合する可能性 🍽️

もし「エネルギー専用の作物」を大量に育て始めると、

  • その土地で作っていた食料が減る
  • 食料価格が上がる といった“食料とエネルギーの競合”が起こる恐れがあります。

世界的には、トウモロコシやサトウキビなどを燃料用に使うことで議論になった例もあります。

5-4. 空気汚染(大気汚染)のリスク 🌫️

燃やす以上、

  • ばいじん(PM)
  • 窒素酸化物(NOx)
  • 硫黄酸化物(SOx) などが出ることがあります。

石炭よりはクリーンでも、発電所の立地や設備(煙の処理装置)によっては地域環境への影響が課題になります。

5-5. 燃料の調達が難しい・コストが高い 💰

バイオマス発電は、太陽光や風力のように“燃料がタダ”ではありません。

  • どんな燃料を
  • どれだけの量、
  • 安定して、
  • 適正な価格で 確保できるかが、事業のカギになります。

木材チップやペレットが足りなくなると、

  • 発電が止まる
  • 価格が上がる という問題が起きます。

5-6. 日本では「輸入頼みのバイオマス」が増えている 🇯🇵➡️🌏

日本のバイオマス発電は、固定価格買取制度(FIT)によって急速に増えました。 その結果、燃料として

  • 海外の木質ペレット
  • パーム油などの液体バイオマス を大量に輸入する発電所も増えています。

輸入燃料に頼りすぎると、

  • 輸送時のCO₂が増える
  • 現地の森林や農地の破壊につながる
  • 国産で循環するはずのメリットが弱まる といった課題が出やすい点は押さえておきたいところです。

6. メリット・デメリットのまとめ(表)

観点 メリット デメリット
環境 廃棄物を減らし、再生可能エネルギーになり得る LCA(全体の流れ)で見ないとCO₂削減にならない場合も
供給 天候に左右されず安定 燃料確保が必要でコストがかかる
地域 林業・農業の活性化、雇用創出 乱伐や土地利用の問題が起きると逆効果
社会 化石燃料依存を下げられる可能性 輸入依存が強いと安全保障メリットが弱まる

7. これからのバイオマス発電に必要なこと

バイオマス発電は、使い方次第で「環境にも地域にも役立つ発電」になり得ます。一方で、やり方を間違えると「森林破壊やCO₂増加につながる発電」になってしまうかもしれません。

そのため、今後大切になるのは次のような考え方です。

  • 未利用資源・廃棄物を中心に使う(捨てるものを燃料に)
  • 輸送距離を短くし、地域で循環させる(地産地消の発電)
  • 森林を守りながら計画的に利用する(間伐など持続可能な林業)
  • 発電効率と排ガス対策を高める(熱利用や煙処理の改善)
  • 食料と競合しない燃料選び(エネルギー作物の作りすぎに注意)

バイオマスは「万能のクリーンエネルギー」ではありません。でも、**身近な資源を上手に使う“現実的な再エネの一つ”**として、社会の中でどう使うかが問われています。


8. さいごに

バイオマス発電のポイントは、

  • “燃料が何か”
  • “どこから運ぶか”
  • “森林や農地をどう守るか”

で、メリットにもデメリットにも大きく変わるということです。

「再生可能エネルギーだから絶対に良い/悪い」と決めつけず、電気ができるまでの全体の流れを見る視点を持つと、ニュースや授業の理解が一段深くなるはずです。

 

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